【アマテラス】天の岩戸に引きこもった太陽の女神を知恵の神オモヒカネが作戦を立ててなんとかした話【日本神話】
どーも、たかしーのです。
今回は日本の神話に登場する『アマテラス』について、書いていきたいと思います!
神話の時系列としては「スサノオが高天原を追放される」前になるため、この記事よりはちょっと前の話になります。
そもそもアマテラスとは?
日本の神々の中で最も尊い女神
「古事記」には、天照大御神と表記され、日本神道の最高神とされている女神です。
なぜ、アマテラスが最高神なのか?についてですが、
天皇家の祖先神(皇祖神)であるから
天皇はエライ→天皇の祖先だからもっとエライ⇒だから最高神!
太陽の女神だから
日本人の主食は米→豊作には日照り(太陽)は欠かせない⇒だから最高神!
など、諸説あるようです。
イザナギの左目から産まれたスサノオの実の姉
おさらいになりますが、アマテラスは、ヤマタノオロチ討伐で活躍したスサノオの実の姉にあたる女神であり、イザナギの禊で左目を洗った際に生まれ落ちた神様であると「古事記」ではされています。
※「日本書紀」では、出自が異なり、イザナギとイザナミが「天下の主となるものを生み出そう」として産んだ神とされています。
このイザナギの禊から産まれた3柱の神(アマテラス/ツクヨミ/スサノオ)のことを「三貴子(または三貴神)」と呼びます。
中でも、アマテラスはその高貴さゆえに、イザナギからじきじきに自身の首飾りを与えられ、天上界である高天原(たかまがはら)を治めることとなります。
「天孫降臨」したニニギの祖母
本日紹介します神話には登場しませんが、「古事記」にはアマテラスの孫であるニニギ(邇邇藝命)が登場します。
このニニギが高天原から地上に降り立ったエピソードが、かの有名な「天孫降臨」であり、このニニギのひ孫が初代天皇である神武天皇となります。
※このエピソードは、また別の記事で書きたいと思います。
それゆえ、アマテラスは、天皇家の祖先神(皇祖神)として、皇室・朝廷の崇敬を受けることとなります。
今回は、そんなアマテラスの有名なエピソードである「天の岩戸」を「古事記」をベースに書いていきます。
アマテラスが天の岩戸から出てくるまで
前回までの話は、こちらに書きましたので、気になる方はご覧ください。
超カンタンに前回のあらすじを書くと、弟であるスサノオがサイコパスすぎて、実の姉であるアマテラスが引きこもってしまったというお話でした。
オモヒカネ「ええ作戦思いついたでぇ!」
高天原を治める神であると同時に、太陽を司る神でもあるアマテラスが、天の岩戸(天の岩屋戸)という大きな岩づくりの部屋に隠れてしまったことで、地上界は闇に包まれ、あらゆる災いがすべて起こるようになってしまいました...。
そこで、高天原にいる神々は考えます。
「この天の岩戸からアマテラスをおびき出すんにはどうしたらええんや」と。
すると、知恵の神であるオモヒカネ(思金神)が、あることを思いつき、神々と協力して、次のような作戦を行うこととなります。
オモヒカネのおびき出し大作戦(準備編)
オモヒカネは、作戦の準備として、以下のようなことを指示します。
パッと見て、意味不明だとは思いますが、それぞれ何をしたのか、ざっと解説します。
①常世の長鳴鳥(鶏)を集めて鳴かせる
これはそのままですが、常世の長鳴鳥という鶏(ニワトリ)を集めて鳴かせます。この鶏の鳴き声の音量で、アマテラスをおびき出すのが狙いです。
これはシンプルにやかましいでしょうね。
②八咫鏡(やたのかがみ)を作らせる
これはイシコリドメ(伊斯許理度売命)という女神に頼んで、八咫鏡(やたのかがみ)を作ってもらうというものです。
八咫鏡は、のちに三種の神器のひとつとなる鏡のことです。
この素材となった鋼は、古事記には鍛冶師のアマツマラ(天津麻羅)が鋳造したと書かれており、これにより、アマツマラは鍛冶の神とされています。
で、この八咫鏡ですが、何に使われるかは、あとでわかります!
③八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作らせる
で、こちらはタマノオヤ(玉祖命)という神さまに頼んで作ってもらうというものです。
八尺瓊勾玉は、のちに三種の神器のひとつとなる勾玉のことです。
古事記では、この後の話で、スサノオがヤマタノオロチを倒した際にゲットした草薙剣(天叢雲剣ともいう)をアマテラスに献上することになるので、これにより三種の神器が揃うことになります。
で、この八尺瓊勾玉も、何に使われるかは、あとでわかります!
④太占(ふとまに)をさせる
太占(ふとまに)とは、獣の骨を火で焼き、その亀裂の入り方で吉凶などを判断する占いのことを言います。
この太占を、祝詞(のりと)の神であるアメノコヤネ(天児屋命)と、祭祀(さいし)の神であるフトダマ(布刀玉命)を呼び寄せて、行わせます。
古事記によれば、両神は、雄鹿の肩の骨を抜き取り、ハハカの木に火をつけ、その火で焼いて、吉凶を占ったそうです。(この占いのために使われた雄鹿よ…)
おそらく、この後の作戦がうまく行くかどうかを占ったのだと思います。
オモヒカネのおびき出し大作戦(実践編)
さて、準備ができたところで、今度は作戦を実行へ移していきます。
まず、先ほどの準備で作られた八咫鏡と八尺瓊勾玉ですが、これらを根ごと掘り起こした榊(さかき)の枝に飾り付け、さらにそこから布を垂らし、これを御幣(ごへい)とします。
御幣とは、神様への捧げ物のことです。
神道の祭祀で捧げられ、用いられるものを言います。
通常は、このような切り紙を竹や木で挟んだもので、どこかの神社でも1度は目にしたことがあるかと思います。
でもって、古事記に戻りますが、完成した御幣というのが、こちらです。
思っていたのとちゃう。笑
ただ、めっちゃ豪華な御幣であることはよくわかりました。
これを、祭祀の神ことフトダマに捧げ持たせることにします。
なので、八咫鏡と八尺瓊勾玉は、神様、アマテラスへの捧げ物の一部だったんですねぇ。
次に、祝詞の神であるアメノコヤネが祝詞を唱え始めます。
祝詞とは、神に対して唱える言葉のことです。
神職が神前で「恐み恐みも白す(かしこみかしこみもまをす)」と唱えているアレです。
つまりは、フトダマ・アメノコヤネの両神が、天の岩戸に閉じこもったアマテラスに対して、儀式を執り行ったということになります。
そこから、また新キャラ登場!
そんな儀式の最中に、腕力の神であるアメノタヂカラヲ(天手力男神)が、天の岩戸の脇に隠れて、待機をします。
そして、またまた新キャラ!
芸能の女神であるアメノウズメ(天宇受賣命)が出てきて、桶を逆さまにして置いた即席の舞台にあがり、皆の前で狂ったかのように踊るではありませんか。
で、あまりの踊り狂いに、乳はもろだしになるわ、着物ははだけまくるわ。
この様子を見た、高天原の八百万の神々は、一斉に大笑い。
ある意味、アマテラスが閉じこもっている間に、急に宴会が始まったような、大騒ぎとなりました。
アマテラス「え?なんでみんな楽しそうなん|ω・`)チラッ」
となると、アマテラスは外の様子が気になって、しょうがありません。
たまらず、アマテラスは天の岩戸を少し開けて、こう尋ねます。
アマテラス「なぁ、ウチが引きこもってるっちゅーのに、なんでみんな楽しそうなん??」
すると、踊り狂っていたアメノウズメが、こう答えます。
アメノウズメ「あなた様よりドエライ神さまが現れたんで、皆で今それを祝っているところです!」
そして、このタイミングを待っていたかのように、祭事をしてたアメノコヤネとフトダマが、八咫鏡を持ち出して、アマテラスに掲げます。
すると、この鏡に写った自分の顔を、ホントにドエライ神さまだ!と勘違いをしたアマテラスは、その姿をもっとよく見ようと、天岩戸から思わず身を乗り出すようになりました。
そのスキを、脇に隠れて待機をしたアメノタヂカラヲは見逃しませんでした!
すかさず、アマテラスの腕を掴んで引っ張り出し、外へと連れだすことに、見事成功しました!
そして、アマテラスが引きこもっていた天の岩戸には、フトダマが注連縄(しめなわ)を張って、こうひとこと。
フトダマ「もうこの中へは入らんといてください…。(切実)」
こうして、太陽の神であるアマテラスが天の岩戸から出てきてくれたことで、高天原も地上界にも再び明かりが戻ることになりました。
たくさん神さまが出てきたのでまとめました
今回『○○の神』と呼ばれる神さまがたくさん登場しましたので、最後にざっとまとめてみました。
太陽の神:アマテラス(天照大御神)・・・天の岩戸に引きこもっちゃった女神
知恵の神:オモヒカネ(思金神)・・・今回の作戦のブレインとなった神
鍛冶の神:アマツマラ(天津麻羅)・・・八咫鏡の鋼を鋳造した神
鏡造りの神:イシコリドメ(伊斯許理度売命)・・・八咫鏡を作った女神
玉造部(※)の祖神:タマノオヤ(玉祖命)・・・八尺瓊勾玉を作った神 ※古墳時代に勾玉などの玉類の製作に従事したヤマト王権の職業部。
祝詞の神:アメノコヤネ(天児屋命)・・・祝詞を唱えた神
祭祀の神:フトダマ(布刀玉命)・・・御幣を捧げ持ち、天の岩戸に注連縄を張った神
腕力の神:アメノタヂカラヲ(天手力男神)・・・アマテラスを天の岩戸から外へ引っ張り出した神
芸能の神:アメノウズメ(天宇受賣命)・・・踊り狂った女神
ホントに日本にはいろんな神さまがいらっしゃいますねぇ…。
おわりに
このあと、アマテラスを引きこもらせた罰で、スサノオが高天原から追放されるわけのですが、アマテラスを外へと連れだすために、高天原の八百万の神々が相当いろいろ頑張ったのだなというのが、よくわかる回でしたね。
また、この古事記には、現在の神事にも通ずる儀礼もしっかりと書かれていたようで、この頃の日本は、このような形式で儀式を執り行っていたのだなというのも読み取れます。
あと、八咫鏡に映ったアマテラスが自分の顔を見て「うわ、スゴイ神さま(゚∀゚)キタコレ!!」と勘違いしたのが、個人的な面白ポイントでした。
当然ながら、当時は、自分の姿がキレイに映る鏡はなかったでしょうから、大人になってから「自分ってこういう顔だったの…」とリアクションする人もいたんだろうなということが想像できます(水面に映った自分の顔を見るとかはあったかもですが…)
次回こそ「古事記」オオクニヌシ編を書く予定ですので、お楽しみに!
他にも、歴史上の人物や神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!
それでは!
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