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蔭浪

暑い暑い夏の街


蝉もほとんどいなくなり
陽炎だけが私を包む


首からも滴る汗に


マスクが邪魔でも

接することに細心を


見慣れた景色に
私が昔、大好きだった砂浜


友達と夜

安くて沢山買い込んだ

手持ち花火をよくした広場

夕日が沈むくらいの浜辺が
大好きで


自転車を漕いでは

無造作に停めて


女子だらけの花火は
いつだって華やかだった


バイトでしか会えない男の子たちは
わざわざ追加の花火を買い足して、
騒がしい私たちを茶化しにやって来た

潮風が肌に当たるとき


そんな青春が私を引き戻し


前を歩く君が
そんな若い頃のように

全てに楽しそうで

羨ましく思えた

私たちに仲があってもなくても


この時が同じであるなら


それは紛れもなく
起こるべくして起きた
共通項で

目の前から離れた時点で


もう次はいつか
わからない

二次元の中にしか
タイムラインがないと
思っていた その共通項は


三次元になっても
交わることを知った時

不思議な感覚で

あの頃の同じ時間に
燃え尽きた花火みたいな

どうして人が
思い出を固形(カタチ)にしたいのか

初めてわかった気がして

またあなたが二次元に帰る前に


三次元の中に留めた


隠れた口元は

そんな歯痒さをも
見せないようで


何かの誓約か


これが新しい現代なら

交わることは

一種の禁忌。

暑い 熱い

カゲロウに揺れる

君の背中。。

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夏の思い出

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