鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載…

鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載中*AJINOMOTO PARK×noteコンテスト『おいしいはたのしい』審査員特別賞。秋の読書感想文コンテスト佳作。ショートショートnote杯佳作。

マガジン

  • ⭐︎創作集。

    ショートストーリー、ショートショート、短編小説などの創作作品を集めました。

  • 「日本左利き協会」掲載中の物語

    【日本左利き協会】さんにて連載させていただいている ショートストーリーです

  • わたしの空【空色図鑑】

    noteに掲載してきた『わたしの空』を図鑑仕立てにしました。あなたの心に響く空をみつけられますように。

  • *エッセイ集。

    自選エッセイをいくつかまとめました。 時々入れ替えたり追加したりしています。

  • 食べることは生きること。

    フードを題材にしたエッセイや小説を集めました。

記事一覧

雲と行こう。風に乗ろう。

39

月の上を散歩しているようにしか見えない。
影もふわりふわり月面を滑ってゆく。

リーフィーシードラゴンの
小さなハミングが聴こえた気がした。

37

飛ぶ時を待ちわびる。

鈴懸ねいろ
11日前
52

風は緑色だった。

五月の風はひときわ美しい。 湿度は低く、さらりとしていて緑の匂いがする。 こんなにいい季節に 部屋に閉じこもっているのはもったいないと 思う性分なのだ。 特に用事ら…

鈴懸ねいろ
2週間前
51

First of May.

鈴懸ねいろ
2週間前
48

雲チョーク、黒板消し忘れ。

鈴懸ねいろ
2週間前
54

部屋に帰ってきて最初にすることは何?私は靴下を脱ぐこと。勢いよくぽんぽん脱ぎちらかすと、歩き疲れた魂が足先からにゅる〜っと解き放たれて自由になる。ひんやりした床をぴたぴた歩いて、台所で水を飲む。裸足と喉が初夏の訪れを祝っている。さっきまでいた外に目をやる。緑が煌めく。命がある。

鈴懸ねいろ
2週間前
46

思い出を拾い集めて雲に乗せよう。

鈴懸ねいろ
2週間前
51

近ごろ海を見ていない。

鈴懸ねいろ
3週間前
64

春の空を編む。

鈴懸ねいろ
1か月前
63

朝寝坊の報復。#新生活20字小説

覚えとけ目覚まし時計帰ったら分解の刑な。 ****** 小牧幸助さんの企画参加、第四弾です。 ありがとうございます。 * 朝寝坊は、いかんです。 いかんともしがた…

鈴懸ねいろ
1か月前
53

まいにち、おみそ汁をどうぞ。

夕餉の始まりにおみそ汁をひとくち啜ると、 ああ、と声が漏れてしまうのだった。 今日も一日お疲れさま。 自分に対してそんな言葉をかけたくなる。 その日の締めくくりの食…

鈴懸ねいろ
1か月前
100

雨でけぶった道の向こうに、黄色いレインコートを着た柴犬がいた。めちゃめちゃ雨に濡れている。心なしかうなだれている。いや、うなだれているのじゃなくて、水たまりの中に潜んでる今日の良いことを探していたのかもしれない。スンスン。ここにはないな。もう少し先に行ってみよう。スンスン。

鈴懸ねいろ
1か月前
43

桜風に吹かれて。

桜風に吹かれていた。 街全体が淡いピンク色の霞に覆われていて、 道ゆく人の顔もぴかぴか輝いている。 みんなこの時を待っていたのだと分かる。 いつもはウォーキングおば…

鈴懸ねいろ
1か月前
75

空の輪くぐりに出かけよう。

鈴懸ねいろ
1か月前
63

帰り道、コンビニ前で。#新生活20字小説

緩めたネクタイ。半額弁当。宵の空に半月。 ****** 小牧幸助さんの企画に参加しています。 今月はあといくつ出せるでしょうか。 お弁当は半額。 お月様も半分。 …

鈴懸ねいろ
1か月前
50

月の上を散歩しているようにしか見えない。
影もふわりふわり月面を滑ってゆく。

リーフィーシードラゴンの
小さなハミングが聴こえた気がした。

風は緑色だった。

風は緑色だった。

五月の風はひときわ美しい。
湿度は低く、さらりとしていて緑の匂いがする。
こんなにいい季節に
部屋に閉じこもっているのはもったいないと
思う性分なのだ。
特に用事らしい用事がなくても、
何となく外へ出る。
通りを歩いてみる。
家々の門のきわに植えられた花を見てまわる。
私の心のなかの小さな子どもも、
嬉しくてくすくす笑いながら
スキップをしているのだ。
たくさんの芽吹きを瞳に映して、
自分の内側に

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部屋に帰ってきて最初にすることは何?私は靴下を脱ぐこと。勢いよくぽんぽん脱ぎちらかすと、歩き疲れた魂が足先からにゅる〜っと解き放たれて自由になる。ひんやりした床をぴたぴた歩いて、台所で水を飲む。裸足と喉が初夏の訪れを祝っている。さっきまでいた外に目をやる。緑が煌めく。命がある。

朝寝坊の報復。#新生活20字小説

朝寝坊の報復。#新生活20字小説

覚えとけ目覚まし時計帰ったら分解の刑な。

******

小牧幸助さんの企画参加、第四弾です。
ありがとうございます。



朝寝坊は、いかんです。
いかんともしがたい。遺憾です。

寝坊したいのに起こしてくる目覚まし時計への
八つ当たり説と、
起きる時間を過ぎても鳴らなかった
目覚まし時計への報復説と。
ふた通りの解釈ができることに気づきました。
(後者の心づもりで書きましたが
どちらでもい

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まいにち、おみそ汁をどうぞ。

まいにち、おみそ汁をどうぞ。

夕餉の始まりにおみそ汁をひとくち啜ると、
ああ、と声が漏れてしまうのだった。
今日も一日お疲れさま。
自分に対してそんな言葉をかけたくなる。
その日の締めくくりの食事には、
必ずおみそ汁がつく。
出汁と具材の旨みがお腹にじんわり沁みて、
身体のなかから温まると、
気持ちもゆるゆるとほぐれていくのだった。

おみそ汁は別名「おみおつけ」ともいう。
漢字で表すと【御御御付】だ。
室町時代の女房言葉とし

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雨でけぶった道の向こうに、黄色いレインコートを着た柴犬がいた。めちゃめちゃ雨に濡れている。心なしかうなだれている。いや、うなだれているのじゃなくて、水たまりの中に潜んでる今日の良いことを探していたのかもしれない。スンスン。ここにはないな。もう少し先に行ってみよう。スンスン。

桜風に吹かれて。

桜風に吹かれて。

桜風に吹かれていた。
街全体が淡いピンク色の霞に覆われていて、
道ゆく人の顔もぴかぴか輝いている。
みんなこの時を待っていたのだと分かる。
いつもはウォーキングおばさんしかいない公園も、今日ばかりは人で賑わっている。
青空の下で満開の桜と逢えるのは、
この日をおいて他にないだろう。
(明日からは雨予報なのだ)
冬の間の寂しい木々と同じものとは思えない。
しめし合わせたように、
辺りは花また花の連続

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帰り道、コンビニ前で。#新生活20字小説

帰り道、コンビニ前で。#新生活20字小説

緩めたネクタイ。半額弁当。宵の空に半月。

******

小牧幸助さんの企画に参加しています。
今月はあといくつ出せるでしょうか。

お弁当は半額。
お月様も半分。
たぶん半人前の主人公の男のひと。
新入社員でしょうか。
いろいろあるけれど、
明日はいい日になるといいね。
#新生活20字小説   #シロクマ文芸部