「勉強嫌いの俺らと宍道湖の物語ーごみ拾いで描く夢」
全国高校生マイプロジェクトアワード2020　全国サミットへの道

　私の勤める島根県立宍道高校は定時制通信制の学校で、世間では「セーフティーネット」的な役割があり、通っている生徒自身も「勉強ができない生徒がいくところ」と言いきってしまう　( ﾉД`)ｼｸｼｸ…

　しかし近年、そういう偏見から抜け出したい！という生徒たちが現れた。去年から参加したマイプロの大会。まなびDesignチームが全国サミットに参加したことをきっかけに、「まなびとは何か？」と生徒や教員の中で問われる雰囲気が広がったと感じている。

　ちなみに私がマイプロに関わるきっかけになったのは5年前。「ハイプロ」という未知なる合宿（笑）にその当時席が隣だったCNさんの代理で奥地の学校から山を越えて生徒と参加。2泊3日で生徒たちの変容を目の当たりにし、CNという方々の熱量に圧倒され（その時のメンバーのすごいこと！）気が付いたら、次の年島根大学のCN養成コースの受講生になって（最高齢）学びなおすという運命に、、、この話はまた次の機会で。つまりは生徒のＰＪに伴走することの喜びを知ってしまったのでした。

　さてさて、今年（R2）はコロナ禍で6月からの登校となり、マイプロできそうにないなあと思ってました。就職試験の準備もままならず、とりあえず履歴書埋めるネタ作りに「ごみ拾いでもしよっかーーー」てなカンジ・・。ところがこのごみ拾い、捨てたもんじゃない、付き合って歩いているうちに私のほうがはまってしまったのです。ここで原動力となったのが、「Feel℃walk」市川力さんのFBで知り、ぶらぶら歩きながら探究のネタ探ししようという魂胆でした。ところが、ごみ拾い自体が面白くて、とにかくそれだけでいいことをしている気になるし、地域の人たちにはお礼を言われるし、なにより友達と他愛もない会話をするのが楽しいらしく、気が付いたら就職内定後も「ごみ拾いWalk＋」という活動として継続していったのでした。

　「ごみ拾い」がPJになるなんて考えていませんでしたが、去年の先輩にも励まされ、半分だましだまし、マイプロの島根県大会に出てみようよ、、という流れになりました。

　その後、ごみ拾いにはまったこの二人と共に、11月には他校の生徒たちとのジオパークツアーに誘って、海岸ゴミの清掃活動へと発展しました。「バスに乗って日御碕ツアー➡豪華お弁当がいただけるらしい」という甘い誘いにまんまと引っかかった二人は、結局高尾山（標高361m）登山まで雨の中付き合わされ（笑）へとへと。靴はどろどろ、服はべちゃべちゃ。途中の戦争遺跡にびびりながらの初登山体験でした～。

そんな残念な体験をものともせず、彼らは仲間を増やし、ただひたすらごみ拾いをつづけたのでした。「ごみ拾いって、なんかきもちいい！」「楽しいっす！」

「こんな活動がプロジェクトになるんだろうか？？」という私の不安を吹き飛ばすように、「ただただ好きで歩いているよ。」「宍道湖が好きなんだよ。」「子どものころから遊んでいたし、ずっときれいな湖であってほしいし、俺たちの宍道湖だからなっ！」
　うをーーー！！もうこれ、立派なプロジェクトゴール。しかも本気。それを伝えればいいんだよ。

　うーーんどうやって伝えようか？「私はみんなの絵をかきたい」

「おれ、プレゼンとかそーいうのできんし、勉強嫌いだから、ヒップホップでいくわ。」
DJやってるNがスケボー片手になにやらつくったショートビデオ。あれ？いつの間に？自分で作ったごみ拾いの詩に曲ついてる！これってそのままプロジェクトの成果物ではないか・・・。

「プロジェクトの伴走とは？」とか、「高校生の地域探究・協働共創とは？」とか、「SDG‘ｓ社会課題解決とは？」などなど考える余地もなくひたすら好き💗好き💗でごみ拾いをしてきただけ。勉強は大嫌いだけど「宍道湖への愛」は誰にも負けません。先生！「勉強嫌い」って本音で言っても大丈夫？
　プロジェクト名もそのまんまにしよっ。それが本当の本気の俺たちだから。別に誰かのためにとか、賞をとるためにやってきたわけでもないしね。

素直でひたむきですこしつっぱったヤンキーとギャルたちの発表は、なんだかんだ審査員の心をつかみ、県代表という名誉な評価をいただきました。やったね。

その後、県知事さんにも作品をみてもらうことができ、全国マイプロにも参加させてもらうことが決まり、卒業式の日に晴れ姿で最後のプレゼンを収録しました。重ね重ねおめでとう！

勉強嫌い、学校嫌いが、がんばってやりとげた「ごみ拾いWalk＋」卒業したあと、もっと嫌いなことや大変なことにもぶちあたり、相変わらず生きづらくているかもだけど、好きで好きでたまらない美しい宍道湖のことを思い出してがんばってほしいな。

彼らから学んだことはたくさんあるけれど、何より伝えたいこと「わたしだって美しい宍道湖を未来に残したい！」「誰よりも宍道湖が好きだ！」

「愛のあるトコロ」によいプロジェクトがうまれ夢が描けます。「勉強嫌いの俺らと宍道湖の物語ーごみ拾いで描く夢」