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14歳の断捨離、心の世界の再構築


生まれて来た子供の速度に合わせてギアチェンジし、
ゆっくりと丁寧に紡がれて来た日々の営み。
でも、いつの間にか、その子供の進む速度についていけていない、
自分自身を実感する、今日この頃。
娘が14歳の頃、学校が1週間休みの時、何と「こんまり」さんの影響で断捨離を始めて、飾り棚まで取っ払うという地殻変動が、我が家の一部で起きた時のお話です。



あれもこれもポイ

丁度その週は、私はオンラインで会議、レポートの推敲、追記と提出、
夫は短期間の自宅滞在中で、次の出張に間に合わせなければならない
仕事を、自宅のそれぞれの仕事部屋でしていました。
夫のオフィスは庭の離れだからまだ良いのですが、私の場合は、
地殻変動がスマホから流れる音楽とともに、すぐ隣の部屋で起きておりまして。

そして、まず最初に、娘の部屋から全て取り払われたのは、
私の描いた何枚もの額に入った絵。
そして、後から後から、箱や紙袋から溢れ出しそうになった
物の山が部屋の外に出されてきます。

「ああ、それもいらないんだ」
「それは、とっておけばいいのに」
「それ、後で必要になって買うのは誰なの?」
「ああ、壁が。傷付いちゃうよ、もう」

少々の胸の痛みとともに、頭の中を数々の思いがめぐります。

これは、娘の大切な成長の一環なのでしょう。
濃厚な子供時代だったからこそ、
今、またリセットして、新しいものを吸収したい。
そんな気持ちなのでしょう。

わかるのですが、わかっていても、
このモヤモヤとした、
家族全員が、何となくイライラした変な感じ。

「物を大切に」
「感謝の心」
「まだまだ使える」
「まだまだ、使ってほしい」

いろんなワードが、更に、私の脳内を廻り続けます。
その背後には、まだまだ子供でいてほしいと、
普段は隠している親の願望がある訳です。

最初のうちは、ここが優しくする場面なのかにさえ、混乱。
そして平静を装うと、何となく冷たく突き放した感じになってしまう。

右往左往する親心。
今まで、やって来た事へのプライドと承認欲求。

娘のリセットは私たちにも、親として、人間としての
リセットが要求される時なのでした。


思春期の心の世界の再構築

何かに突き動かされるように、行動を起こしている娘。
相変わらず、そこは理屈を超越した世界。
彼女が新しく構築しようとしている世界の始まり。
私達が、親として彼女の安全と幸福のために用意した居心地の良い巣が、
どんどん姿を変えてゆく。

まだまだ、14歳。外に飛び出してゆくには若すぎる。
それは、勿論、本人も承知しているから。
だから、地殻変動は心から始まり、
新しい世界は自分の部屋でまず構築される。

ああ、ママのこともパパのことも、本当は断捨離したいんだろうね。
あなたの、新しい世界はきっと美しいものになるのでしょう。
そこに、私たちは親の権力を振りかざして居座ってはいけない。
あなたは、私達の所有物でも、プロジェクトでもない。

生まれて来てくれて、沢山の喜びと幸せをくれた、
あなたの成長のワンステージを、その都度サポートし、
それに伴う痛みや寂しさは甘受しなければならない。
親が、子供を守るために引き止めて良い場面と、
そっと見守る場面とがあると思います。

とても些細なことのようにも思える、この部屋の模様替え。
でも、今ここで、私達のエゴで手出し、口出しをしたら、
彼女の新しい世界が歪んだものになってしまうかもしれない。

蝶々になる前のサナギが居心地よく過ごす場所。
外の世界を夢見ながら内面を構築する場所。
それは、彼女が自分で感じては繕い、形作らねばならない場所。

親子の愛とは、仲良しごっこではないみたい。
けれど、そおっと見守っていて、実はちゃんと護っている。
そして、決して自己顕示欲ではない愛情や心配で、
時にはうるさがられる事で、メッセージを送り、
いつでも、帰ってこれる場所、
でも縛られる場所ではない、
世界で(今のところは)唯一の場所を提供してあげる。

娘の成長に、ぎゅうぎゅう絞られ引っ張られ、私も成長を迫られます。
だって、私は本当は短気で、出来た人間ではないのだから。
でも、この痛みや辛さは全部私の血肉となって、
前へ歩いていく栄養になる。
この栄養の消化吸収には、かなりのエネルギーがいるけれど。


断捨離後の、娘の本棚。
更に色分けされて、ちゃんと沢山の本達が詰まっています。

本達は居場所をキープできたようでした。




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子どもに教えられたこと

舞台衣装製作の勉強のため1990年代に渡英。noteで国際結婚、海外で娘を3ヶ国語で育ててきた経験エッセイと共に、絵本などを発表してゆきたいです。画像イメージは全て私自身の撮影です。画像使用等についてはプロフィールをご参照くださいね。