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歴史は繰り返すか…日本80年周期説

令和、令和と騒いでいるものの先の時代を考えるとやはり怖さと期待が半々というのが正直な所…過去を振り返りながら、未来を考えると平成という時代は経済の敗戦という結果で間違いない所だと思います。社会学者の古市氏が平成のおわりにこんな記事を書いてたけど

https://bunshun.jp/articles/-/10607

だいたい専門家とかそのへんがいってることを簡単にまとめると似たような内容になるんだろうなと思われます。

戦前の大日本帝国と戦後の経済大国日本はほぼ同じ、80年の周期でまったく似たようなプロセスを辿っていると思います。明治日本はペリーによって開国、経済大国日本はマッカーサー主導でスタート、共にアメリカの外圧が影響しているのです。

帝国主義の時代は解釈はどうあれ軍事力を強くし、海外に領土を求めることが主な目的。

25年で日清戦争、40年で日露戦争、ここがプロジェクトとしてのピーク
日露戦争の勝利は大航海時代以降400年の流れで有色人種が白色人種に大規模な戦争で明確な勝利を収めた初めての事例とも言われ、世界的な日本ブームが起こり、世界中で武士道が読まれ、日本には帝国主義に苦しめられる各国から留学生が殺到したと言われています。同時に欧米列強は黄禍論を懸念し、中国や日本への警戒感を強めてもいます。以後、関東大震災、世界恐慌、満州事変と続き、末期はほぼ孤立無援で世界中を相手にしながら、戦艦の時代は過ぎ航空機の時代になっているにも関わらず大金をかけて大和、武蔵などの大型戦艦を建造する「大艦巨砲主義」に陥り。陸・海軍は連携が取れず、補給もおぼつかないまま無暗に戦線を拡大し、大本営は負け続けているにも関わらず、連戦連勝を報じていた訳で、明治時代あれほど慎重で列強に付きいる隙も見せず、強かな外交戦略もとれていた前半40年から比べ、末期の昭和期は大きく道を踏み外してしまったと言われます。

戦後の経済大国日本は日米安保の核の傘に守られて、経済発展に全精力を注いだ時代といって間違いないはず。

25年で高度経済成長、40年目でバブル経済、ここがピークで東京の土地の価格だけでアメリカ全土の土地が買い締められるとまで言われ。世界で一番儲けている会社はNTTを始め、圧倒的に日本という位置まで上り詰め、世界一安全で、教育水準が高く、長寿な国ともなり、製造業はほぼ日本が圧籍、ジャパンアズナンバーワンという風潮と、相反する貿易摩擦が吹き荒れます。以後、バブル崩壊、阪神大震災、リーマンショック、尖閣事件、東日本大震災とつづき、平成年初には世界の株式時価総額TOP30の中に日本企業が10社以上名を連ねていたものが、平成30年の時点では28位にTOYOTA1社をわずかに残すのみ。GDPも世界第3位に後退してしまいました。

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1人当たりのGDPでは今や世界第28位程度で、先進国では最下位になります(これも2000年頃までは世界2位を維持していました)人口が多いために総合的なGDPでは大きくなるという点では、今や中国と似たような構造なのです。経済発展という目標をゲームで例えれば、チートコードを適用して始めた無双状態にも関わらず、所々で大きく選択肢を間違えBAD ENDに近しい結果に行きついた…と言えるのかも?30年かけて他の先進国や途上国と比較して実質的な成長が達成できず、深刻な少子化を防ぐことも出来ず、政府の借金は破綻したギリシャと同じ水準まで積みあがってしまいました。

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アメリカの外圧で始まり、だいたい25年目と40年目で大きなピークを経験し、後期の前半20年の間に震災や中国とのイザコザを経験し、末期の20年で主力となっていた目標で大きく踏み外す。大日本帝国と経済大国日本はほとんど同じ流れを辿っていると言えます。当時は産めよ増やせよで国内で人口をカバーしきれず、海外に領土を求めた事が、今度は深刻な少子化で内需中心の日本に今後、深刻なダメージが起こるであろう事…人口問題は同じように絡むもののその自称自体は真逆をいってはいるのですが…

時代錯誤のもの(戦艦、大規模公共投資)に金を注ぎ、それらは実質的な成果をあげることがなく役目を終え(終えそう)、後年、良くも悪くも象徴的に語られる事になる(なりそう)という点では戦艦大和と東京オリンピック(国立競技場)も共通点を備えています…共に帝国主義、経済大国の象徴的なシンボルにはなるのかもしれない。戦前は国威主義が蔓延り、架空の大本営発表が繰り返されましたが、日本凄い番組の台頭や排外主義が加速していることもまた懸念される共通要素です。

平成の失敗は主に1980年代に産業構造の転換に失敗したこと(モノづくりに固執して、金融やIT、サービスなどへの転換ができなかった)

平成年初に日経平均株価が戦後最高の3万円台の大台を記録し(現在でも破られていません)経済発展で盛り上がる反面、深刻な少子化に直面したにも関わらず(平成元年は合計特殊出生率が戦後最低の1・57を記録した1・57ショックの年…本格的な少子化の始まりの年でもありました)それに具体的な対策を打てなかったばかりか、数の多い団塊世代(第1次ベビーブーム世代)の子供である、団塊ジュニア世代(第2次ベビーブーム世代)が世に出た頃にはバブル後の不況が深刻化し、非正規雇用を製造業の分野まで広げてしまったため、人口ボリュームの多いこの世代が、安定した収入を得られなくなり晩婚・未婚化がより進行し氷河期世代と呼ばれるまでに放置してしまったこと=結果的に起こるはずだった第3次ベビーブームが到来しなかったこと。

働き方改革(ワークライフバランスの改善、女性の社会進出とそれに合わせた適切な制度の導入)の不徹底もそれに拍車をかけました。

ベンチャーなどの新規産業の育成(ホリエモンのライブドア事件などに象徴されるように団塊ジュニア世代の国内の作り替えが既存勢力により閉ざされてしまった)が出来ずに企業の新陳代謝が起こらず、先端となるITの分野では諸外国にどんどん後れを取った点など。

これらは全て、安定した勢力にしがみついて、適切に変わろうとしてこなかった弊害だとも言えます。日本は新しい事に敏感で内発的に変わることこそ苦手なものの、目標をもてばそれに邁進できる国民性があります。が、少子化で老人も増えすぎた結果なのか、最早テクノロジーの分野では途上国にも後れを取り始めている次第。

モノづくりの分野では韓国・中国・台湾など東アジア勢に追い上げられ、ITなどの先端産業ではアメリカと中国に、社会福祉などの分野では北欧に、どんどん追い越されていきました。平成が始まった頃は、全ての分野で頂点に近い位置にいたにも関わらず。

個人的に民主党政権の発足や東日本大震災のあった2010年前後が、色々な問題が適切に改善されるラストチャンスだったと思います。最後の大きな人口ボリュームでもある団塊ジュニア世代(氷河期世代)の先頭はまだ30代。安定した職を得られれば結婚し、ギリギリで子供を産むこともできたし、地方もまだなんとか余力を保てていました。

しかし、震災を経ても大きな変化には繋がらず(例えば首都機能の部分的移転やそれを足がかりにした地方活性化、EVなどのエネルギー分野の転換など)合計特殊出生率もほぼ横ばい、その後発足した安倍政権によるアベノミクスは株価こそ引き上げたものの、企業の内部留保を進めて庶民に還元されていないとも言われてます。日銀は異次元の金融緩和に舵を切りましたが、無制限に金を刷り、株価を釣り上げるやり方はドーピングに等しく、そもそも健全な経済発展だとも思えません(MMT理論など、それを肯定する向きもありますが、出口なき戦略はリスクが高く。その先頭を走っているのが日本なのです)ジム・ロジャーズなど海外投資家も度々警告している事でもあります。

この平成最後の10年の衰退こそ個人的には終わりの始まりで、少子化が止められないレベルで進行した今、2020年代こそはテクノロジーを活用し、人口減少を前提にした制度設計、平成では出来なかった成熟社会としての在り方や新しい産業の育成など色々な変化を適切に、そして急速に辿っていかないと、益々大変なことになりそうな気がしています。太平洋戦争直後、日本はハイパーインフレを起こし政府は預金封鎖、新円切り替えに踏み込みました。令和初頭の現在、既に少子化に加え、氷河期世代の年金問題から将来の社会保障費は危機的な状態にあり、増え続ける政府の債務などから、将来的な地方のインフラの維持などもいずれ困難になってくるはず。破綻を思わせる歪みは既に各所に出ています。

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世界的な不況の懸念もある中で、各国はポピュリズム(自国主義)の傾向を強めてもいます。ここもまた戦前のブロック経済とファシズムの台頭を思わせ、まさに、歴史は繰り返しているとも言えます。明治~太平洋戦争終結を80年と捉えると、戦後日本の80年の終着点は2025年。実は前回の80年周期のだいたい75年目にも東京でオリンピックが開催予定でした(1940年)しかし当時の世界情勢の中で中止で終わり、翌年には太平洋戦争へ突入します。そして、今年、新型コロナウィルスの世界的流行により80年前と同じようにオリンピックは延期・中止の懸念も出てきました。ここまでリンクするのはある意味怖いのですが…。そして、ウィルスによる混乱は「戦争」と喩えられる向きもあり、各国は現在、協調よりもポピュリズムが加速している状態にある気がします。

2020年の東京オリンピック後(延期になりましたが)には主だった成長要素が見られない日本は少子化と増税、オリンピックの建築需要が一巡したことから起こるオリンピック不況が重なり、間違いなく景気は悪化するだろうと言われています。団塊世代が後期高齢者に入り、働き手から本格的な介護世代に突入、働き盛りの中間管理職が介護離職に陥ったり、医療現場の混乱、認知症患者の急増など、様々な混乱を引き起こす2025年問題が取りざたされるその年に戦後の80年目の年が来ます。戦争とも喩えられるコロナウィルスの混乱から始まった経済大国日本の80年目へのカウントダウン…大日本帝国最後の5年間は太平洋戦争期とほぼリンクしています。

今後の約5年、どういった流れを辿るのか、それが良い変化なのか破滅的な衰退へ繋がるのか…ただ仮に何かしらの破綻のようなものが起こっても
機能不全に陥ったものを適切に作り替えるフェーズに入るという事では「希望」とも言えます、明治維新や戦後の復興期と同じように。

また明るい話題も一方では出ています。企業の倫理ばかりが優先される労働環境がずっと問題視されていましたが、2019年はコンプライアンスをめぐる様々な社会問題が数多く起こりました。その他にも同一賃金同一労働や副業解禁、トヨタ会長のもう終身雇用は持たない発言、氷河期世代の政府による救済プランの立ち上げ、年金2000万問題。どれも一見問題だらけのように思えますが、少子化=子育て対策の問題くらいしか取り上げられなかった昨今で、多方面での問題提起がそれも複数に渡って、大きな形で提示された事が、大きな一歩ではないかと思うのです。コロナ禍によるリモートワークの加速やいままでの日常がそのまま地続きで進まないという意識が国民全体で深まったこと、それ自体も長い目で見れば変化に対する適切な意識を育む事に繋がるのではないかと。そして、かつての帝国主義や経済大国の次の目標を模索し、形にしていく時代になるのかもしれない。それでも、まだスタートに入った段階に過ぎません。令和が問題も孕みつつも明るい時代に繋がることを願ってやみません。


-------------大日本帝国の80年と経済大国日本の80年の対比-------------------

1868年:明治維新→1945年:敗戦(共にアメリカの影響で体制が変わる。ペリー/マッカーサー)
1895年:日清戦争の勝利/東アジアの覇権国家となる(28年目)→1968年:高度経済成長/日本のGNPが世界2位に(23年目)

1905年:日露戦争の勝利(有色人種日本が大航海時代以降400年の国家規模の戦争で白色人種国家に初の勝利。当時世界最強と言われたバルチック艦隊を完封、武士道が世界中で読まれる。黄禍論が懸念される)(38年目)→
1989年:バブル経済(株式時価総額ランクの世界トップがNTT,30位以内に日本メーカーが21社もランク。日経平均株価が史上最高を記録。ジャパンアズナンバーワンが世界中で読まれる。日米貿易摩擦が強まる)(44年目)

1923年:関東大震災(55年目)→1995年:阪神大震災(50年目)
1929年:世界恐慌(61年目)→2008年:リーマンショック(63年目)
1931年:満州事変(63年目)→2010年:尖閣事件(65年目)
戦略的失敗/補給を無視し戦線を拡大、航空機の時代に戦艦に固執、架空の大本営発表を繰り返す/少子化・デフレを放置、グローバル.IT化の時代にモノづくりや20世紀型の経済成長に固執、愛国主義や日本礼讃番組が増加
1940年:東京オリンピック開催(中止)各国でブロック経済、ファシズムなど保護主義が強まる(72年目)→2020年:東京オリンピック開催(延期)新型コロナウイルスの蔓延により、各国で保護主義が強まる(アメリカ、イギリス、中国etc)(75年目)

1941年:年末に真珠湾攻撃、太平洋戦争の始まり(73年目)→2021年:オリンピック後(あるいはオリンピックの中止)の不況、増税による消費の落ち込み、世界的な景気後退局面にも入り長期的停滞が本格化されると予想。またコロナウィルスの混乱は「戦争」にも喩えられる(76年目)

1945年:原爆投下・敗戦(77年目)→2025年:団塊世代がすべて後期高齢者となり大きな社会混乱を起こすと言われる2025年問題の始まりの年(80年目)

1946年:政府債務の残高が対GDP比220%を記録し貯金封鎖、新円切り替えが行われる(戦争・敗戦による債務悪化)(78年目)→
2026年:政府債務残高は対GDP比240%(2019年現在)2026年以降のこの頃になんらかのデフォルトが起こるという説もあり(人口減・経済停滞による債務悪化)(81年目)

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