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日曜日の読書

朝、窓からそよそよと風が入りこみ、きもちのいい薄い青空に雲が浮かんでいた。昨日買ったプレーンとくるみのデニッシュを両方とも薄く切って軽めに焼き、アールグレイの紅茶をとぽぽと注ぐ。デニッシュはかりっふわっと口の中でうれしい。

同居人と日がな一日、窓際のソファの肘掛けの両側にもたれて向かい合わせに座り、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、おかしな踊りを披露したり、ときどき猫を愛でて過ごす。ベランダでは洗濯物が洗剤の匂いを連れて揺れている。これぞ我が家の日曜日。

締切の迫った仕事をすこしはやろうと思っていたけど、明日とてつもなく早起きすることにして、今日は日曜日をめいいっぱい満喫することにする。

同居人の選曲によって部屋を満たす音楽は、気づけばオスカー・ピーターソンの『ナイト・トレイン』のアルバムが流れ、大貫妙子と坂本龍一の『UTAU』が流れ、うっとりと目を閉じて聴き入ってしまう。『3びきのくま』なんかは、本当にだいすき。選曲が良すぎると本が進まない。

本はというと、一昨年くらいに読んでいた柿内さんの『プルーストを読む生活』が4月の日付からまた読まれはじめる。おそらく12月まで日を合わせて読まれ続け、そして1月からは『差異と重複』を読む日々が一年はじまる予定。同居人は昨日古市で買った村上春樹の『1Q84』を読みはじめるようで、これも4月〜12月で章立てされているので、季節に合わせて読まれていく予定らしい。5月になればアリ・スミスの『五月』も読むはずだし、暮らしの傍で読みつづける本があるということの、なんという幸福。

今日は引き続き、堀江敏幸さんの『なずな』が数ページ読まれた後、昨日観た映画『ザ・ホエール』の影響で買ったメルヴィルの『白鯨』がすこし読まれる。

そして数日前から読んでいる『フィールドレコーディング入門』がとてもいい。

30歳になったら何かはじめたいと思っていたので、Black bird booksさんで買ってからしばらく積んでいたこの本を手に取ったのだった。引用されていたクリス・ワトソンの録音作品を聴くと、これがまさに「耳のための映画」で、目を閉じて耳を澄ますと、雄大に広がっていく景色やヒョウが横たわり寝息をたてる姿などがすぐそこにいるように、ありありと感じられる。

本は、音楽や映画や絵画の世界と行ったり来たりして、身体的な感覚や個人的な体験を巻き込んで読む読み方がとてもすきなので、それをこの一冊でたっぷり味わえることにわくわくが止まらない。

夕方ふたりでスーパーへ行き、晩ごはんは同居人がドライカレーを作ってくれたのでありがたく食べる。上にのっていた目玉焼きは焼かれすぎて黄身がカチカチだった。我が家はカレーばかり食べている。

そして夜は今日もエリン・モーゲンスターンの『地下図書館の海』の世界に潜り込む予定。

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