たけ

某事業会社のコピーライター

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某事業会社のコピーライター

マガジン

  • hall(エッセイ)

    慌ただしい日々の中で、溜め込んでしまった弱音を見つめ、受け止め、吐き出すための居場所

  • #マチコピ (街で見つけたコピー)

    街でたまたま見かけたコピーを、不定期で紹介していきます。

最近の記事

いいネーミング。 跳べる=軽さと脱げにくさを 同時に表していながら、とてもキャッチー。 #マチコピ

    • なんかぼーっとするなあって感じと、ちょっとぽっちゃりボディをタヌキで喩えているのか。 かわいく表現していて嫌味がない。

      • 落ち葉は最後の花

        落ち葉は、共感のために存在する命の抜け殻ではないのに、たくさんの人が落ち葉を見て、その寂しさを楽しんでいる。

        • 作家とライターを隔てる深い溝

          とある1冊の本の、Amazonレビューが中々衝撃的な評価で結構びっくりした。 その著者が、界隈ではカリスマ的な人気を誇るwebライターだったので、余計に驚いている。 もちろん、悪い意味で。 頭にぱっと思い浮かぶ、web界隈の著名人の著作をぜひ検索してみてほしい。僕の言っていることが理解できると思う。 書店で彼らの本を見かけたときに、その帯やプロフィールにはこんな肩書がよく書いてある。 ・Twitterフォロワー○○万人 ・月間○○○万PVのブロガー ・人気webライタ

        いいネーミング。 跳べる=軽さと脱げにくさを 同時に表していながら、とてもキャッチー。 #マチコピ

        • なんかぼーっとするなあって感じと、ちょっとぽっちゃりボディをタヌキで喩えているのか。 かわいく表現していて嫌味がない。

        • 落ち葉は最後の花

        • 作家とライターを隔てる深い溝

        マガジン

        • hall(エッセイ)
          17本
        • #マチコピ (街で見つけたコピー)
          2本

        記事

          季節を感じられないと死んでしまう

          季節の移り変わりのタイミングは、体調を崩しやすいという。実感を覚える方も多いだろう。 急に熱くなったり、寒くなったり。気温の急激な変化に、体はついていくことができない。 だんだんと暑さや寒さが肌に馴染み、体は季節を少しずつ受けて入れていくのだ。 季節が変わる時期に、不調をきたすのは体だけではない。「心」の不調を訴える人も多いのだとか。 こちらも、実感を覚える人が多いのではないだろうか。 鬱、とまではいかなくても、なんだか重苦しいような感じがして、ずーんとしたような調子に

          季節を感じられないと死んでしまう

          夏が遺していったもの

          秋には連れて行ってもらえない、命。

          夏が遺していったもの

          だんだん夏が遠ざかる

          いつの間にか蝉にも触れなくなって、海も入りたくなくなって、暑いのも嫌になって、夏が夏じゃなくなっていった。 夏らしさを感じなくなったのは、外に出れないからじゃない。 花火がやってなかったり、プールに行けなかったり、縁側のない家に住んでいないからじゃない。 ごらんよ。玄関のドアを開けて、一歩足を踏み出せば、もうそこに夏はあるじゃないか。 蝉の音、ぎらぎらとした陽射し、むんむんとした熱気、入道雲、青々とした緑。 そういう「日常の夏」を聴かないで、見ないで、嗅がないで、触ら

          だんだん夏が遠ざかる

          金木犀を知らなかった頃

          キンモクセイを知らなかった頃、それはキンセイやモクセイのように、宇宙に浮かぶひとつの星だと思っていた。 はじめて見たキンモクセイは、地に堕ちた太陽のようだった。 キンモクセイが花の名前だと、知らないままでもよかった。 キンモクセイを知らなかった頃、キンモクセイとは知らずに、その花の匂いは風とともにやってきた。 キンモクセイを知った今、花の匂いではなくて、キンモクセイばかりを追いかけている。

          金木犀を知らなかった頃

          用意されたチームで、「みんなのために」なんてできない

          「チームのために」という言葉があまり好きじゃない。 同調圧力というか、義務感というか、強制力を感じて、苦しくなる。 そもそも、チームのメンバーは僕が選んでいない。ずっとだ。ずっとチームのメンバーなんて選べなかった。 学生だった頃もクラスメイトは選べなかった。「席替え」なんて制度があるくらいだから、もちろん、隣の席に座る人も決められない。 小学校、中学校、高校と嫌いではなかったけれど、どこか息苦しさを感じていた。でも、大学はとても楽しかった。 大学は、全部自分で選べた。

          用意されたチームで、「みんなのために」なんてできない

          喉の渇きを潤すためだけに、水を飲まないのが人間だ

          どうやら、人生に意味はないみたい。 何事も突き詰めて考えてみると、いつか「意味の壁」にぶつかる。 朝起きて、カーテンを開いて、風を感じることにも、 仕事がうまくいって同僚や上司に認められて評価されることも、 新発売のアイスが、どこのコンビニに行っても売ってないことも、 久しぶりにゆっくりと湯船に浸かれることも、 オムライスの卵がいい感じに焼けたことも、 全部意味はない。 意味がないので、僕たちは、あらゆる物事に意味を見出す。脅迫的に。 本当は食事も仕事も睡眠も、お金も、

          喉の渇きを潤すためだけに、水を飲まないのが人間だ

          雨の日が嫌いなんて、言いたくない

          しばらく雨の日が続いている。 正直、気分があまり浮かない。 そのせいなのか、最近めっきり涼しくなり(肌寒さすら感じる)、秋の気配をその肌から感じるようになった。 新しい季節が近づいているというのに、どんよりとした気持ちになるのはなぜだろう。 それは雨が降っているからだと思う。 雨。小さい頃はそんなに嫌ではなかった…と思う。でも、物心ついたときには、雨は紛れもなく、僕の生活の敵になりつつあった。 自転車で毎日の登下校していた身にとっては、雨は本当に堪えた。カッパを着ていよ

          雨の日が嫌いなんて、言いたくない

          しおりとかいう名前だしバッグには本もあるけど…

          「しおりちゃんってさ、今どこに住んでるの?」 「んー、○○ですよ~、大学が近いから住んでるだけです(笑)」 「そうなんだ! 俺もあの辺良く行ってたよ! おしゃれな雑貨屋さんいっぱいあるよねー、しおりちゃん確かに似合いそうだわ」 「えー、そんなことないですって。わたし地味だし…この街に似合ってないなあって」 「いやいや、しおりちゃんは地味なんじゃなくて、落ち着いてるだけだよ。あと知性…そうそう、品性がある的な?」 「品性(笑)」 「いや、真面目に言ってるよ」 「ありがとうござい

          しおりとかいう名前だしバッグには本もあるけど…

          マッチより涙を売れば稼げるよ

          「マッチは、マッチはいりませんかー?」  クリスマスも終わり、今年もう過ぎようとしている頃。街は浮き足だった雰囲気に包まれていた。 「マッチは、マッチはいりませんかー?」  少女の声は、虚しく寒空に吸い込まれていく。いつもよりも豪華な食材を買い込んだり、欲しかったおもちゃやゲームを手に入れることができるこの季節に、マッチに目をくれる者など、誰一人としていない。  少女は寒さと辛さと寂しさに耐えかねて、売り物用のマッチを一本擦る。ぽわっと小さく火が燃えて、あたたかく輝き出す。

          マッチより涙を売れば稼げるよ

          共依存という手数料払う

           太陽と月。縦の糸と横の糸。焼き鳥とビール。海と水着の美女…世の中には、相性が良い「組み合わせ」というものがたくさんある。  太陽が月を嫌っているというのは聞いたことがないし、縦の糸は横の糸と交わりたいと思っているだろうし、焼き鳥はその火照った体を金色の泉に授けたいと考え、海だってセクシーな水着美女を受け入れたいはずだ。 世界は、すべて持ちつ持たれつだ。それは、俺たちだってそう。他人の意見なんて、どうだっていい。俺にはあいつが必要だし、あいつには俺が必要だ。それがどんな関係に

          共依存という手数料払う

          予想GUY

          「大学は…ほう、啓央大学ですか。」 「はい! 経済学を専攻しております!」 聡明で、利発で、ひとつひとつの所作からも知性を感じられるその青年。的を得た簡潔な受け答え。自信に満ち溢れたスマートな微笑み。同年代の若い女性たちが放っておかないような、清潔感のある端正な顔立ち。サッカーで鍛え上げたという、スーツが似合う細身で筋肉質な肉体。非の打ち所がない青年が目の前に座っていた。 「出身は…都内ですか。どちらなんですか?」 「荻窪です」 面接官である私の心が少し躍った。 「荻窪! 懐

          予想GUY

          カメムシ

           カーテンのたわみとたわみの間にカメムシがいた。一匹である。  どうしようかとしばらく考えを巡らせた。これがクモの類であれば、気づかないふりをしていただろう。もしくは、ハエの類であれば、すかさずティッシュ箱を持ってきて、窓ごとハエを打ちつけるだろう。  問題は、ここにいる虫が、カメムシであるということだ。カメムシは羽根のある昆虫であり、ティッシュで包み窓から逃がそうとすれば、こちらの方に飛んでくるかもしれない。それは絶対に嫌だった。  ましてや、ハエのように叩きつけることもで

          カメムシ