発達障害児を叱る時の注意事項

育児、療育をしていくにあたって、難しいのが、叱り方。

発達障害兄弟を育てて来た中で、効果のある叱り方を分析してみた。

特に発達障害を持ってる子だと、叱る機会が、周りより多いし、
定型発達の子より、激しい怒りを見せないと、効果が得られない場合もある。

闇雲に目につくところから叱っていくと、
何か1つする事に何回叱ればいいのかってくらい、突っ込みどころが多いし、
なんなら、虐待か、それとも私が気狂いなんじゃないか?ってくらい叱らないと効果が見えないし、それでも充分な効果には感じられない。

このままだと、子供の情緒か、親子関係が壊れるって思いました。

それでも、『叱らない』って選択肢は違う。

それは優しいようでも、『諦め』だし、
「大人になったら大丈夫」って慰めは、問題の先送りでしかない。

普段から私は、
色々、事情や状況が込み入ってきて、判断が出来なくなった時は、
『現状がうまくいってるか?』
に、立ち返る事にしている。

イエスなら、思い悩む事はなく、そのままでいけばいいわけで、

ノーなら、現状を変える手立てが必要だ。
どんなに相手が悪かろうが、相手に「変われ!」って言って、変わってもらう事は、なかなか出来ない。

でも、自分が接し方を変えれば、相手との関係は変化するし、それをきっかけに相手も変わる事が出来る。それが、幼子でもね。

で。
自分の何を変える必要があるかを見直す。

子供を見放さないつもりなら、『叱る』をやめるって考えはない。

問題は、『叱る』に効果がない事だ。
じゃあ、なぜ効果がないのかを考える。


『叱る側』の問題と、『叱られる側』の問題がある。


『叱る側』…つまり、自分を省みる。

①叱るじゃなく、『怒る』になってる?
つまり自分の感情をぶつけてるだけになってないか?
親がだだっ子化して、子供に配慮するように押し付けていないか。防犯カメラの目線で自分を見直す。

親も感情コントロールをして、心は冷静に保っているかちゃんと確認してから、必要な事だけ叱る。

叱る相手の態度で逆上しない事。
『気持ちは行動現れる』と思って、人生の大半を過ごして来たが、それが通用する人は6割くらいで、
『心は表情や態度に現れないかもしれない』と、思い直して子供の気持ちを確かめていくと、子供が身につけた方がいい作法がわかり、それをインプットさせると、逆上させるような態度をとらなくなる。

もちろん相手との関係が薄弱で、相手が意見を聞く気がない時は通用しないので、そういう時は、関係作りから始める。

◯親「反省してるの?」
子供「うん!」
と言っても、仏頂面で反省した態度に見えない。
すごい激しく怒られても、
子供「うん!わかった!…でね!あそこに蜘蛛がね(キラキラ)」
親「聞いてたのか!!このやろう!!(怒)」
ってなるのね。

で、我が家では、『反省する態度』をインプット。

目は相手の目(…は見れない子だったので、鼻を見せた後々ちゃんと目を見れるようになった)を見る事。目は少し大きくあける。笑ってはいけない。
手足は動かさない事、姿勢をいつもより良く保つ事。

まずは自分のした事を具体的に述べて謝る。
仲直りをしたい旨や、これからどうしたらいいかを自分の理解してる範囲を伝える。

説教が始まったら、話の相槌を打つ事。
相手の話の要点の語尾を繰り返したり、自分の反省点を繰り返して言う事。

説教が終わったら、自分がどうしたらいいかを繰り返して言い、「教えてくれてありがとう」と言う。
その後10分は、他の事で興奮しないように、本を読むとか、大人しく過ごす。

教えてる時とか、練習させてる時は、これ以上ないくらい惨めな気分だし、こんな子育てどうかと思ったが、これは大成功だったと自負してる。

『正しい態度』を知れば、そうやろうと思うようで、反省の見せ方を知らなかっただけだったんだなっと、実感出来た。

これを機に必要な作法を目線や姿勢から、具体的に教えるようになり、ソーシャルスキルがどんどん上がっていきました。

②子供の特性に合わせて、必要な態度で叱る。
●怒った顔、荒げた声、強い言い方をしないと、『叱られてる』を把握出来ない子もいるので、しっかり演技して『怒る』を演じる事は大事。しっかり『嫌な空気』を作る事!

(上手な叱り方になり、子供も新しいルールのインプットが早くなって来たら、『怒られる前にやめる』って段階に移る)

●逆に不安が強いガラスのハートだと、優しい口調で表情も穏やかに、抱っこしたり、落ち着く状況を作らないと、不安に支配されて、話の内容を把握出来なくなる子もいる。


③目的を持って叱っているか。
話の着地がない説教は、念仏と一緒。
聞き流しされる。
『これがダメ!』『あれをするな』のネガティブ指示じゃなく、
『こうしよう』『あっちに変えよう』のポジティブ指示の方が具体性があって、叱られた子供が行動に移しやすい。

④叱る事に効力を持たせる。
叱った行動が実行されているか監視する。
『言いっ放しで、次同じ事をやっても言いっ放し』の繰り返しじゃ、叱られた方は、聞き流してて問題ないので、叱る効力がなくなる。

ちゃんとペナルティを公言して、それを必ず実行する事。
[実行出来ないペナルティは作らない。
実行したら、必ず嫌な気持ちになるペナルティにする。暴力じゃない方がいい]

◯我が家では、テーマパーク手前まで行って、興奮でルールを守れなくなり、ペナルティで打ち切り、家に帰ったりした事が何度かある。

祖父母も巻き込んで、楽しみを中断してます。
友人宅でも容赦なく帰ります。
事前にちゃんと状況説明をして理解を得ておきます。
この当時は、これが許される人としか遊べなかったです。

試し行動(どこまで融通が効かせられるか確認する作業)が、行為障害気味の子供には、必ずあるが、そこで冷静にペナルティを行使します。

枠組みがはっきりわかると、試し行動は無くなっていきます。
試されてるの、大人な余裕を見せた方が、試し行動も早く終わる気がししてます。

で、忘れないように、その日に何度か『何が原因で帰ってきたか』を確認、反省して、『どうしたら良かったか』を何度か思い返す。

次に同じ状況になりそうな時を察知して、事前注意。
実際になりそうになった時に、『あの時を思い出して!』と、想起させる。

まぁ、こういうのを、2、3回センセーショナルに演出して、記憶に刷り込んでもらえるように、
長期計画で自己コントロールを仕込みました。

何回かやって行くと、自分から「あの時みたいにならないように…だよね!」と、自分から思い出せるようになってくれた。

『叱られる側』の問題を正しく把握する。

①親子関係は薄弱で、子供の中で優先順位が低い人が叱っている。

→まずは、叱る前に親子関係を築きましょう。
子供の『大事な人』にならないと、話を聞いてもらえません。
これは愛着でどうにかなる場合もあるし、ならない場合もある。

愛着が薄いなら、生活の世話で刷り込みしましょう。
お腹を空かせてる時におやつをただ渡さないで、自分の顔を確認させてから、渡します。
聴覚優位なら、名前をいちいち呼んで、声の調子を同じにして、声で認知を高めます。
同時にやっても効果高い。

困ってるのを助ける時に、『誰が助けているか』。
楽しみは誰が提供しているか。
しっかり認識してもらいます。
これが愛着になります。

[ここから始めるなら、まず、怒らなきゃいけない場所には参加しないで、叱らなきゃいけない事は一時的に排除します。]

相互の関係が一体感を感じる瞬間が増えたら、『叱る』土台が出来ます。
次のステップに進めます。


②何かが叱られた内容を理解するのを阻害している。

これは、発達障害を親が受け入れているかどうかで、気づけるか見過ごすか。分かれがちです。

『うちの子は問題ない』フィルターがあると、子供の小さなサインを見逃して「普通はこうでしょ!怠けてやってない!」となりがちなので、自分のメガネが曇ってないかを、毎回チェックして、子供言い分をまず聞いて、子供が言い分を言いやすい状況を作る努力を続けましょう。

例え過去に一回出来た時があっても、それがその子にとって『簡単』に出来たか、めっちゃ頑張って出来た事なのか、
正しく理解出来てると、奢ってはいけない。

『出来る』の基準は、『安定して、スムーズに、的確に、何度でも、同じクォリティで出来る』が、本当の『出来る』状態です。

たまにしか出来ない事は、『出来ない』で、認知し直した方がいい。


※叱られたショックと不安で、ガクブルで内容が素通りしちゃう。(恐怖麻痺反射の残存)

見た目でわかりません。感情が様子に出ない子もいます。無表情でも内心がどうかをリスニングしていきましょう。

感情を言語化出来ないのもあるあるです。
そんな子に「不安?」って聞いても「違う」って答えます。
『不安』の身体状況と言語が結びついてないからです。

今の身体状況を聞いて行って、判断していきましょう。
胸がドキドキする?ソワソワする?落ち着かない?逃げたくなる?
単純に快、不快しかないかもしれません。

何が安心するか、具体的に聞いていき、その環境を作りましょう。(不安が強い場合は、必ず相手に聞いてから物事進めます)
視覚、聴覚の刺激がない所で、抱っこがいいか(触覚過敏は逆効果なので、必ず聞く事)。好きな毛布がいいか。指しゃぶりでも、なんでも、まずは安心が大事。

叱る環境設定は言いなりになっていいが、叱る内容は、譲らないのが、大事。

◯長男は、2歳から、映画を見て泣いていたり、感受性豊かな子だと思ってましたが、
小学校中学年頃に、自分の感情を分類出来てない事に気がつきました。単純に快、不快しかなくて、
状況を鑑みて、身体状態を確認して、適切って思われる名前を母がつけていきました。
感情に名前がつき、感情が変わると、身体が不快になる事もあるってわかるだけで、安心が生まれます。


※叱られたショックで、拒否反応が出て、叱った相手を敵と認知して攻撃体勢に入ってるので、内容など聞けたもんじゃない(モロー反射残存)

感情の分類が出来てない子は、叱られた時の不快の感情と、他の不快感情との違いがありません。
だから、不快=拒否になります。

◯『叱る』は、「君がこれから先に困らないような行動を教える行為だから、敵じゃなくて、味方だ。
叱られた時に胸がドキっとして、嫌な感じがするかもしれないけど、
皆、そうなるし、それで大丈夫だから。
落ち着いて、君の味方の母の話を聞けると思ったら、教えて」
っと、威嚇行動が無くなるまで、聴覚視覚の刺激がない所で休ませる。
この時、話し合いが出来るまで、遊びはダメがだが、自分を落ち着ける手遊びはあり。
退屈にさせると良い。

感情放出をまずさせる。感情は自己回復するので(会話が出来る子の場合のみ)、
出し切って、飽きてきて、退屈が盛り上がってきたくらいに、話し合いをするとスムーズに進む。

この時期は、何よりも感情自己回復を優先する。
何時間かけるつもりで、本でも読みながら、お茶でも飲みながら、または、今度行く旅行の予定頭で組んでてもいい。母の心は逃避していていいので、我慢比べに必ず勝つ事。

1回目1時間半かかっても、2回目は、半分の時間で終わり、それ以降はどんどん回復が早くなる。

待ってる間に、子供喜ぶ報酬は与えない。
お腹減ってても話し合い出来るまで、ご飯もやらないし、寝ちゃったら、次の日の朝、早めに起こしてでも必ず話し合って解決させる。

状況に甘んじない姿勢をここでみせる!


※注意力が叱られてる内容に向き合えないほど興奮している。(ADHD)

興奮が治まるまで、上記と一緒。
退屈にさせて、話し合い、ルールを覚えたかしっかり確認出来たら、遊びを続ける。

興奮状態だと、眼球が動き回るので、わざとゆっくりの口調で話して、注意はそれないかを眼球で確認する。

5秒吸って5秒吐く深呼吸20回。
飲み物を飲む。
興奮しやすいなら、糖分は控える。
(学年の数)分間椅子で何もしない。
など、クールダウン方を試してみる。

興奮には、刺激が飽和状態で興奮に繋がる場合もあります。
身体と知覚の過敏度が高い子が多いようです。

何やっても無理な場合は、速やかに帰宅。

慣れた環境で、落ち着き、

日頃、ストレッチで、身体の過敏パーツを減らしてあげると、ひと段落 落ち着きますよ!


※把握内容が長過ぎて要点を覚えていられない。(言語障害、ワーキングメモリー不足)
※単純に3歩歩いたら忘れる。(ワーキングメモリー不足、適切な関連記憶に接続出来ない)

理屈を話すのは大事。
物事に理由があるって雰囲気だけでも知ってもらう必要があるから。
でも、出来るだけ短くまとめて、最後は要点を一言でまとめる。

まとめた要点を必ず3回スムーズに言えるようになるまで言わせる。

自分で繰り返す事で、脳の記憶回路に何度も刺激を伝えて、刺激が通りやすく(思い出しやすく)なる。
英単語も聞いただけより、自分で何度も呟いて覚えますよね。

字で書いて、考え過程を残しながらやるのも、視覚優位の次男には、有効だった。

10分後に声がけして確認。
注意された事を再度やりそうになったら、「ルールは??」っと思い出させるようにして定着させていく。

◯『定着』の過程が足りなかった事に我が家が気がついたら、めっちゃルールが入りやすくなりました。
怒って気狂いになっても何も進まなかったが、確認の気狂いになったら、そのうちに勝手に1回で覚えてくれるようになりました。


※聴覚過敏で、周囲の音が反響音になって、聞く事を阻害してる。

「聞いてる?」「うん!」って言うと思います。
この場合、『聞こえてる』のランクが違う事があるって可能性を必ず探って下さい。

聴覚過敏が生まれつき日常なら、雑音だろうが、注意だろうが、同じレベルで聞こえてる可能性があります。

親としては、『内容を理解した』=『聞こえた』だが、子供は『音が発せられたのを聞き取った』=『聞こえた』の可能性がある。

ってか、うちの兄弟では実際あったw


※脳の覚醒レベルが低くて、昼でも夢うつつ。(前庭覚、固有覚、触覚の低迷)

こっちを見て聞いている様子だが、
母「…わかった?じゃあ、繰り返してみて!」
長男「…ああ。途中からわかんなくなっちゃった」
スィッチ切れてたって感じw

字で書いて、考えを残しながらやるといいね。

そして、日常からボディイメージを高める取り組みを!!ストレッチや、バランスゲームなど。


※叱り方が注意されているか、わかりにくい。
優しく、にっこり注意されていると、注意されてるのを把握出来ない。(相貌失認の一種な気がしている)

叱る側の注意でも書いたね。


※体調不良、寝不足など。

「ルールインプットされないなぁ」と思ったら、微熱出してたとか、意外とあったww

※一度上手く行くパターンを掴んでも、子供の知覚とソーシャルスキルの成長で上手く行くパターンも変わります。
『現状が上手くいってるか』立ち返って、常に変化していきましょう。


③叱る回数が多過ぎて、『叱る』の特別感が薄れて、記憶に残っていない。

発達レベルにあったものを1つずつ潰していく。
なので、出来るだけいろんな状況に対応出来る具体的ルールを作る事が大事。


④明らかにその子の発達レベルに合ってない高度な欲求をしている。

ソーシャルスキルの上がる順番を間違えると、過大要求になる。

自己の発達が未熟なのに、「相手がどう思うか考えて」は無理。

ここは、次回詳しく書きます。


⑤希望を持たせる!!
「自分が良くなっても、何も変わらない。世間の風当たりは何も良くならない」って、思ってしまってる子は、変化を拒否します。

「相手は自分の言い分通り変えられないが、自分が変われば、相手は勝手に変わってく」
刺激が変われば、脳は変化します!
それは誰でも一緒!!

「新しい事を始めると君の待遇は、変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。
でも、何もやらないと今のままは確実!!
変わりたいなら協力するが、君はどうしたい?」

これからの人生をカスタマイズするのは、君だ!!

始めるのは、子供で、親はサポーター。
親の仕事は、支配じゃなくて、サポートね。


長々書きましたが、
思い当たる節はありますか?


『機転が利く』『臨機応変な対応』が出来る人って、たくさんの選択肢を持つって事。

指示出し叱りより、一緒に意見を出して考えるスタンスの方が、選択肢をインプット出来るし、
大人の考える経路をトレース出来る最高の機会だ。

『叱る』なら、目的を持って、叱られる子が同じ目的に向かい、その為にどうすればいいかを把握出来る説教が、いい説教。

トラブルがあれば、それを元に成長出来るってサイクルが出来れば、
トラブルを次はなんの成長に繋げようかと、楽しくなるw

『失敗しても大丈夫!ただで起きない。学ぶ為の失敗だ!』って思えれば、したたかで生命力の強い子になる。

なので、説教後に『何が悪かったか?』『どうすれば良かったか(どうなりたいか)?』『その為に今後どうして行くか』を叱られた子供が話せれば、変わる事が出来たわけで、あとは、定着させるだけ。

物事が前向きに進む。
それが、成功の叱り方だと思ってます。

経験記憶に優る記憶は無し!! 日本一周まであと少し! マイナーな子連れ旅ブログが書きたい!! よろしくお願いします!!