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がん患者である私の心の保ち方4選

「がんが濃厚」といわれ、動揺しなかったかといえば嘘になります。しかし、頭が真っ白になって、先生の説明が全く耳に入ってこないということはありませんでした。

確定診断が出るまでの間、告知日、告知後から入院・手術まで、がんが発覚してからの日々。精神が激しく揺れ動きます。はじめて経験した”がん”という病で、私はどのように心が壊れることなく過ごすことができているのか振り返ってみます。


①マスクとメガネに助けてもらった

病気の告知に限らず、パニックは誤った判断をしてしまうリスクを持っています。頭でわかっていても、不測の事態が突如起きたら、パニックになるのは当たり前のこと。私も、初診で”悪性”や”がん”という言葉を耳にしたとき、動揺をしました。しかし、その動揺のふり幅を少なくできたのは、マスクとメガネのおかげでした。

◆マスク

口もとを隠せるマスクのおかげで、医師や看護師に動揺した細かな表情を悟られることがなかったからです。実際は、悟られていたのかもしれませんが、私は悟られていないと思っています。

私は、性格上、動揺した姿を人に見られるのは苦手です。だから、マスクで表情が隠せたことは、私には都合が良かったです。この時ばかりは、世界的に猛威を振るったウイルスでマスク生活になったことに感謝しました。

◆メガネ

初診で、先生から説明を受ける際、先生に「メガネをバッグから取り出しても良いですか。」と尋ね、先生も「どうぞ。」といい、私はゆっくりとバッグからメガネを取り出しました。

ゆっくりとバッグからメガネを取り出し、静かにメガネを掛ける。普段なら何気ない動作なのですが、慌てずゆっくりと一連の動作を行ったことで、少しだけ心を整えることができたのです。

先生が話す悪い知らせを聞くには、とても役立ってくれました。おかげで、客観的に先生の話しを聞くことができました。

心が激しく揺さぶられる状況に直面した時、ささいなワンアクションが功を奏すこともあるようです。

年齢とともに書類の小さな文字が見えにくいと不都合が多いお年頃。リーディングメガネをかける煩わしいさを普段感じていましたが、こんな時に役立ってくれるなんて思いもよりませんでした。

②泣いた

診察や検査の時、家族や友人など人と一緒にいる時は、どんなに心が揺さぶられても泣くまいと決めていました。泣いても、何をどうして欲しいのか、どうなりたいのかも決まっていないのに、周りが困ってしまうだけだと思っていたからです。

でも、夜、ひとりでベッドに入ると涙がとめどなく流れます。日中、押し込めていた感情が溢れだしてくる感じです。止めようと思えば思うほど、あふれ出てくる涙。

ある日、泣くことはストレス解消になるということを誰かが言っていたことを思い出しました。そうだ。私は、今、強いストレスを感じているんだ。だから、涙が出てくるんだ。と解しました。

それからは、夜は泣くことにしました。泣きたいだけ泣くことに。毎晩、泣き疲れて眠りにという感じでした。

③マインドフルネスにチャレンジ

手術日が決まり、入院日が決まった時、看護師さんから手術日まで腹式呼吸トレーニングをしておくようにと伝えられました。全身麻酔で乳房の手術をするため、お腹を使って呼吸ができると都合が良いらしいのです。

指示されたトレーニングを全て行うと、約5分。はじめは、言われるがままに行っていました。しかし、よく考えてみると、この呼吸法は瞑想の呼吸法と同じです。

瞑想は、心や精神を整えるためのもの。何も考えずに無心になること。本格的な瞑想は、体に『気』を通さなければなりません。それはちょっと私には難しい。だから、ただ呼吸に集中し、『今、ここ』に存在することだけに集中するというマインドフルネスを取り入れました。

早朝、静かな時間帯、腹式呼吸をゆっくりとしながら5分ほどマインドフルネスを毎日行いました。心がグラグラしている時は、夜、寝る前に、明かりを消して行いました。そうすることで、不安や恐怖、心配事から解放されていきました。

マインドフルネスを行っている最中でも、お構いなし涙がでてくることも多々ありました。そんなときも、ありのままを受け入れ、毎日毎日、行っていきました。

④ウォーキングをした

もともとダイエット目的でウォーキングをしていました。しかし、乳がんと分かってから、午前中のお日様が元気な時間帯に、歩き回りました。午前中の陽射しを浴びることによって、なんだか心が上向きになる気がしました。

歩いていると、モヤモヤしていた様々な感情が心からいなくなかっていくのです。さらに、思考もまとまりやすく考える時間として使うことができるのです。ウォーキングを終え、自宅に戻る頃には、気持ちがスッキリしていることが多かったです。

⑤ポジティブ日記をつけた

ネガティブな感情しかない自分を誤魔化す手段として、私は、ポジティブ日記を付けはじめました。1日の中で、「良かったこと」「できたこと」「嬉しかったこと」「ありがとうと思ったこと」を書くというポジティブ日記です。

どうしても、1日のほぼ全ての思考が、『がん』というネガティブなワードで埋め尽くされてしまいます。半ば強引に、ポジティブな文面になるように日記を書き続けました。ネガティブな感情をポジティブな感情に変換することで、暗い気持ちにならないようしました。


以上の5つの方法で、私は心を保つことができたのかなぁと思っています。今では、マインドフルネスとウォーキング、そして日記は私の日課になくてはならないものとなっています。


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