玉居子泰子 たまいこやすこ

「生まれて」から「死ぬ」までの間に、わたしの中にもあなたの中にもある優しさや、大切なも…

玉居子泰子 たまいこやすこ

「生まれて」から「死ぬ」までの間に、わたしの中にもあなたの中にもある優しさや、大切なものや良いところ、輝きを掬って伝える仕事をしています。 書いたり聞いたり話したり。 ホームページ www.tamaikoyasuko.com

マガジン

  • 家族とうまく話せない

    家族が同じテーブルに議題を置いてあれこれ話し合う 「かぞくかいぎ」の実践や研究を行なっている物書きの玉居子泰子です。 時々講演やワークショップもやっています。 でも 家族と面と向かってガチで話すのは、 面倒臭くて恥ずかしくて、怖くてしんどい。 すぐに喧嘩になってしまったり、 大事なことはなかなか口にも出せなかったり。 思えば私は、家族とうまく話せないから、 それでもどうにか話したくて、 家族の対話についてずっとあれこれ考えるようになったのだと思います。 近いのに、話せない。 近いからこそ、話せない。 遠くに行ってからでは、もうおそいけど、 そこに残るのは、あの人と話した記憶と愛おしさ。 だから、私は家族と話さずにはいられない。 個人的なエッセイを集めたものです。

  • HSP母のHSCっ子育て(ときどき不登校のこと)

    「ひといちばい繊細な子」が5人に1人はいるそうです。繊細なまま大人になったHSPな私の元にきてくれたのは、それぞれ異なる繊細さを持つHSCっ子たちでした。それぞれ面白い特徴を眺める日々。癇癪や不登校(行き渋り)など現実との折り合いの記録でもあります。 学校に行き渋りがある娘のこと、そしてそれをハラハラ見守る親(私)のことなど。

  • 書く仕事

    書くことは、かくしごとを開くこと? ライターとして、著者として、仕事として、誰のためでもない自分として、 書くってなんだろう、ということをつねにうろうろ考えています。

  • 聞く仕事

    インタビュー、聞くをメインにした仕事についてあれこれ書いています。 個人の方に、インタビューを軸にビジョンをお聞きする インタビューセッションもお受けしています。詳しくは→https://tamaikoyasuko.com/session/

最近の記事

「夢を持て!」と息子に叱咤された話

おはようございます。 突然ですが、みなさんの夢は、なんですか? 私には今、小さな、いや、結構大きな? やりたいことがあって その準備をコツコツと進めているところです。 それが形になれば、きっと楽しい。 同時に、うまくいくかどうかわからず、不安でもあります。 でも一歩踏み出さなければ、先の景色は見えないですからね。 がんばろ。 ……でも、これは「夢」なのかな? 思えば、私は、幸運なことに、 小さな頃から、今まで心にふと抱いた「夢」を わりとたくさん、叶えてこられたように

    • Jasmine

      娘が、中学校に通い始めて、二週間がすぎた。 いろいろと、おもしろい学校で、 二週間が過ぎた今も、授業が始まっていない。 運動会を先にしたり、班に分かれて何かオリエンテーションをしたり そんなことをしているらしい。 緊張しやすい娘は、やっぱり緊張して疲れを見せているものの、 毎日、学校であった楽しいことを ゲラゲラ笑って話してくれる。 小学校の時は週に3日は、お休みするか、遅れて行くか、保健室で休んでから帰ってきていたというのに。 食事のときに、息子が 「学校で、なんて

      • ウィンクしながら生きていきたい

        昔一緒に暮らしていた人が ウィンクをする人だった。 ウィンクって、日常生活でするもんなんや! と知った時の衝撃。 その人はウィンクもするし、ハミングもするし ハグもするし、私が切った指に絆創膏を巻いてキスをするような人だった。 指にキスをされる、という体験を したことがなかった私は、 ドキマギした。 指にキスされたことあります?  お母ちゃんでもせえへんで。 ひんやりと冷たくて柔らかくて、 ドキマギするものでっせ。 ウィンクの練習を二人でしていて、 「そんなにウィン

        • みていられないけど、みてるよ

          「ねー、みてて! みててね!」 と、毎日、なんどもなんども請われていたのは、もう10年も前なのか。 かっこいい砂山を作るのをみてて。 自転車に乗るのをみてて。 踊るのをみてて。 眠るまでみてて。 小さい子どもを育てているとき、親が一番たくさん時間を使ってるのは 「みる」ことかもしれない。 ケガをしたり、熱を出したりしても、 直接できることは少なくて、ただ治るのをみているしかできない。 学校での人間関係につまづいても、 試験に失敗しても、 大事な試合に負けてしまっても

        「夢を持て!」と息子に叱咤された話

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        • 家族とうまく話せない
          8本
        • HSP母のHSCっ子育て(ときどき不登校のこと)
          2本
        • 書く仕事
          8本
        • 聞く仕事
          2本
        • 子育て
          7本
        • 家族会議
          2本

        記事

          やさしいの遺伝子

          つい先日、よく晴れた日に、 甥とお別れしてきた。 まだ17歳だった。 重い障がいを持って生まれてきて、 もどかしいことも しんどいことも、たくさんあったと思うのに、 私たち親戚に会うときは、 いつもニコニコ笑顔でいてくれた。 生まれたばかりの赤ちゃんの頃は 髪の毛がくりくりで、相当な天然パーマだったのを みんなで笑って可愛がった。 少し大きくなって、同じ年くらいの子どもたちとは いつも違うところをじっと見つめて、いた。 大切な何かを見つけたみたいに、覗き込んでいた。

          生きるしかできない

          大切に大切に思っていた魂が またひとつ、宇宙に戻ってしまった。 あまりに早すぎる、と感じるのは、 地球にいる間だけ、 幸せに生きている、と決めつけている 私たちのエゴなんだろうか。 すでにボロボロになっている、 というか、私たちがボロボロにしている 地球にいることが いいことかどうかもわからないし。 日々は、幸せを感じ続けるには、 キツすぎることが多いのに。 あまりに綺麗で優しい魂だったから、 綺麗なまま、うちゅうに戻っていっただけ。 そう思えたら楽だけど、そうは簡単

          クリスマスが教えてくれること

          2012年のクリスマスイブ、私はテキサス・ダラス空港にいた。 目的地のアーカンソー州リトルロック空港まであと一歩。 いや、あと一飛びだ。 東京の自宅を出てからすでに20時間ほど経っていた。 空港の大きな窓の外は完全な雪景色で、キラキラと光っている。 滑走路も雪で覆われている。 いやいや、頼むよ、頼みますよ。あとちょっとなのよ。 アメリカ南部が雪で覆われるのはあまりないことで、そのために除雪に時間がかかり飛行機の運行が滞っていた。 電光掲示板には「ディレイ」の文字が並ぶ。

          クリスマスが教えてくれること

          仲間がいるっていいことね

          2023年も、そろそろおしまいに近づいている。 今年が始まったと思ったら、瞬きをしている間に、年末だ。 こんなふうに、瞬きを数回していたら、いつの間にか人生も最後になるのかしらん、と思う。 今年の大きな変化は、仲間ができたこと。 もう20年以上、ライターとして活動をしているので、 普段はひとりでいることが多い。 取材先でたくさんの人に会うし、 馴染みのカメラマンさんや編集者さんはいるけれど、基本はひとりだ。 自由で気が楽だけど、今年は、ふと思いついて 京都でライターをさ

          仲間がいるっていいことね

          脇役の醍醐味

          最近、週末は、PTAかボランティアか子供のスポーツや習い事の応援かで あっという間に時間がすぎていく。 ほぼ全部、子供のサポートだ。 小中学生の親ともなれば、みんなそんなものなのかなと思うけど、 この夏はこの無償奉仕にかける時間や労力が大きすぎて、 本当にヘロヘロになった。 ボランティア活動の合間に家事をして、 そのさらに隙間を見つけて仕事をするという、 本末転倒虫が、もう大量発生状態だった。 毎日の人生の主役が、私自身だったのはいつ頃までだろう? 幼い頃は自分から見

          息子と娘を足して二で割りたい

           先日、息子と娘と3人で晩ごはんを食べていた。 いつもだいたい、ごはんどきは、 何かしらたわいのないおしゃべりをする。  息子はちょうど定期試験の初日だったから、その話題を振ってみる。 「どうでしたか? 手応えのほどは」 「うん。だいじょうぶ」 「100点ですか」 「100点ってね、なかなか取れないように、先生たちも必死で問題作ってるんだよ。ある先生は、150点満点くらいになるように問題をつくってから、いらない問題を削って、完璧な100点満点のテストを作るって言っていたし

          息子と娘を足して二で割りたい

          運がいい時に気をつけよって思ったこと

          2023年3月21日。春分の日。 最近、私は、運がいい。気がする。 2022年は早々に父が病に伏せ、5月に亡くなった。 しかたがない、しかたがない、 大変だったけど、波瀾万丈で、いい人生を父は送った。 私たちにはたくさんのものを残してくれた、と自分に言い聞かせて過ごしていた。 一方で、著書(『こどもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』絶賛発売中です)も出せて、関連イベントでたくさんの人にもあって、 あちこち出張もさせてもらって、楽しかったはずなんだけど、 なんだか後

          運がいい時に気をつけよって思ったこと

          自分の体を好きになる練習

          自分の体が好きになれない。 これは長年もうデフォルトのように私の中に 組み込まれている思い(込み)だった。 幼い頃から長身で、幼稚園から小学校まで 大抵背の順で並べば一番後ろ。 痩せで、首だけがひょろりと長い。 「何が不満よ」と思われる方もいるかもしれない。 実際、確かに人からは 「背が高くていいね」 「すらっとして羨ましい」 などと言ってもらえることもあるのだけれど (本当に、ありがとうございます)、 しかし、どうにもこうにも素直に心から、 「ありがとうございます」と

          自分の体を好きになる練習

          成長痛

          夜中に、隣で寝ていた娘が、 「足が痛いよう」 と顔をしかめている。 脛あたりを、さすりたそうだが、眠そうで、 ううーん、ううーん。 と唸っている。 時計を見ると2時。 眠い。 気がつかなかったふりをして、 目を閉じるが、 もそもそと横で足をくねくねさせている娘の動きは止まらない。 「痛いようぅぅ」などというので、 仕方なく体を起こして、足をさする。 足の裏マッサージもしてあげる。 足の裏マッサージをしてあげたら、すぐに寝るんじゃないか、と思いつつ モミモミモミモ

          学校を休むのはズルいこと?

          朝、起きてきたときに、 「あ、今日は難しいな」 というのは、だいたい、すぐ、わかる。 娘が、その日、学校に行けるか行けないか。 行ったとしても、ただぼんやりと苦しく時間をやり過ごすことになるか。 繊細な心が傷つく情報を過剰に吸い取って、よれよれになってしまうか。 娘は、赤ちゃんのときからよく笑う女の子だった。 2さい上の息子が幼少期は癇癪持ちだったから、 私はそっちに手を焼いていて、 いつもニコニコ笑って、ぷっくり元気で優しい娘が 癒しの存在でもあった。 むっちゅり

          学校を休むのはズルいこと?

          気づいたら背中しか見えない

          今朝、家事と家事と家事と仕事の段取りと家事の合間に 歯を磨いていたら、 がちゃんとドアが開く音がして、 洗面所から顔を出したら中学生の息子が登校しようとしていた。 「いってらっふぁい」 と歯ブラシを口に突っ込んだまま言うと、 「うぃー」とだけ答えて、 巨大なリュックサックを背負った 巨大は人は行ってしまった。 残されたあと、なんだか胸の中が スーッと空洞になるような気がして、 「あ、寂しいんだ」と、思った。 *** 13年前、息子が生後半年になったのを機に、保育園

          気づいたら背中しか見えない

          罰と飴

          父方の祖母はちょっと怖い人だった。 いつもなんだか高価そうな着物をきっちりと纏って、 でも、衿を抜いて、 「玄人」な感じが、子どもながらに伝わってくるのだ。 (玄人、が何かもちろん分かってなかったが) 実際、彼女は、水商売を経営して生計を立てていた。 祖母の隣にいるとお香の匂いがし、 小指の爪だけがいつも少し長かった。 祖母はよく「バチあたんで」と孫である兄と私に言った。 祖母は信心深い人で、昔からある神道系の宗教に傾倒していたので、 そういう言葉が日常的に出てきたの