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【感想文】怒りの葡萄(上巻)/スタインベック

『超好待遇読書感想文 ~ 全般的な感想編 ~』

この本はバチクソにおもしろい。

この本がダメだってんならじゃあ何ならアリなのか、と言いたいぐらいの傑作なり。ああ、傑作なので超好待遇してあげたい。というわけで、本書の読書感想文は以下の通り、評価・感想・解説の豪華三本立てである。

・レビュー形式で評価
・作品全般に関する感想 ※宗教的要素は除く※
・宗教的要素に関する解説

▼レビュー形式で評価:

【採点方式】
評価要素を5項目設定し、各項目に対し10段階の評点を付けてその合計得点を採点結果とする(5項目×10点=50点満点)。

【評価要素】
・可読性/判読性・・・読みやすさ。分かりやすさ。
・描写力/構成力・・・風景、人物、心理等々の描写。話の全体構成。
・文学性/芸術性・・・人間とは何かの追求。あるいは、虚実混交の表現。
・創造性/革新性・・・新たな価値の創出。オリジナリティー。
・  特別点  ・・・上記4項目に加え、何かしらの得点調整を行う。

【評価方法】
各判定要素は「減点方式」を用いて評価を行う。ただし「特別点」だけは加点方式を用いる。

【採点結果】
・可読性/判読性:★★★★★★★★★☆(  9点)
・描写力/構成力:★★★★★★★★★★(10点)
・文学性/芸術性:★★★★★★★★★★(10点)
・創造性/革新性:★★★★★★★★★★(10点)
・  特別点  :プラス10点
      合計得点 :49点

こうした各判定要素にも個人の主観が得点を左右する為、この採点結果に納得しない者が
必ずいるのは重々承知の上で、私は49点という超高得点を付けた。

▼作品全般に関する感想:

大恐慌当時のアメリカ社会が抱える実際的な問題が背景にあり、これは現代日本における雇用問題の構造と似通った点はあるが、物語は決してリアリズム&プロバガンダなんかに堕しておらず、宗教的要素も多分に含まれており(※後述)、この要素が無ければ本書は単なる「肝っ玉母ちゃんドタバタ放浪記」に過ぎない。あと、メチャクソ読みやすい。で、セリフが自然なのも良い。例えば、下巻では、コニーが逃亡した後、トムが酒屋の主人に伝言を頼むシーンがあるのだが、そこでトムは「もし、コニーが訪ねてきたら『地獄へ堕ちろ』と言っておいてくれ」的な発言をする。ここが良い。なんていうか、ヘンな言い方になるけど「トムが言いそうな事」をトムがちゃんと言うのが良い(他の登場人物のセリフも然り)。あと、家族でありながら個々の主義からなる人生模様がちゃんと描かれていて、そのせいか登場人物が全員魅力的である。なお、満点50点ではなく1点減点して49点とした理由は「地の文で『父ちゃん』『母ちゃん』といった表記に違和感があるから」である(ジョード家の人物の回想録でもないのに父ちゃん母ちゃん表記はおかしいって!)。ただ、これは強いて言えばの指摘であり、所詮は私のおこがましきイチャモンである。つまり、そんな指摘なんてどーーーでもよくなるほどに本書は全ての評価要素において秀逸だと言いたい。

【宗教的要素に関する解説】※真剣に解説※

『怒りの葡萄』という表題について、この「ぶどう」を巡る宗教的示唆こそが本書最大の特徴(特別点プラス10点)なので、それについては旧約・新約聖書を典拠としたぶどうの解釈を行い、本書ラストにおけるローズの行為から作品のモチーフを考察する。あ、でも文字数オーバーだ。

といったことを考えながら、文字数オーバーなので以降は下巻の読書感想文で解説させて頂きます。

下巻の感想文へつづく


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