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偏食のお話し

        noteって、たまに書きたくなるよね。

 と、言うことで、今日も今日とて書き散らし。

 テーマは…そうですね。たまには栄養士らしく食事の話題で。

【偏食】についてなんてどうでしょう?


 と、書いてみましたが、専門家だから、なんか凄いこと書いてるに違いない!

 とか期待されたらすみません。大したことは書きません。

 て言うか、ちゃんと本を読んでるわけでもないですし。(読まなきゃ、とは思っている)
 そこまで勉強しているかと言ったら私はしてません!!!って言います。はい。

 なので、これは、私が子供を見てたり、周りにいる人を見てた中で思ったことって感じの文になると思います。

 それがOKな方。続きをどうぞです。




 さて。私が発達障がいと診断されてかれこれ5年は立ちました。

 その間、Twitterやらで否応がなく入ってくる情報の中で、ちらちらとみかける【偏食】についての話題。

 特に子供ですね。

 発達障がいを持っているお子さんは食べられないものが多い。

 極端な例になると、もう白いものしか食べない。ポテトしか食べない。なんてこともよく聞きます。

 そして、そんなお子さんに対し、とてもご苦労されている親御様が多いようにも感じています。

 以前、『不注意型の眠り姫』というメディアや、発達の子育てコミュニティなんかを運営されているポコさん(@poco_adhd)のご紹介で、【手抜きでできる食育と栄養】についてコミュニティのメンバーと共にお話しをしたことがあります。

 その際にも、かなりの親御様が子供の偏食に悩んでいるように感じました。

 詳しいことは下にまとめてありますので、もしよろしければ。



 さてさて。

 そんな私でしたが、学童に勤め始め、お昼ごはんやおやつを任されるようになってから思ったことがひとつ。


 子供の偏食なめてた………。。。


 いや、もう、他人事のように『大変だよなあ…』とは思っていました。

 けれど、学童では家とは違うし、みんな食べてくれるだろ!なんて、のんきに考えてました。

 と。言うのも、以前働いていた保育園では、食缶はほぼ空で帰ってくるのが当たり前だったんです。 

 意外とみんな食べるんだな。とか思ってました。

 んで、実際、作って提供してみたらですね。

 食べない子は、まあ食べないですわ

 しかも、保育園の厨房と違って、ダイレクトに子供の感想が刺さります。

『これやだ』『なんか変な味』『硬い』『甘過ぎ』『これ嫌い。食べない』

  ダイレクトアタック。やめて。私のライフはもうゼロよ…。

 そんな言葉の応酬に全く慣れてなかった入りたての私はというと。

 いちいち受け取って落ち込んでました。

 世のお母さん、お父さん、そして、恐らくそんな言葉にさらされながらも子供に食べさせてたであろう保育士さん。本当にすげえや…。。。 


【子供たちを見ていて】

 そうやって、かれこれ半年以上、子供たちの様子を見てきました。

 その中で、いくつか分かってきたこともあるんです。

 その一つが、香り。

 偏食の多い1人の子を見ていると、他の場面でもかなり嗅覚が良いことが分かってきました。

・雨が降ったあとの草むらを嫌がる
・トイレには必ず鼻をつまんで入る

 また、その子からおやつにプリンを頼まれたので、早速作ってみたところ。

『これ、牛乳の匂いが強くて食べられない』

と。元々牛乳やバター、ヨーグルト等の乳製品が苦手な子なのです。

 最近、プッチンプリンを食べたら食べられた。ということでリクエストしてくれたのですが…。

 確かに、プッチンプリンは牛乳も卵も薄めです。しっかりとした香りもないですね。

 牛乳じゃなく、豆乳で作ったらどうだ!!と思いましたら、これも外れ。やはり、気持ちが悪い。と食べませんでした。

 そういえば、私の弟も鼻が良いタイプで、きのこが全く食べられませんでした。
 特に舞茸や椎茸といった、香りの強いもの。

 もちろん、人によりけりではあると思います。 

 ですが、もしかしたらこの子には、私には感じられない範囲の匂いまで感じているのかもしれない。

 そんなことまで考えてしまいます。

そして、もう一つ。それが、

食べたことがないもの、味の想像がつかないものは食べない

です。

 偏食がある子に、『これ、食べられる?』なんて聞くと、

食べたことない』

『食べられるか分からない』

 と返ってくることがあります。そして、食べたことない』と答えたときには手をつけません。

 果物を出した時に顕著ですね。

  二人ともバナナ、みかんしか食べられません。 
  りんご、かきなんかを出したときは、だいたい『食べたことないから食べない』が始まります。

 ちなみにこれ、『食物新奇性恐怖』と名付けられているそうです。

 私たちの祖先は、始めて見るものに対して『食べても大丈夫だろうか?』と一回警戒する行動をとっていたそうです。

 その名残。みたいなものですね。防御本能。

 常々、発達障がい、特にADHD傾向の強い人は行動が野性動物的なところあるなーと思っていました。

 もしかしたら、そういう感覚が子供の頃から強いのかもしれませんね。個人の意見なのでエビデンス云々は分かりません。


そして更にもう一つ。

味が混ざるのが嫌

 これも、偏食の子2人に共通しています。

・パフェに入っているゼリーが食べられない(クリームと混ざるのが嫌)

・ミートサンド、カボチャサンドなど、フィリングを挟んだパンが苦手
(ふにゃふにゃになった部分が嫌?)
(ハンバーガーが食べられない)
(ホットドックはケチャップなし)

 ・炊き込みご飯より白ごはん派

等々。

  また、偏食の子に限らず、子供は様々な要因で『好きじゃない』と判断していると感じています。

・パンケーキ、蒸しパン等は口の中がパサパサするから食べたくない
(口腔内の唾液が少ない?)

・甘いものが苦手
(家の様子を聞くと、あまり甘いものは出していないようでした)

 人によりけり、本当に様々な理由で『美味しくない』と言います。


【食べるために必要な感覚の話】

 そこで、改めて『食べる』時に使う感覚をあげてみました。

 まず、要因として真っ先にあげられる口内感覚。

 『味覚』ですね。

・甘い
・苦い
・しょっぱい
・酸っぱい
・(からい)
・(しぶい)
・うま味

 それにプラスして香り。つまり『嗅覚

 舌で触った感覚、歯で噛む感覚、咀嚼する感覚である『触覚』。

 『視覚』つまり、目で見て判断もしています。

 まとめると、『食べる』という行為は

・視覚
・触覚
・嗅覚
・味覚

 等々、人が持ち得るほぼ全ての感覚を総動員して行ってるんだなあ…と、思っています。

 そして、話を聞くと、そのどれが気に入らなくても、基本的には『好きではない』という判断になっているようなのです。(例外はあると思います)

 そして、厄介なことに、これらの感覚は人によって感じ方が全く異なるとも感じているんです。

 例えば、成人の私が十分な固さだな、と感じていても、乳歯が抜けて歯抜けになっている子供にとっては食べにくいものになってしまったり。

 自分が『美味しくない』と感じるものが、他人からしたら『美味しい』ものかもしれない。逆もまたしかりです。

 他の人の感覚は理解できない。

 それが、偏食を考えるに当たって、大切なことなんじゃないかな、と、私は思うのです。

 

 偏食の人は、ただ『嫌いだから』食べない。

 なんて言われがちですが、その『嫌い』にも様々な要因があり、他人が推し量りきることは難しいと、私は考えています。

 『じゃあ、結局どうするの?』

『偏食の子は感覚が鋭敏で自分達とは違うから、食べさせないでもいいの?』

 なんて声が聞こえてきそうです。

 迷うところではあるのですが、私の意見としてはNOです。


【食べるものを増やす工夫】

 偏食のお子さんを持っている御両親の方々のお話しを見ていると、

『吐くのを我慢して食べているのに、無理に食べさせるのは虐待では』

 など、『無理に食べさせないでほしい』という意見が多いように思います。

 そりゃそうだ

 それには全面同意です。

 食事は、生きるためになくてはならない行動です。

 無理に食べさせるという行動は、その『食事』という行為自体を嫌がるようになってしまう危険があると思っています。

 それでは元も子もない。

 食事は、楽しくあるのが良いと思っています。

 ですが、その一方で、食べられるようになる工夫なんかも、少しずつでいいのでやってみてほしいな、なんてことも思うのです。

 そこで、私が色々と試行錯誤しながら試している、少しでも食べられるものが増えるための工夫をご紹介。


【学童で実践中の工夫一覧】

・減らしてもいいから少し食べてみよ!!作戦

 良く使います。学校でも多いんじゃないかな。
しかし、大抵失敗に終わります。学校だとうまくいくのかなー。家庭だと難しさを感じている人多そう。

・材料を明確にする作戦
 これは、実際に療育の現場で行っているのを参考にしました。『ワケわからない料理』から『分かる料理』にするわけです。ですが、基本的に材料である野菜が苦手だと食べない可能性が非常に高い。

・お料理を手伝ってもらう作戦
 自分で作ったやつは食べたい!そんな気持ちを起こさせる作戦。実はこれ、一番成功率が高いです。ですが、料理に興味ある子に限るかと。

班ごとに週のおやつを考えてもらう作戦
 完全なリクエストではないのがミソ。ちなみにこれも、実例を参考にしました。友達が考えたメニューなら食べないと…と思うかな…?という考えのもと、行ってみています。
ちなみに、やり始めて日が浅いので、効果の程はいまいち分かりません。

・調理法を変えてみる作戦
 これも、よくやる手です。生はダメでも火を通したらいけるのでは…?砂糖と煮たらどうだ…?等々、試行錯誤しまくる感じです。効果はまちまちですね。

・味見作戦
 偏食の多い子に、『ちょっとだけ、味見していくれる?他の子には内緒ね』みたいな感じでほんの少しだけ味見してもらい、更には味のアドバイスをもらう作戦。これも、食材によっては全く手をつけないですね。けれど、『食べてみる!』ってなったときは少し強い。

・残してもいいし、一欠片でもいいから!作戦
 食べるハードルをめちゃめちゃに下げる作戦。とにかく、『食べてみる』ことが大切!!って作戦。その代わり、作り手のメンタルが問われます。

 とまあ、こんな感じで色々と試してみています。

 まあ、どの作戦も、作り手のメンタルにきます。メンタル力が問われるし、鍛えられます。

【これからやってみたいこと一覧】

・家庭菜園作戦
 自分で育ててきた野菜は食べてみたい!!って気持ちを煽る作戦。

・見学作戦
 牧場見学、工場見学等々。どんな人が携わって、どうやって自分達の手元に食品がきているのか知る作戦
 

 と、たくさん書きましたが、この中で、私が大切にしたいこと。それは。

 1、残してもいい。という環境を作る

 2、挑戦したことを褒める

 3、様々な食に対する体験を重ねる

 1に関しては賛否両論だと思います。

食事を無駄にしない。

作り手のことを考える。

 食育のそういう面が育たないのではないか?と、実は私も葛藤している場分ではあります。

 ですが、『食べられないものが多い』という子供たちにとっては『お皿にとった、一口食べたものは全て食べなければならない』というのが無言のプレッシャーになってないかな?と思ったりするのです。

 残したら食事を無駄にしてしまう。けれど、食べられるかわからない。

 そうしたら、『食べない』という選択肢にいってしまうのではないか?

 私は、そんなことを考えています。

 実際に、どうなのかは分かりません。

 けれど、子供って、大人が考えるよりも色々なことを考えてたりするのかな。と、見ていて思うことがあります。

 食べられるか分からなかったけれど、ちょっと食べてみたら美味しかった。

 そんな経験をたくさんさせてあげたいんです。

 だから、私はよく、

『食べられなかったら残してもいいからね』

『食べられるか不安だったら減らしてね』

 と、声かけをしています。


 そして、残してしまった場合。

『あー。この料理はあなたの口には合わなかったんだね』

『量が多かったかな?』

 と、発言するようにしています。深い意味はありません。が、前者に関しては、自分に言い聞かせている節があるかもしれません。

 そう、私の作った料理が美味しくなかったから残したのではなく、ただ単にその子の味覚、感覚と合わなかったのだ。と。

 決して、自分の作ったものが失敗だった訳じゃない。

 そう考えると、少し、気持ちが楽になるような気がします。

 そして、2にあるように、できたことではなく、頑張ろうとしたことを誉めるようにしたんです。

 これは、思ってはいますがなかなか難しい。やっぱり、『食べれたじゃん!すごいね』という誉め言葉をついつい口にしてしまったりします。

 悪いわけじゃないんですけどね。なかなか、頑張ったことに対して誉めるって難しい…。。日々日々、葛藤しております。

 そして3。

 子供をみてて思うのは、やっぱり思い入れのあるものや、自分が頑張ったものを大切にしようとする気がするんです。

 自分で作ったおやつは食べようとするように。

 食べられなくても、そんな経験事態が、私は大切だと思っています。

 

【最後に】

 子供の偏食って大変ですよね。丹精混めて作っても、すぐにいらないって言われる。食べたくない。と言われる。

 そのまま食べさせないのも、栄養バランス面でも心配だし、けれど嫌がってるのを無理矢理食べさせるのも違う気がする。

 そんな、やり場のない、モヤモヤとした気持ちとの戦いだと思います。

 私はまだ、保育者としても、栄養士としてもぺーぺーです。偉そうなことを言える立場ではありません。

ですが、私なりに思っていることがあります。

 無理をしないでください。

 そりゃあ、早いうちの食体験が少ない子供は大人になっても食べられるものが少ない。って研究結果もあります。

 けれど、段々と苦手を克服し、食べられるものが増えてる子供がいるのも事実です。

 『食べるのって楽しいね』

 と、そんな感じで、ゆるく、楽しみながら食事をしていってほしいです。大人が美味しそうに食べているものは子供も気になるみたいです。『食べてみようかな…』と思っていたりするかもしれません。

 一生懸命、食べさせようと頑張るのはとても凄いことです。 けれど、色々と試してみて、それでもダメだったら諦めてもいいと思います。

 そんな感じで、ゆるく、ゆるく続けていくことが大切なんじゃないかな…。と私は思っています。

長くなりましたが、私が思ったことは以上です。

 

 

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