見出し画像

#写真から創る


 凍えてた。
 そうしたらあの人がやってきて、
「おう、どうだ?」って。
 ドウダ?ッテ、イッタッテ…。

 そんな風に思ったのだけれど、


「寒いよ…」
 とだけ言う。
 寒いって、圧力だ。
 寒いって、暴力だ。
 そう思う。

 「そっか、わかった」
  あの人はそう言って、部屋を出ていった。



 少しして、片手にはおでんの入ったパックの袋、片手にはカップ麺がいくつかとおにぎりが入った袋、二つのレジ袋を提げてまたやって来た。
「これ、食えよ」って、言って差し出されてしまった。
「でも…」

 ワタシ、ダイエットシテルノヨ。

 心の声が聞こえたように、
「大根くらいいいじゃん」って、優しい声で言う。
 もう、・・・。


 おでんのパックを開いてみたら、大根と白滝とこんにゃくと、私のすきな玉子が最初に目に入る。
「ちゃんと入れ方頼んだらすげえ丁寧に入れてくれたの。まじめな兄ちゃんだったぞ。よかったな」
「うん」


 彼の服から雪の匂いがした。

 積もってしまったんだ。
 そう思った。
 傘もさしていないのに濡れてない。

 おでんは少し冷めていたけど、美味しくて思わず沢山食べてしまった。「また動けばいいよ、気にするな」
 ヤサシイナ、ドウシテ?

「いいから、なんも考えないでこれも食べちゃえ」

 レンジで温めたおにぎりを差し出してくれた。
 私の好きな鮭の具。
 ウレシイ…。

「これ飲んで。のどに詰まらせるなよ」
「うん」
 彼が入れてくれた熱い緑茶は濃いお茶の色。
 でも苦さは感じなかった。

 こんな寒い日にこんなことしてくれて、・・・ありがとう。
 そう思ったけれど、黙ってた。

 


 大きな音を立てて吹いた強い風。
 外は凍るように寒いのだろう。

 何にも言わずにお茶を飲む。

 静かに時間は過ぎていった。


 

 

 こちらの企画に参加させていただきました。

 しめじさん、初めましてですが、どうかよろしくお願いします。


 画像かなり探したんですが、見つけることができなくて、見つかるまで待っていてください。

 では。


 読んで下さってありがとうございました。

ありがとうございます。 嬉しいです。 みなさまにもいいことがたくさんたくさんありますように。