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【オオクニヌシ】最高神アマテラスから国譲りを迫られるもなんとか11年ぐらいはもった話【日本神話】

どーも、たかしーのです。

今回も、前回に引き続き、日本の神話に登場する『オオクニヌシ』について、書いていきたいと思います!

前回までのお話

今回は、日本神道の最高神であり、サイコパス神スサノオの実姉でもあるアマテラスが登場する「国譲り」にまつわるお話です。


大国主の国譲り 前編

※今回も「古事記」をベースに書いていきます。

前回、スクナビコナやオオモノヌシのサポートを経て、葦原中国(地上界)の国造りを進めていった国つ神オオクシヌシですが、その様子をよく思わなかったのが、高天原(天上界)に君臨する天つ神アマテラスだったのです…。

アマテラス、再登場!

アマテラス(wikipedia)

天つ神アマテラスですが、おさらいをすると、イザナギの禊によって左目から誕生し、その高貴さゆえに高天原を治めることになった女神のことです。
太陽を司る神でもあることから「日本人の主食は米→豊作には日照り(太陽)は欠かせない」という発想により、日本神道の最高神とされています。

アマテラスは誕生した後、なんやかんやあって、1度引きこもり、世界がどエライことになりました(太陽がずっと隠れてしまったので)が、高天原に住む神々が力を合わせてこれを解決し、この原因を作った実の弟・スサノオを高天原が追放しました。

↓「天岩戸」のお話はこちらから

そのスサノオは、葦原中国でヤマタノオロチを倒すなど活躍を見せますが、その後、スサノオは根の国(地底界)へ移住し、葦原中国はオオクニヌシに任せることとなりました。ちなみに、スサノオの娘を娶ったりしているので、あまり印象は薄いのですが、オオクニヌシ自身もスサノオの子孫であったりします。

そんなスサノオの子孫であり、またスサノオの娘婿でもあるオオクニヌシが、アマテラス自身の生みの親であるイザナギがつくった葦原中国を治めることに対して、不満があったのかもしれません。

アマテラスは、高天原に住む神々にこう伝えます。

アマテラス「いやいや、葦原中国はウチの子アメノオシホミミが国造りしたほうがええんちゃうの?」

アメノオシホミミ(wikipedia)

このアメノオシホミミ(天之忍穂耳命)とは誰なのかというと、かつてスサノオが自身の潔白を証明するために挑んだ誓約によって産まれた神であり、アマテラスが持っていた勾玉から産まれた五柱の男神の長男です。

↓「誓約」のお話はこちらから

【悲報】葦原中国、ヤバイ…

というわけで、アマテラスからオオクシヌシに代わって国造りを命じられたアメノオシホミミでしたが、いざ葦原中国を覗いて、ビックリ!
すぐさま、アマテラスへ報告に向かいます。

アメノオシホミミ「申し上げます。葦原中国は大変騒がしいところで、もはや私の手には負えません…」

この報告を受け、アマテラスとタカミムスビは、八百万の神を集めて会議を開きます。

このタカミムスビ(高御産巣日神)とは誰なのかというと、なんと天地開闢から2番目に誕生した神様で、造化三神(最初に産まれた三柱)の一柱とされています。
※最初に産まれた五柱を別天津神(ことあまつかみ/天津神とは別格の神様)と呼びますが、この中にもタカミムスビは含まれています。

↓「天地開闢」のお話はこちらから

この会議で、葦原中国には乱暴な国つ神がたくさんいることを知ったアマテラスは、どの神を派遣すれば、葦原中国を服従させることができるか?を、知恵の神・オモヒカネをはじめ、神々に問いかけます。

オモヒカネは、高天原のブレインであり、「天岩戸」のお話では、アマテラスをおびき出すためにアイデアを出した神様でもあります。

ここで、アメノホヒ(天菩比神)が良いのではないか?という話になり、葦原中国へと派遣させることとなりました。

【悲報】アメノホヒ、戻ってこない…

ところが、派遣してから3年経っても、アメノホヒから何も報告がありません。どうやら、オオクニヌシがアメノホヒを懐柔し、自身の家来にしてしまったようです。

困ったアマテラスとタカミムスビは、また会議を開き、すぐさま次に派遣をすべき神様を誰にすべきか?問います。

すると、次はアメノワカヒコ(天若日子)が良いのではないか?という話になり、今度は、話し合いによる交渉ではダメと判断したのか、天之麻迦古弓(あめのまかこゆみ)という弓と、天之羽々矢(あめのははや)という矢を与えて、葦原中国へと派遣させることとなりました。

【悲報】アメノワカヒコも、戻ってこない…

ところがところが、派遣してから8年経っても、アメノワカヒコからも何も報告がありません。

これにまた困ったアマテラスとタカミムスビは…

アマテラス「あれ~、アメノワカヒコが全く帰ってこないんですけど…。理由を調べてほしいんですけど…。」

と、またまた会議を開き、高天原の神々に問いかけます。

すると、高天原のブレインであることオモヒカネがこう言うのです。

オモヒカネ「やったら、ナキメ(鳴女)という(きざし)を行かせてみたらどーや!」

キジ by Alpsdake(wikipedia)

(きざし)というのは、キジのことです。
つまりは、高天原の神々はアメノワカヒコの様子をキジに見に行かせることにしたのです。

【悲報】ナキメ、逝く…

さて、その渦中のアメノワカヒコですが、葦原中国で一体何をやっていたのか?

実は、オオクニヌシの娘であるシタテルヒメ(下照比売命)を妻にして、葦原中国を譲り受けようと企み、その日が来ることをずっと待っていたのです。
シタテルヒメは、オオクニヌシとタキリビメ(多紀理毘売命)の間に産まれた娘です。

そうとは知らずに、様子を見に来たナキメ(キジ)がアメノワカヒコの家の前で大きな鳴き声をあげ、アマテラスからの使命を果たさないことを警告すると、あろうことか、アメノワカヒコはアマテラスから授かった弓矢(天之麻迦古弓と天之羽々矢)で、ナキメを射抜き、なんと殺してしまったのです…(キジ….!!!!!!)

【悲報】アメノワカヒコも、逝く…

ナキメを射抜いた矢は、そのまま高天原にまで飛んでいきました。
そして、この血が付いた矢が、アメノワカヒコに与えた天之羽々矢であることを知ったタカミムスビは、

タカミムスビ「アメノワカヒコが命令に背かないで、この矢が飛んで来たんだったら、この矢はアメノワカヒコに当たるな!もしアメノワカヒコに邪心があるんやったら、この矢に当たれ!

と言って、葦原中国に矢を投げ返したのです。

さて、その矢はどうなったのか…?

ちょうど、ナキメを射抜いてホッとしたのか、寝ていたアメノワカヒコの胸にぶっ刺さり、結果、アメノワカヒコは死んでしまったのです。(つまり、邪心があったことがバレてしまったか…)

【悲報】アメノワカヒコの親族、炎上する…

これに悲しんだのは、妻であるシタテルヒメでした。
シタテルヒメの泣く声は、アメノワカヒコの父であり、天つ神であるアマツクニタマ(天津国玉神)とその妻のもとにも届き、わざわざ下界である葦原中国にまで降りてきて、ともに悲しみを分かち合ったのです。

そして、喪屋と呼ばれる葬儀用の仮小屋を建てて、葬式をしていると、なんとアメノワカヒコ(!?)が自分の葬式にやってきたのです。

この蘇ったアメノワカヒコ(!?)を見たシタテルヒメとアマツクニタマ夫妻は…

シタテルヒメ「ウチの夫が死なずに生きていた!」
アマツクニタマ夫妻「ウチの子が死なずに生きていた!」

と大いに喜び、その神様にみんなして抱き合います。

しかしながら、その神様は、もちろんのこと、アメノワカヒコではなく、アヂシキタカヒコネ(阿遅鉏高日子根)と言う名の神様で、シタテルヒメの兄弟、つまり、オオクニヌシの息子だったのです!(兄弟なんだったら、見間違えるなよ…)
アヂシキタカヒコネも、母親は同じタキリビメ(多紀理毘売命)です…。

実は、アメノワカヒコを弔うためにやってきたアヂシキタカヒコネだったのですが、このようなアメノワカヒコの親族たちの振る舞いに…

アヂシキタカヒコネ「友人だからこそ葬式に来たんやぞ!なんで死人と見間違えられなきゃならんねん!(怒)

と激怒し、所持していた神度剣(かむどのつるぎ)で、喪屋を切り倒してから、蹴り飛ばしてしまいました。(これぞ、ホントの死体蹴り…)

昔の人の価値観として、死=穢れであったので、この穢れの対象として間違えられたのが、アヂシキタカヒコネの琴線に触れたんだと思われます。

おわりに

※あくまでイメージです

今回は「古事記」上巻に記述されている『オオクニヌシ』の話の中から、「大国主の国譲り」について書いていきました。

ちなみに、今回で4回連続オオクニヌシが登場する話を書いていますが、実は「古事記」に登場する神話のうち4割が出雲神話だったりします。

では、天皇家の正統性をアピールするための歴史書である「古事記」に、なぜ天皇の祖先神でない神話がこれほどまでに登場するのか?ですが…

これは古代日本を統一したヤマト王権大和朝廷ともいう)にとって、出雲国は最大の強敵であったことを暗示しており、この出雲国がいかに強力であったかを示すために、全体の4割を裂いてでも、出雲神話について書いたのだ、と考えられています。

そういった前提を踏まえて、今回の話を読んでみると、葦原中国(おそらく出雲国を想定して書いたであろう)がなかなか服従をしなかった様子が描かれていることが読み取れますし、かつ天つ神が帰ってこなかった年数が、キチンと3年、8年と書かれていることから見て、神話ではあるものの、元ネタがあるかのようなリアリティを感じることもできます。

まあ、神話なので、SF小説っぽく読むことができますが、何もないところから神話を築き上げたのではなく、何らか実際に起こったことからインスパイアされて書いたものが「古事記」や「日本書紀」であると思いますので、どこかしらの要素は、ホントのコトかもしれませんね!(検証しようがないですが)

他にも、歴史上の人物神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!

それでは!


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