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話し合いの3レベル「会話」「対話」「議論」

話し合いで困った経験、ありませんか?

例えば、あなたが市役所の委員会に招かれたとき・・・
様々な分野から見知らぬ人が大勢集まっていて、「意見を口にするのを躊躇ってしまうような経験」をしたことはありませんか?

あるいは、参加者側ではなく、主催者側として「いろんな分野や立場の意見を集めたい」と思い会議を開いたとき・・・
想像していたように「有意義な意見が飛び交うことはなかった経験」はありませんか?

話し合いは、ある程度デザインできるものです。これを読んで、あなたの事業や活動を進めるヒントになれば幸いです。


話し合うことから始まる

まちづくりやビジネスにおいて、よく「つながり」という言葉が使われます(他にも、ネットワーク、パートナーシップ、リレーションシップ、人脈、関係、絆、結いなど類似の言葉がたくさんありますが、本稿では「つながり」として表現します。)。
「つながりが大切!」「つながろう!」という言葉だけでは、絶対につながりません。

協働・共創をしていこうという中で、人が本当の意味でつながるためには「課題」を理解し合うことから始まります。一足飛びにはつながりません。
よく勘違いしてしまいがちなのが、つい、つながり自体を「目的」にしてしまうことです。
課題に取り組むための「手段」がつながりとなります。
それは、SDGsにもヒントがあります。

SDGsの目標1〜16を達成するためには、世界中の国の政府、国民、企業、地域、団体といった、ありとあらゆる人たち全員が結束してSDGsに取り組むことが必要だから、最後にこの目標17があります。

SDGsウェディングケーキモデルでも頂点及び中心軸に目標17が位置し、重要性が示されています。

17の目標を「生物圏(Biosphere)」「社会圏(Society)」「経済圏(Economy)」の3つの層に分類した「SDGsウェディングケーキモデル(スウェーデンのヨハン・ロックストローム氏らによって2016年に提唱)」。3つの層を全て貫くようにして頂点に目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」が置かれている。

課題達成の手段としての「つながり(パートナーシップ)」

地域社会には多様な主体が行う活動があります。行政、NPO、自治会、ボランティア、市民活動、ソーシャルビジネス等々・・・
その活動は、すべて「課題」が起点となっています。課題があるから活動があります。

社会問題・地域問題には、多様性があります。同時に複雑性も高まっています。その問題を引き起こしている「原因」を考えれば明らかです。1つの社会問題または地域問題を深く考えていくと、規模の違う様々な原因がいくつも見つかるものです。
ちなみに、課題とは原因を取り除くために設定するものですが、
地域・社会に蔓延する多様で複雑な問題解決・課題達成を目指していくためには、1つの団体や1分野だけでは困難です。自分とは異なる能力、技術、知見、パラダイム等を有する「他者」との協力が必要不可欠です。

だから、「みんなで連携・協働・共創していこう!」などと、話し合いは行われているのですが、いきなり議論から入ることって多くないでしょうか?

話し合いの3レベルとは?

©SUSTAINABLE TOWN

❶共通の話題について話したり聞いたりする「会話」の中で、次第に人間関係を築き、
❷「対話」で異なる考え方や価値観を共有しながら、共通の目的意識を高め合うことによって、
❸「具体的にどのようにしていくのか」といった「議論」が、より納得のいくかたちで、そして、創造的に進められます。


逆説的にいえば、関係性も薄く、互いの価値観の違いも知らずに議論をする場合、うまく進めていくことは難しいはずです。冒頭の例がそれです。

対話で共有価値を見出し、それをバウンダリーオブジェクト(境界をつなぐためのもの)にできたコミュニティは、活動も活発になるはずです。

なお、それぞれの人が勝手に別々の話題や自分だけの話題を話している場合、それは「会話が成立していない」と言われる状態であるため、会話とは言いません。会話がよくキャッチボールに例えられるように、投げたり受け取ったりする共通のもの=野球ボール=共通の話題と想像してもらえれば分かりやすいと思います。

問題解決や課題達成を目指して活動するときに、議論は必要不可欠ですが、「話し合いの3レベル」を意識することによって、議論の質が格段に上がるということを伝えたいです。

話し合いの3レベルと場

場によって、話し合いの3レベルが効果的にモードチェンジできたり、できなかったりします。

会議

【会議】合議体の構成員が一堂に会し、一定の事項 (議題) について、互いに意見と情報を交換し合って審議を行い、最良の施策を見出そうとする会合またはそのための組織をいう。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

会議はこういった意味なので、そもそも会話や対話はしづらいものです。でも、「会話や対話をしてはいけない」というルールはありません。実際に、世の中には工夫した会議はたくさんあり、そこでは会話や対話が効果的に使われています。

協議

【協議】人々がいっしょに相談すること。集まって相談すること。

精選版 日本国語大辞典

協議の場合、言葉の響きから会議のような印象を持ってしまいますが、実は「対話」が中心の場です。

カフェ

カフェは、会話・対話・議論が自然にできる場の代表例だと思います。
ですので、ワークショップを企画する人たちは、ワールドカフェを始めとする「カフェ」の言葉を使用します。
より創造的な話し合いができ、人と人とがつながっていく場として、カフェは自然ですしイメージしやすいです。

その他にも色々な場がありますが、何を伝えたいかというと・・・
どうしても、名称によって場に先入観・偏見が生じてしまいます。
その際に問題なことは、本当に「議論」をしたいときに、前段で「会話」「対話」ができる関係性ができているかというのが大事です。

まとめ

協働・共創による課題解決の手段としての「つながり(パートナーシップ)」を構築していくためには、「対話」と「協働」がキーポイントだと思います。

つまり、価値観を共有して、共に動いてみること。

その中で、尊重し合い、学び合い、高め合えるような関係性が育まれて、実際に動かしていきたいことをうまく「議論」できるような「創発的な関係性」を目指していきましょう!!

おわりに

私たちサステナブルタウンでは「地域に暮らす一人一人が環境・社会・経済にとって最良な選択を見つけられる”サステナブルな地域社会”を日本中にたくさん作る」ことをミッションに活動しています。

まちづくり活動全般

市民協働、官民共創、生涯学習、社会教育、住民主体、市民活動など

ローカルイベント学

講座、講演会、展示会、体験会、音楽会、フェアなど、プログラム作成・運営ノウハウなど

ソーシャルプロジェクト

コーディネート、コミュニティ活性化、ワークショップデザイン、ファシリテーションなど

オープンイノベーション・ソーシャルイノベーション

産官学民による共創など

サステナビリティ

SDGs、SX、DX、D&I、ダイバーシティマネジメント、ジェンダー平等、男女共同参画、多文化共生、ポートランドのまちづくりなど

観光・おもてなし・多文化共生

やさしい日本語、多言語音声翻訳、多言語対応など 

公共施設建替え

ソフトづくり、協働・共創の関係づくりなど

オリンピック・パラリンピック等メガイベント

気運醸成、レガシー創出、プロジェクト支援など

さまざまな分野にて、2012年より、全国各地にて、その地域の課題に合わせてワークショップや講座、講演会等の内容・方法を考えて取り組んできました。

学びの力でより良い社会づくりを目指す活動を行う専門家として、これからもご要望に応じて取り組んでいきます。



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