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CSMに求められるスキルとスタンスとは?(2024年版)

JCSはマネジメントレイヤー(経営者や事業責任者なども含む)限定のコミュニティを形成しております。
コミュニティにご参加いただいている大企業や急成長中のスタートアップのマネジメントレイヤーに、「活躍しているCSMが有しているスキルとスタンスは何か?」というアンケート調査を行いましたので、結果と私なりの考察をご報告させていただきます。


調査方法

  • 対象者:JCSのコミュニティに参加しているマネジメントレイヤー

  • 調査ツール:Googleフォームによるアンケート及びディスカッション

  • アンケート概要:1から5の5段階評価で実施。5に近づくほど活躍人材と相関が強いという回答になる

結果報告

1位:ヒアリング力(顧客が何を求めているのか広く、かつ深くヒアリングするヒアリング能力)
2位:構造化力(業務フローや情報を適切に整理する構造化能力)
3位:胆力(非常に厳しい状況になったとしても耐えられる胆力)
4位:PM力(プロジェクトを進行管理できるプロジェクトマネージメント能力)
同率4位:コミットメント(必ず達成するという強い気持ち)

上位5位を記載しております。

アンケート結果の考察

アンケート結果をもとに私なりに考察してみました。

  • 「ヒアリング力」が最も評価が高く、CSMの職務において顧客の要望や問題点を広く深く理解する能力が非常に重要である。アダプションなどの提案をする前に、顧客の状況を正確にヒアリングする力が求められており、活躍するCSMには必要不可欠である。私は、顧客の現場の業務を鮮明にイメージできるようになるぐらいまでヒアリングすることを推奨している。

  • 「構造化力」の評価も高い。CSMは要件定義や顧客の運用/業務フローを整理及び再構築する必要があるので高い評価を受けている。

  • 「基本的なIT知識」や「分析力」も中程度の評価となっています。これは、CSMの職務においては、専門的なIT知識や高度な分析能力よりも、顧客とのコミュニケーション能力や問題解決能力が重視される傾向にあることを示唆しているかもしれない。ただし、CSOpsやCS企画人材であれば必須のスキルである。

  • スタンスや考え方、仕事への向き合い方の観点だと「胆力」「コミットメント」を評価しているマネジメントレイヤーが多い。スキルも重要だが、スタンスはそれと同等あるいはそれ以上に必要だと私が考えている。詳細について以下に記載する。

    • 胆力定義  :胆力とは、困難な状況やプレッシャーがかかる状況でも、冷静に判断し、果断に行動する力のことを指す。

      • 困難な状況への対応:企業活動は常に予測不可能な要因に影響を受ける可能性があります。胆力がある人は、そうした状況でもパニックにならず、計画的に行動する。

      • リスク管理:胆力を持つことは、無謀なリスクを取ることを意味するわけではない。適切なリスク評価を行い、必要な場合には果断な決断を下す。

      • リーダーシップ:チームや組織のリーダーとして、胆力をもって前に進むことで、他のメンバーにも安心感や信頼感を提供する。リーダーシップは役職とは関係ない。

    • コミットメント定義: コミットメントとは、ある目標や任務、責務に対する強い献身や専念の度合いを指す。自分が約束したこと、あるいは与えられたタスクを最後までやり遂げる意志の強さを示す要素である。

      • 目標達成:高いコミットメントを持つ人は、目標に対する取り組みが強く、障害があっても途中であきらない。

      • 信頼構築:約束や任務をしっかりと果たすことで、周りからの信頼を得ることができる。

      • 自己成長:自分のタスクや責任をしっかりと果たすことで、スキルや経験を積むことができ、これが自己成長につながる。

      • 考察: 「胆力」と「コミットメント」は、ビジネスの場において不可欠な要素である。特にリーダーシップを担うポジションでは、これらの特性がチームの動向や結果に大きな影響を及ぼす。胆力を持って冷静な判断を下し、一方でコミットメントし熱意を持ってタスクや目標に対して全力を尽くすことは、組織の成功にとって極めて重要であると考えている。

以上の結果を踏まえ、CSMにおいて最も重要とされる能力やスキルを強化するトレーニングや研修を提供することや、日々の業務に中で培われるようフィードバックをすることなど、組織全体のパフォーマンスを向上させる仕組み作りが重要だと思います。

アンケート回答者からの声

質問になかった項目で必要なスキル/スタンスで各マネジメント層からあがった意見を記載します。

  1. プロダクトマネジメント能力:CSMの役割は、顧客が製品を最大限に活用できるようにサポートすることが中心であること。そのため、製品の機能や特性を深く理解することは非常に重要である。

  2. 幅広い業務や新しいチャレンジに対し、苦手意識や壁を作らず楽しむことができるスタンス:顧客のニーズや要求は常に変わるため、柔軟性や適応性が求めらる。新しいチャレンジを楽しむ姿勢は、この役割で成功するための重要な要素である。

  3. エンタープライズについては営業力:CSMは営業とは異なるが、顧客との関係を深化させるためのコミュニケーション能力や説得力が必要である。

  4. 提案力:顧客に対して最適な利用方法や新しい機能を提案する能力は、顧客の成功をサポートする上で重要である。

  5. 目的を立脚点として思考・コミュニケーションが取れるか:CSMの役割は、顧客のビジネスの成功をサポートすること。そのため、この目的を中心にコミュニケーションやサポートを行う能力が求められる。

  6. 当事者意識、プロ意識、ファシリテーションスキル、ラテラルシンキング等:これらの能力やスキルは、顧客の視点での思考や、複雑な問題を解決するためのクリエイティブな思考をサポートする。

  7. 再現性と最大効果を両立できる能力や考え方:顧客が製品を継続的に使用し、その効果を最大化するためには、再現性の高い利用方法やベストプラクティス(課題解決に繋がった導入事例など)の提供が重要である。

  8. 顧客の決裁者を強くグリップし、経営課題と現場課題をリンクさせる力:顧客の経営層との関係構築や、経営課題と現場の課題を繋げる能力が必要である。現場の課題を経営の課題に昇華される必要がある。

  9. 考え抜く思考力(思考のコミット力):問題や課題に対して深く考え、解決策を導き出す能力は、カスタマーサクセスの役割において非常に重要である。

求められる能力とスタンス(2024年)

2024年以降、私が考えるCSMが求められるスキルとスタンスを以下に記載します。

責任者/マネジメントレイヤー

  1. 戦略の策定と方向性の提供:カスタマーサクセスの役割と目的を明確に定義し、チーム全体に方向性を提供する。戦略は特にNRRやAPRUを向上させることが求めらえる。以下に収益を最大化させるかという点である。

  2. コア業務とノンコア業務の仕分け:よりコア業務にリソースを割けるよう業務の仕分けを行うスキルが求められる。目的は、固定費削減と離職率防止、また、NRRとARPUの最大化である。

  3. トレーニングとスキルアップ:メンバーのスキルギャップを特定し、適切なトレーニングや教育プログラムを提供する。

  4. データ蓄積と活用:データを蓄積するための基盤構築と活用をより促進していく必要がある

  5. チームの連携とコミュニケーションの促進:部署を超えたコミュニケーションを促進し、各メンバーの強みや専門知識を最大限発揮できるよう環境を整備する。

  6. 業績評価とフィードバック:CS組織で追うべきKGIとメンバーが追うべき行動KPIを設定し、定期的に業績を評価。フィードバックを通じて成長をサポートする。

  7. 顧客の経営層との関係構築:顧客の経営層との関係を深化させ、経営課題と現場の課題を繋げる。

メンバー

  1. 顧客との関係構築:顧客のニーズや要求を深く理解し、信頼関係を築く。

  2. 継続的な学習:新しい製品の機能や業界のトレンドを学び、スキルや知識を継続的にアップデートする。

  3. クロージング力:自らアップセル・クロスセルができるようプロダクトやサービスを売る力が求められる。特に2024年以降はクロージング力が求められる時代になる。

  4. 胆力:厳しい状況下の中でも自分で考え解決策を導く、という強いスタンスが求められる。特にシリーズBまでの企業が求められる。

  5. 問題解決のスキル:顧客からのフィードバックや問題を迅速に解決する。適切な問題特定をするためにヒアリング力を向上させておく。

  6. チームとのコミュニケーション:部署を超えた情報共有や協力を促進し、顧客サポートの質を向上させる。

  7. 自己評価と自己成長:自身の業績やスキルを定期的に評価し、必要なトレーニングを自ら行う。自走して学ぶことが重要である。

  8. 顧客のビジネス目的をサポート:顧客のビジネス目的や成功を中心に、サポート活動や提案を行う。

これらの点を意識し、行動することで、カスタマーサクセスチームとしての効果的な業務遂行と顧客満足度の向上を図ることができると思います。

インプットに関しては、本やメディア(ネットの掲載情報やYouTubeなどの動画)を読む/聞く/見ることも大切ですが、人から聞くことも重要であると考えています。
インプットだけで終わらせず、アウトプットし、日々実践し、改善するといったPDCAサイクルを自ら回すことが最重要だと思います。

終わりに

育成や採用など、皆様のために少しでもなれば幸いです。
JCSではマネジメントレイヤー以上のコミュニティを設けております。
参加をご希望される場合はTwitterのDMでご連絡をください!


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