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PoCに欠かせない三観点

 Proof of Concept(概念実証, 以下PoC)、はアイデアをカタチにする際に頻繁に用いられる用語。これをクリアしなければ、企業は予算を確保できず、スタートアップは資金調達に苦労することも。というわけで今回は「PoC」が具体的に何を意味するのかを三つの観点から解説してみよう。

 一つ目のPoCの観点は技術。新しい製品やサービスを考案した時、技術的に実現可能かどうかを確認するプロセス。

 例えばミカン出荷時のカビ問題に対し、紫外線でカビを抑制する新しい輸送方法を考案したとする。ただ、トラックの中でコンテナに立体的に積まれたミカン全体に、どうやって紫外線を照射すれば良いのか。外側に配置されたミカンだけでなく、内部にあるミカンにも紫外線を届ける必要がある。その課題を技術的にどのように克服するかを検証する段階。

 二つ目のPoCの観点は市場。新しい製品やサービスを考案した時、それを実際にお金を払って導入する顧客がいるか否かを確認するプロセス。

 例えば紫外線を利用してミカン輸送時のカビを抑制する新しいソリューションが技術的に可能であれば、それに対して喜んでお金を支払う顧客が実際に存在するのか。それをプロトタイプを用いて営業などのプロセスを通じてテストする段階。

 三つ目のPoCの観点は資源。新しい製品やサービスを考案した時、それに対して会社やチームが持つリソースを適切に活用できるかどうかを確認するプロセス。

 例えばミカン輸送時のカビを紫外線で抑制する新しいソリューションに対し、それに取り組む企業が持つ技術を活かせるか。それを開発する人員や予算などを割く準備はできているのか。社内に対する提案や聞き取りを通じてテストする段階。

 ちなみに三つ目はスタートアップではなかなか登場しない観点で、むしろ大手企業の新規事業開発時に重要視される。

 PoCを進める際に考慮すべき三つの主要なポイントは技術、市場、そして資源。これらの要素を一つずつ慎重に検討し、クリアしていくことがアイデアをカタチにする鍵に。PoCに挑まれる皆様の一助となりますように。

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