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フードデリバリー戦国時代を振り返る (2020~2022)

こんにちは!

今回は表題の通り、前職でお世話になったフードデリバリー業界のまとめについて書こうかと思います。
2020~2022年の3年間にフードデリバリー業界はどのようにして誕生し、競争し、発展してきたのかを時系列で記載していきます

1つの業界が誕生〜完成の過程を中にいる人として経験できることは滅多にないと思うので、“中にいた人としてまとめてみたい” と思ったのが このテーマで書こうと思ったきっかけです。

おそらくこれを読んでる人の方でも、昨年まではフードデリバリー使ってたけど最近は使わなくなった人も結構多いと思うので、懐かしみながら読んでいただけますと幸いです!


Ⅰ 2020年 フードデリバリー元年

 2020年はフードデリバリーが最も注目された年だったでしょう。1月から2月にかけてコロナウイルスが日本にも入り、3月に一斉に自粛が行われ、そのタイミングでウーバーイーツや出前館のサービスが躍進しました。
その後フードパンダやウォルトそしてDiDiフードのような外資系のフードデリバリーサービスが続々と参入しました。この時点ではまだどこのサービスが勝ち残るのか不明でした。

Ⅱ2021年 フードデリバリー大戦争

2021年。
各社が色々な施策を打ち群雄割拠、競争が大激化。そんな一年になったと思います。 クーポンの出し合い、広告の打ち合い、各社ともに新規ユーザー獲得に向けて、とてもタフな一年でした。
2021年の年初はウーバーイーツ、出前館、Wolt、フードパンダ、Menu、DiDiフードの主要6社が初めて同一都市(福岡)に集まりました。
この時のDiDiフードの勢いがとてつもなく、大打撃を受けたフードパンダは2ヶ月後に経営陣を刷新し最後の賭けに出ました。

5月にはアメリカの大企業ドアダッシュが日本市場に参入してきました。
7月には日本市場で絶好調だったはずのDiDiフードに陰りが見えてきます。 大阪と福岡で大成功したように見えたものの、その後ローンチする都市では全くシェアが取れず、同じタイミングで中国本国のDiDiも中国政府からの圧力で業績が不安定になりました。

そして11月、業界にビッグニュースが走ります。
ドアダッシュがWoltを買収。

2021年、年末に差し掛かり、ウーバーイーツが単月黒字化を達成。
出前館は黒字化に程遠かったものの順調にシェアを伸ばしていき、ウーバーと出前館の二強状態がほぼ全ての都市で構成されていました。

そうした中、2021年12月下旬。
なんとフードパンダが日本からの事業撤退を発表。


Ⅲ 2022年 フードデリバリー転換期

2022年に入り、コロナが落ち着き、元の生活に戻る兆候が見えてきました。その影響なのか、フードデリバリーの配達員を街中で見かける数は減っていき、次第に大衆はデリバリーを控え コロナ前のように外食を楽しみ始めたように思います。

私はDiDiフードに在籍していましたが、1月末時点での数字を見て 事業撤退を確信しました。その予想通り 2022年5月。DiDiフード撤退。

ここからが一気にフードデリバリーの風向きが変わったと思います。出前館がフードデリバリーの広告を打ち、どんどんシェアを伸ばし続ける一方、UberとWoltが日用品配達にシフトしていったように感じています。

2022年 10月 出前館がマーケットシェアでUberを追い越したと発表
この3年間ずっと首位の座にいたUberを引きずり落としたのかもしれないが、Uberは早々に投資フェーズを打ち切り 回収フェーズに入っているので、そこまで日本でのフードデリバリーでのシェアにこだわっていないのかもしれません。

Ⅳ 今後の展望 (2023年以降〜)

この3年間のような凄まじい勢いの伸び方は フードデリバリー市場ではもう起こらないでしょう。
今後はフードデリバリーだけではなく、日用品や食料品の配達も普及していき、UberもWoltもシフトしていく可能性が高いと思います。
出前館はZホールディングスの傘下のため、日用品配達はクーパン社と事業が被るので、今まで通りフードデリバリーの強化を行うでしょう。

フードデリバリーというビジネスでは、当初から料金の高さが懸念されていました。通常のメニューにアドオンされた手数料と配達員への報酬も払わないといけないため、お客さま自身は1.3~1.6倍を負担することになる。
これに追い討ちをかけるように材料費の高騰が起こり、飲食店が軒並み値上げを行った今、日本のフードデリバリー市場が停滞することは間違いないでしょう。

またマクドナルドやピザチェーン店のように自社でデリバリーの仕組みを整える企業も増えていき、デリバリーのプラットフォーム企業は既存のビジネスのやり方を貫くだけだと厳しくなっていくと思われます。

コロナ真っ只中で流行ったフードデリバリーサービス。
様々な企業が参入し、激しい競争を繰り広げ、結果として今のフードデリバリー業界が生まれました。

事業撤退などで既に去ったプレーヤーの方々を含め、この市場を作り上げた全ての方々に敬意を称します。

今後どのような形で発展していくのか、またどのような形にシフトチェンジしていくのか。
引き続き、今後の動向を見守っていきたいと思います。


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