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スコセッシ新作に臨んで、過去の名作をポスターで振り返ると見えてきた凄さ(1976年〜)

たった一枚の画像から
映画の見所や印象を想起させる。

映画ポスターが好きです。

マーティン・スコセッシ監督の新作
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が
公開されています。

至極当然、論を俟たず、当たり前に
観に行くのは言わずもがなで大前提なんですが、

監督が作り上げた数々の名作を
いま一度振り返って
その達人級の手腕に思い巡らし
改めて最新作に臨むというのも
悪くないんじゃないでしょうか?

個人的に大好きな映画監督の一人です。

どうぞご一緒に、
映画ポスターの想起性にあやかって
しみじみと、鑑賞当時の感動を回顧しましょう。

クリエイターの方々に感謝を申し上げて。
※比較的ポスターが多く描かれた作品より
取り上げています。


▼タクシードライバー(1976年)


スコセッシとデ・ニーロの黄金コンビが始まる。

際立つのは孤独感。

70年代の退廃したニューヨークを走る
独りのドライバー。

戦争の後遺症による深刻な不眠。

どうしようもない「孤独」。
観客に共感するものが多分にあった。

次に浮かび上がってくるのは
「目線」

ルームミラーという
狭い範囲の視界から、
世の中を眺める。

映画を見る時ですら、
直視はしない。

片目を瞑って見つめるのは

鏡の中の自分。
銃口を向ける先も、自分。

その銃が、タクシーと重なる。

このジェスチャーが

こんなにカッコよく見える魔法。

崩壊していく。

何重にも重なる
自分の像。

それが、とある一点を
見つめることになる。

揺るがない視線の向かう先は———

▼レイジング・ブル(1980年)


実在のボクサーの栄光と破滅の半生。

描かれたポスターの数としては
少し見劣りするけど

優れた筆致によって
鬼気迫るリングの雰囲気が

蘇るよう。牛だ。

「怒れる雄牛」は栄光を手にする。

どこか孤独だ。


▼キング・オブ・コメディ(1982年)


コメディアンを夢見る主人公は
強引に自分を売り込んで行く。

興行的には振るわなかったものの
黒澤明、松田優作ら業界人の評価は高い。

その豊かすぎる表情は

デ・ニーロの幅広い演技力を
裏付けつつも

物語においては悲しい側面も
際立たせる。

妄想の歯止めがきかなくなり

自分と外の境界も曖昧になり

何かが凶器に変わる。
狂気?

含蓄のあるラストでした。

▼グッドフェローズ(1990年)



直訳すると「気の置けない友達」
マフィア界の隠語では
「自分と同じ組織の所属にある者」という意味

裏社会に独特の絆で出来上がった
3人の異質な格好良さ。

暗く浮かび上がる、友情。
そのあたり強調される描写が多い。

暴力を共にする結びつき。

ゾッとする、けどカッコいい。
印象的なシーンが蘇ってきます。

忘れられないシーンと言えば、
トミーの冗談。
みんなにつられて一緒に笑ってたら、

「何がおかしい?」
・・・ステッカーになっているほどの
印象的なセリフ。
急に真顔になって
「なあ、何が面白いんだ?」
と迫ってくる恐怖。

右下に映るヘンリーの
引きつった笑いがまた絶妙でした。

そして暴力。

暴力。

金、銃。

暴力の力で、飛び回る。

その行く先は———


まとめ

この記事を書き始めてから、
次から次へと素晴らしいポスターが
見つかってしまったのと、

監督が込めた映画への多大な思いに
触発されたようで
気づくと物凄い文量となっていました。

いったんここで区切り
一息つかせていただきます。

一人の名匠の来歴を振り返るのは
並大抵のことじゃなかった。

他にも思い出したい作品が
まだまだありますね。

あなたの記憶に潜む
とっておきの場面は
思い出されましたか?

ご覧頂きありがとうございました。

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