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「ミツバチのささやき」/ビクトル・エリセ

1983年 ゴダールの「パッション」を皮切りに、ヨーロッパのアート系の映画を数多く上映し、ミニ・シアターブームを牽引したシネ・・ヴィヴァン六本木の8番目の作品として、上映された映画。調べてみると当時、この映画は単館シネヴィヴァンでの公開時だけで、5万人弱の人が見たそうです。もうすぐエリセの31年ぶりの新作「瞳をとじて」が公開されるので、40年ぶりにこの映画を見てみます。
大きなカップを小さな手で持つ、つぶらな瞳の主人公の少女アナの可愛さは、改めて観ても特別ですが、セピア・カラーの色彩、蒸気が冬空で白に変わる上記機関車、ツイードのジャケットのボタン・ホール、手影絵、懐中時計、焚き火、木漏れ日、濡れた石畳、枕投げ、日記、オルゴールの音、真綿の白い子供のコート、精霊の話。私たちが、古いヨーロッパやノスタルジーをイメージさせる、ディテールが満載の映画で、おそらくこのセンスは、日本のファッションや雑貨のトレンドに今でも影響を与えていると思います。
観たのが80年代なので、その当時に作られたものだと思い込んでいましたが、クレジットをみると1973年の作品。この映画は1940年代のスペイン内戦時代の物語ですが、独裁政権の厳しさは和らいでいたそうですが、まだ直接、政府を批判できなかったそうで、いろんなメタファーが隠されているそうで、今度もう少しスペインの歴史を学んでから改めて観たいと思います。


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