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結局、なぜタピオカブームが起きているのか?

ついに、僕の講演レジュメまでタピオカブームが…

僕は、時にクライアント先の商品開発やマーケティング担当に研修や講演会で事例を使ったワークを行うことがあります。ワークとはある事例に基づく情報からディスカッションして仮説を立て、モノの見方・考え方を身につける手法です。(僕が実施する場合の定義において)

題材には、クライアントの商品事例を使う場合と、他社の著名企業の事例を使うことがありますが、今回は身近な事例ということでタピオカブームに白羽の矢が立ったわけです。

さて、一体全体このブームをどうみれば良いのでしょうか?

様々な評論家やマーケッター、知識人が分析していますが、答えは消費者の心の中にしかないので、どうも決定打は聞こえてきません。

正解がないからといって、無視できないのがブームというものであり、自分の頭で考えてみるクセは今後につながってきます。というわけで、ここで一緒に考えてみましょう。

1.ビジネスはタイミングが命である

店によっては、既に行列が途絶え出してるからもはや転換点ではないかな。

これが僕自身の総論的見解です。(2019年9月時点)

それにも関わらず、まだ闇雲にタピオカ市場に今から突入したがる企業に警鐘をならしたい気持ちも、このレジュメの作成の背景にはあります。

ビジネスは、
何をやるか?どうやるか?より
「いつやるか?」のタイミングが大切。

極論すると低クオリティでもタイミングがドンピシャで合えば売れることもある。逆に高クオリティでもタイミングを逃せば一切売れないもの。

それほど、タイミングという「時」の観点は必要なのです。

これを「鳥の目」で大きな潮流を洞察し、「魚の目」で推移を見守り、チャンスや転換点を見い出すことがビジネスの基本となります。

起業、社内新規事業などの全てにおいて大切な思考法ともなります。

3年前でもなく、3年後でもなく、
なぜ今がジャストタイミングだと
言い切れるのか?

これに答えられるかどうか。

複雑な時代は行列店など分かりやすい情報の同質化が進むため、何かがブームになった時点で他のことを考えなければいけない。すでにタイミングを逸している可能性が高いのです。

後で、差別化戦略が…といったところで、時は既に遅しとなります。

2.タピオカブームの変遷

図1

考えてみると、10年前後の周期でタピオカブームが発生していますね。

しかも、バブル崩壊後の疲弊した時、リーマンショックの時、平成の終わりとタイミングが重なっています。

これは何を意味する?示唆は?という視点に切り替えて、常に深堀する思考法を持ちたいものです。

日本国内の内部環境で言うと・・・

10代の女子高生は前回のブームを知らない年代、だから10年周期にもなりやすいのかもしれません。そこへインスタ映えとtiktokの普及が後押しもしてきます。

過去のブームのタイミングは、みな、時代の転換期のため、気分の切り替えが無意識に行われ、身近なアイテムで新たなものへの渇望感があった可能性があります。

また、台湾がGWや年末年始にはハワイを抜いて日本人の観光先No.1人気に。一説では5年連続に一位になっている様子。現地では、当たり前のように本場のタピオカジュースを飲むことが日本へ逆輸入の効果ももたらしているのでしょう。

今回の2018年頃の再ブームは、その少し前のタイミングで大ブレークしたパンケーキ(ハワイ発)が一巡した後のタイミングに、何か次なる話題のスイーツが渇望されていたのかもしれませんね。ハワイと人気旅行先を争っている台湾発であれば、タイミング的にもドンピシャです。

また、インフルエンサーという言葉が浸透するほど、SNSをはじめとする情報拡散が加速しているご時世。このような大量情報時代は「探す面倒くささ」「選ぶ面倒くささ」の反動で、”行列しているという分かりやすい価値”が、面倒くささを払しょくしてブームを生み出しやすくしているのでしょう。これは入手する情報の同質化が情報洪水時代に起きている証拠とも考えられます。

海外の外部環境で言うと・・・

1次ブームの際は、日本企業がローカル食材を探して商品化の時代で、2次ブームは、ちょうどアジア企業がOEM受託から独自ブランドに移行して成功しだした時期。3次ブームはアジアがオリジナルで付加価値商品や店舗を独自発展により展開する時期。

こう考えれば、アジアの成長と共に若者向けの流行も、アジア発が増えて日本に逆輸入してきたという流れの仮説が成り立ちます。すなわち、アジアの発展という潮流が遠因となっているというわけです。

3.あの「チェキ」と共通点がある

実はこの動きは、ブームが去って一時期瀕死の状態だったカメラである「チェキ」が似たような動きをしています。

まず、「チェキ」とは、富士写真フイルムが1998年11月に発売し、大ヒットしたインスタントカメラ「instax mini」の愛称です。インスタントに撮れるカメラ市場は、プリクラと共に成長してきました。(もちろんスマホ誕生前の時代です)

ところが、2000年代初頭を起点にデジカメ市場の拡大、写メ、スマホ市場の誕生と、逆風が始まり、ピーク時の売り上げの10分の1まで落ちたとか。

そこで、面白い現象が2007年頃から起き始めます。細々と輸出していた韓国では、ドラマの中でチェキが登場し火が付き始めます。2008年には中国でも発売され、同じくドラマの中で使われるなどして瞬く間に中韓で一躍人気商品に。

今では海外売り上げが9割を占めるようになったそうですが、中韓での成功が日本に逆輸入される形で、日本でも再活性化が始まっていったのです。

再ブレークの場所は中韓に移りましたが、10年ほど前に一度沈んだブームがまた逆輸入の形で10年後に再ブレークとなると、やはり女子高生のブームである10年周期説(以前のブームを知らないため新鮮に映る)はあながち間違ってないのかもしれませんね。

コトの詳細は、以下の記事に譲るとして・・・

(2007年)
・第1次タピオカブームが底へ
・チェキのブームが底で販売低迷
(2008年)
・第2次タピオカブームで再ブレーク
・チェキは中韓で再ブレーク
(2018年)
・第3次タピオカブームで再々ブレーク
・チェキが日本逆輸入で再々ブレークの兆し

なんだか、この周期が重なっているように思うのは僕だけでしょうか。偶然?それとも女子高生を中心としたユーザーの理論的分析通り?

4.自分の頭で考えるための思考の整理

このようにタピオカブームが起きたら、興味がなくても冷めた目で見るのではなく、なぜなのか?と自分の頭で考える習慣が、脳を鍛えることにもつながるのではないかと僕自身は考えています。

そのためには、まず何をなすべきか?

それは、自分の頭で考えやすくするための環境を整えることです。

すなわち、『思考の整理』が大事というわけです。

冒頭に、鳥の目と魚の目というお話をしました。ここに虫の目を加えて、3つのメガネを掛け替えながら世の中を洞察して情報を収集するのです。そして、それぞれの視点で仮説を立ててから整理していくのです。

図2

鳥の目 = マクロ視点(時代背景、社会構造等)
虫の目 = ミクロ視点(ユーザー、ペルソナ等)
魚の目 = 時代の潮流 (時代の推移等)

いわば、単視眼的ではなく複視眼的に脳を切り替えること。もっといえば、脳を切り替えるための「切り口」を持っておくこと。

それが今回ご紹介している、鳥の目、虫の目、魚の目なのです。

5.まとめ

タピオカという題材を軸に、話を展開してきましたが、タピオカブームの是非を問うものではありません。

表面的な現象を追わずに、しっかりと自分の頭でいったん考えること。

それが正解かどうかは二の次です。

自分の頭で考える上で大切なことは、思考を整理して考えやすいクリアな状態を作っておくこと。

そのためにも、たとえば「鳥の目、虫の目、魚の目」のような思考整理の「軸」は、考える上での武器となり飛び道具となってくれます。

今回は、こんなことをぼんやりと考え、タピオカを飲みながら書いてみました。(笑)

あなた自身、何かの”気づき”につながれば幸いです。

著者・思考の整理家 鈴木 進介

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