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シカゴ派

(概要)
「雲を掻き落とす人」いう意味をもつ「スカイスクレーパー」という異名をもって迎えられることともなる「高層ビル」というビルディングタイプは、19世紀末のアメリカに生まれました。その誕生に際して重要な役割を果たしたのが、アメリカ中西部の都市シカゴであり、未知の存在であった高層ビルのあり方を追求していった、シカゴの建築家の挑戦的な活動の軌跡のことを指します。

(本文)
19世紀後半のアメリカは、1865年の南北戦争の終結により国内事情が安定するとともに、工業化が急速に進展していきました。また、1868年の大陸横断鉄道の開通に後押しされ、西部開拓事業の勢いも増していきました。こうした背景を受けて、東部と西部を連絡する中継基地として地の利を生かして飛躍的な発展を遂げた都市が、シカゴでした。シカゴは1850年からの20年間で約10倍の人口増加を記録し、70年には人口約300万人を抱える大都市となりました。また、地価も1880年から1890年の10年間で7倍になるなど、いわば一種のバブルの様相を呈していました。こうした状況のなかで、土地の高度利用といった観点から、建築物の高層化に対する機運が熟していったのです。

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