たいせー

友人の誕生日のためにアニメを作ってます 絵下手なのは許してください🙏 共犯者募集中

たいせー

友人の誕生日のためにアニメを作ってます 絵下手なのは許してください🙏 共犯者募集中

マガジン

最近の記事

彼女の背中とその夜に見る夢

 月曜日はいつもの仕事だった。平日に語ることは特に多くはない。それはいたって普通のことで、一般的なサラリーマンと同じような生活だからだ。ただ少し異なっているのは私は自宅で仕事をしているという点だ。最近とかくリモートワークが流行っているが私のところも例にもれず、社員のほとんどが自宅で仕事をしている。  おはようございます。業務を開始いたします。  お疲れ様です。お昼休憩に入ります。  業務に戻ります。  お疲れ様です。本日の業務を終了致します。本日の主な業務は‥‥‥

    • 彼との生活と路地で泣くこと

       「ただいま」  玄関のドアが開く音とともに、同居人の宮根の声がした。  「おかえり、今日はどうだった?」  「別に普通だったよ」  私は彼の前ではこんな感じだ。まるでもうやることが終わって何もない夫婦みたいな関係。私は家事全般を担当し、彼はただそれに甘える。そして私はそのことに対して怒ることに疲れ、ただこなす。家事をあまりしない人は大抵、部屋の維持に多くのことが必要であることを知らない。知らないので私が家のことを何もしていないと思っている。少なくとも自分のゴミ出しと

      • エレベーターより

         いきなり走るのはあまり体にいいことではない。小説でもそうだ。だから例えば校舎の窓だったり、ドライブだったり、エレベーターから始まったりする。だから私は水槽の向こう側から私自身を見ているシーンから始めることにした。  今私は飼っている熱帯魚を眺めており、そして水槽のアクリル壁を叩いている。そうすると魚たちは逃げることなく水面に寄ってくる。私はエサの蓋を開け、彼らに与える。彼らは嬉しそうにそれらを頬張る。一度口から出し、また咀嚼する。彼らはこの水槽に適応している。エサは定期的

        • うさぎさん(絵本)

          -----------------------------1-------------------------------------------------- ある日、うさぎは夜空を見上げていた。一人でただ見上げていた。 遠くの家から母さんの呼ぶ声がした。うさぎはまだここにいたかった。だけど帰らないといけなかった。 いつものようにうさぎは見上げていた。すると夜空の中に輝く一つの星を見つけた。 他の星より特別きれいなわけではなかったけど、うさぎはその星を気に入った。

        彼女の背中とその夜に見る夢

        マガジン

        • 背中のλ
          3本
        • アーカイブ
          4本

        記事

          2019/06/15 「彼の話」

          彼はいつもそこにいた。雨の日だってそうだったんだ。信じられるかい?そうしたら彼は僕も一緒じゃないかなんて言うんだ。まったく、呆れ返ってしまったよ。……わかってるよ。とにかく彼はそこにいたんだ。  ああ、お昼になると本を読むのが習慣になんだ、僕は。いつものように本を読みに外に出たんだけど、気が向いて、近くの市立公園に行ったんだ。そこの図書館がとてもきれいなんだ。その周りの池はなんだかコケっぽいが、その書院造風の公園はなかなかのものだった。  それで、ランチを取った後に前から読む

          2019/06/15 「彼の話」

          2018/09/04 「続いていくその日常において」

          俺の前には扉があった。その扉はいつも少しだけ開いていて、そこから漏れ出る光が希望を与えてくれていた。その光は青春だったり、夢を追いかけたり、恋をして仕事を一生懸命にして。そんな当たり前の幸せだった。だけど最近その光が見えない。  リスカってね、すごいんだよ。この世界の頂点に私がいるような気持ちになるの。私を否定したあの子たちに優越を感じることができるの。素敵でしょ?  俺の家庭は妹によって壊された。母と3人で暮らしていた。俺は妹をとても気に入っていたし、妹もそうだったと思

          2018/09/04 「続いていくその日常において」

          2020/11/4 「エリアE」

           そして夜になり、朝が来て、昼になった。水が流れる。俺は綺麗なものが本当はないような気がして、エリアD溜まりに向かい、練ったパスタをエサにして鯉を狙いながら詩を読んだ。  俺の恋人のNはとても人間的だった。だから決して詩のような綺麗さはなかったのだ。しかしそのきれいじゃない関係に惹かれていた。この前、本屋で「愛は生々しい」という写真集を見たことを思い出す。恋人のスカートの中を階段の下から撮った写真、セックス、顔。俺はその顔に見入ってしまっていた。ツヤのある顔、汗で張り付いた前

          2020/11/4 「エリアE」

          愛する人へのノクターン

           リリリリリリリン!  けたたましく目覚ましがなる。針は朝6時を指している。  俺はうるさいと思いながらそれを叩く。せっかく起きられるように爆音の目覚まし時計を買ったというのに。時計にとってはとても理不尽なことだ。  俺は嫌々起き、顔を洗い歯を磨く。そしてスーツに着替えネクタイを締める。通勤バックを持ち熱帯魚に餌をやる時間はなくすぐ家を出る。いつものことだ。  駅につくとちょうど電車が到着したところだった。こんなに朝早いというのに電車の中はすでに満員だった。すみませんと会釈し

          愛する人へのノクターン