たけ

某事業会社のコピーライター

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某事業会社のコピーライター

マガジン

  • hall(エッセイ)

    慌ただしい日々の中で、溜め込んでしまった弱音を見つめ、受け止め、吐き出すための居場所

  • #マチコピ (街で見つけたコピー)

    街でたまたま見かけたコピーを、不定期で紹介していきます。

記事一覧

いいネーミング。
跳べる=軽さと脱げにくさを
同時に表していながら、とてもキャッチー。 #マチコピ

たけ
2年前
3

なんかぼーっとするなあって感じと、ちょっとぽっちゃりボディをタヌキで喩えているのか。
かわいく表現していて嫌味がない。

たけ
2年前
1

落ち葉は最後の花

落ち葉は、共感のために存在する命の抜け殻ではないのに、たくさんの人が落ち葉を見て、その寂しさを楽しんでいる。

たけ
2年前
2

作家とライターを隔てる深い溝

とある1冊の本の、Amazonレビューが中々衝撃的な評価で結構びっくりした。 その著者が、界隈ではカリスマ的な人気を誇るwebライターだったので、余計に驚いている。 もち…

たけ
2年前
7

季節を感じられないと死んでしまう

季節の移り変わりのタイミングは、体調を崩しやすいという。実感を覚える方も多いだろう。 急に熱くなったり、寒くなったり。気温の急激な変化に、体はついていくことがで…

たけ
2年前
4

夏が遺していったもの

秋には連れて行ってもらえない、命。

たけ
2年前

だんだん夏が遠ざかる

いつの間にか蝉にも触れなくなって、海も入りたくなくなって、暑いのも嫌になって、夏が夏じゃなくなっていった。 夏らしさを感じなくなったのは、外に出れないからじゃな…

たけ
2年前
3

金木犀を知らなかった頃

キンモクセイを知らなかった頃、それはキンセイやモクセイのように、宇宙に浮かぶひとつの星だと思っていた。 はじめて見たキンモクセイは、地に堕ちた太陽のようだった。…

たけ
2年前
5

用意されたチームで、「みんなのために」なんてできない

「チームのために」という言葉があまり好きじゃない。 同調圧力というか、義務感というか、強制力を感じて、苦しくなる。 そもそも、チームのメンバーは僕が選んでいない…

たけ
2年前
1

喉の渇きを潤すためだけに、水を飲まないのが人間だ

どうやら、人生に意味はないみたい。 何事も突き詰めて考えてみると、いつか「意味の壁」にぶつかる。 朝起きて、カーテンを開いて、風を感じることにも、 仕事がうまくい…

たけ
2年前
2

雨の日が嫌いなんて、言いたくない

しばらく雨の日が続いている。 正直、気分があまり浮かない。 そのせいなのか、最近めっきり涼しくなり(肌寒さすら感じる)、秋の気配をその肌から感じるようになった。 …

たけ
2年前
6

しおりとかいう名前だしバッグには本もあるけど…

「しおりちゃんってさ、今どこに住んでるの?」 「んー、○○ですよ~、大学が近いから住んでるだけです(笑)」 「そうなんだ! 俺もあの辺良く行ってたよ! おしゃれな雑…

たけ
3年前

マッチより涙を売れば稼げるよ

「マッチは、マッチはいりませんかー?」  クリスマスも終わり、今年もう過ぎようとしている頃。街は浮き足だった雰囲気に包まれていた。 「マッチは、マッチはいりません…

たけ
3年前

共依存という手数料払う

 太陽と月。縦の糸と横の糸。焼き鳥とビール。海と水着の美女…世の中には、相性が良い「組み合わせ」というものがたくさんある。  太陽が月を嫌っているというのは聞い…

たけ
3年前
1

予想GUY

「大学は…ほう、啓央大学ですか。」 「はい! 経済学を専攻しております!」 聡明で、利発で、ひとつひとつの所作からも知性を感じられるその青年。的を得た簡潔な受け答…

たけ
3年前
4

カメムシ

 カーテンのたわみとたわみの間にカメムシがいた。一匹である。  どうしようかとしばらく考えを巡らせた。これがクモの類であれば、気づかないふりをしていただろう。も…

たけ
3年前
3

いいネーミング。
跳べる=軽さと脱げにくさを
同時に表していながら、とてもキャッチー。 #マチコピ

なんかぼーっとするなあって感じと、ちょっとぽっちゃりボディをタヌキで喩えているのか。
かわいく表現していて嫌味がない。

落ち葉は最後の花

落ち葉は最後の花

落ち葉は、共感のために存在する命の抜け殻ではないのに、たくさんの人が落ち葉を見て、その寂しさを楽しんでいる。

作家とライターを隔てる深い溝

作家とライターを隔てる深い溝

とある1冊の本の、Amazonレビューが中々衝撃的な評価で結構びっくりした。
その著者が、界隈ではカリスマ的な人気を誇るwebライターだったので、余計に驚いている。

もちろん、悪い意味で。

頭にぱっと思い浮かぶ、web界隈の著名人の著作をぜひ検索してみてほしい。僕の言っていることが理解できると思う。

書店で彼らの本を見かけたときに、その帯やプロフィールにはこんな肩書がよく書いてある。

・T

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季節を感じられないと死んでしまう

季節を感じられないと死んでしまう

季節の移り変わりのタイミングは、体調を崩しやすいという。実感を覚える方も多いだろう。

急に熱くなったり、寒くなったり。気温の急激な変化に、体はついていくことができない。
だんだんと暑さや寒さが肌に馴染み、体は季節を少しずつ受けて入れていくのだ。

季節が変わる時期に、不調をきたすのは体だけではない。「心」の不調を訴える人も多いのだとか。
こちらも、実感を覚える人が多いのではないだろうか。

鬱、

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だんだん夏が遠ざかる

だんだん夏が遠ざかる

いつの間にか蝉にも触れなくなって、海も入りたくなくなって、暑いのも嫌になって、夏が夏じゃなくなっていった。

夏らしさを感じなくなったのは、外に出れないからじゃない。
花火がやってなかったり、プールに行けなかったり、縁側のない家に住んでいないからじゃない。

ごらんよ。玄関のドアを開けて、一歩足を踏み出せば、もうそこに夏はあるじゃないか。

蝉の音、ぎらぎらとした陽射し、むんむんとした熱気、入道雲

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金木犀を知らなかった頃

金木犀を知らなかった頃

キンモクセイを知らなかった頃、それはキンセイやモクセイのように、宇宙に浮かぶひとつの星だと思っていた。

はじめて見たキンモクセイは、地に堕ちた太陽のようだった。

キンモクセイが花の名前だと、知らないままでもよかった。

キンモクセイを知らなかった頃、キンモクセイとは知らずに、その花の匂いは風とともにやってきた。

キンモクセイを知った今、花の匂いではなくて、キンモクセイばかりを追いかけている。

用意されたチームで、「みんなのために」なんてできない

「チームのために」という言葉があまり好きじゃない。
同調圧力というか、義務感というか、強制力を感じて、苦しくなる。

そもそも、チームのメンバーは僕が選んでいない。ずっとだ。ずっとチームのメンバーなんて選べなかった。

学生だった頃もクラスメイトは選べなかった。「席替え」なんて制度があるくらいだから、もちろん、隣の席に座る人も決められない。

小学校、中学校、高校と嫌いではなかったけれど、どこか息

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喉の渇きを潤すためだけに、水を飲まないのが人間だ

喉の渇きを潤すためだけに、水を飲まないのが人間だ

どうやら、人生に意味はないみたい。
何事も突き詰めて考えてみると、いつか「意味の壁」にぶつかる。

朝起きて、カーテンを開いて、風を感じることにも、
仕事がうまくいって同僚や上司に認められて評価されることも、
新発売のアイスが、どこのコンビニに行っても売ってないことも、
久しぶりにゆっくりと湯船に浸かれることも、
オムライスの卵がいい感じに焼けたことも、

全部意味はない。
意味がないので、僕たち

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雨の日が嫌いなんて、言いたくない

しばらく雨の日が続いている。
正直、気分があまり浮かない。

そのせいなのか、最近めっきり涼しくなり(肌寒さすら感じる)、秋の気配をその肌から感じるようになった。
新しい季節が近づいているというのに、どんよりとした気持ちになるのはなぜだろう。

それは雨が降っているからだと思う。
雨。小さい頃はそんなに嫌ではなかった…と思う。でも、物心ついたときには、雨は紛れもなく、僕の生活の敵になりつつあった。

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しおりとかいう名前だしバッグには本もあるけど…

しおりとかいう名前だしバッグには本もあるけど…

「しおりちゃんってさ、今どこに住んでるの?」
「んー、○○ですよ~、大学が近いから住んでるだけです(笑)」
「そうなんだ! 俺もあの辺良く行ってたよ! おしゃれな雑貨屋さんいっぱいあるよねー、しおりちゃん確かに似合いそうだわ」
「えー、そんなことないですって。わたし地味だし…この街に似合ってないなあって」
「いやいや、しおりちゃんは地味なんじゃなくて、落ち着いてるだけだよ。あと知性…そうそう、品性

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マッチより涙を売れば稼げるよ

マッチより涙を売れば稼げるよ

「マッチは、マッチはいりませんかー?」
 クリスマスも終わり、今年もう過ぎようとしている頃。街は浮き足だった雰囲気に包まれていた。
「マッチは、マッチはいりませんかー?」
 少女の声は、虚しく寒空に吸い込まれていく。いつもよりも豪華な食材を買い込んだり、欲しかったおもちゃやゲームを手に入れることができるこの季節に、マッチに目をくれる者など、誰一人としていない。
 少女は寒さと辛さと寂しさに耐えかね

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共依存という手数料払う

共依存という手数料払う

 太陽と月。縦の糸と横の糸。焼き鳥とビール。海と水着の美女…世の中には、相性が良い「組み合わせ」というものがたくさんある。
 太陽が月を嫌っているというのは聞いたことがないし、縦の糸は横の糸と交わりたいと思っているだろうし、焼き鳥はその火照った体を金色の泉に授けたいと考え、海だってセクシーな水着美女を受け入れたいはずだ。
世界は、すべて持ちつ持たれつだ。それは、俺たちだってそう。他人の意見なんて、

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予想GUY

予想GUY

「大学は…ほう、啓央大学ですか。」
「はい! 経済学を専攻しております!」
聡明で、利発で、ひとつひとつの所作からも知性を感じられるその青年。的を得た簡潔な受け答え。自信に満ち溢れたスマートな微笑み。同年代の若い女性たちが放っておかないような、清潔感のある端正な顔立ち。サッカーで鍛え上げたという、スーツが似合う細身で筋肉質な肉体。非の打ち所がない青年が目の前に座っていた。
「出身は…都内ですか。ど

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カメムシ

カメムシ

 カーテンのたわみとたわみの間にカメムシがいた。一匹である。
 どうしようかとしばらく考えを巡らせた。これがクモの類であれば、気づかないふりをしていただろう。もしくは、ハエの類であれば、すかさずティッシュ箱を持ってきて、窓ごとハエを打ちつけるだろう。
 問題は、ここにいる虫が、カメムシであるということだ。カメムシは羽根のある昆虫であり、ティッシュで包み窓から逃がそうとすれば、こちらの方に飛んでくる

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