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どんないろがすき?

こどもの頃、好きな色は青だった。

物心ついてから選ぶものは青ばかりで、ある程度大きくなって友達からプレゼントをもらうようになると、それもすべて青色になった。
水色でも深みのある青でもそこにこだわりはなく、とにかく青系であればよし。部屋のカーテン、布団、カーペットなどなど統一していたので、夏はいいが冬は寒ざむしいことこの上ない。しかし満足感もまた、この上なかった。

そうして結婚し、夫という存在ができた。

共に暮らす家族となると、わかりやすいよう、自然と各自の日常使いの小物にある程度の色分けがでてくる。そのタイミングで、私の所有物から青色が減っていくようになった。

さらに、息子が生まれた。

息子の好きな色が青だとわかったときから、青は息子のものになった。かつてあれだけこだわっていた私の大好きな青色、今では自分のものという感覚が不思議なほどなくなってしまった。

こどもたちに聞かれることがある。
お母さんの好きな色はなに?

さてそう聞かれて困ってしまう。「昔は青だったんだけど…」

今はどうだろう、なんとなく白を選ぶことが増えた気がする。
そういえば昔、青で統一した部屋の中に白もあったような気がする。そう、おそらく、白も好きだ。白のニットもお気に入りだし。
そして黒いものも増えた気がする。これは年を重ねたせいもあるかもしれない。そして推しアイドルのメンバーカラーが紫だから、紫もいい。最近緑も気になっているし、スマホカバーは木製で、落ち着く茶色も捨てがたい。昔は絶対に選ばなかったピンク、これもかわいいと素直に思えるようになった。

「わたしのいろ」はなくなったけれど、「すきないろ」がいくつもあること。幸せな瞬間が増えたような気がしている。

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