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手術ってすぐしてもらえるの?治療待ち期間について

こんにちは。

今回は、「治療待ち期間」についてのお話です。
一回で書き上げますので、ボリューム多めの記事となります。皆さんにとって、お役になれば幸いです。


1.治療待ち期間

「治療待ち期間」とは、“治療内容が確定してから、実際に治療を受けるまでの期間”のことです。

つまり、「受診予約〜受診〜治療内容の確定」までの期間は、通常含みません。ご注意ください!

2.治療待ち期間の調べ方

前提として、公表している病院としていない病院があります(以前「手術と病院選び」の記事で、症例数の調べ方で使用した「病院指標」は、全病院が毎年公表です)。

さて、治療待ち期間の調べ方は簡単です。「◯◯病院 治療待ち期間」や「◯◯病院 治療待ち日数」等と検索すると、公表している病院であればすぐにヒットします。

3.患者数日本一と最古のがん専門病院で比較

では、恒例の国立がん研究センター中央病院とがん研有明病院で、“本日時点”での治療待ち期間を比較してみます。

がん研有明病院「治療待ち日数」
https://www.jfcr.or.jp/hospital/wait.html

どのがん種・手術でもいいのですが、最長の治療待ち期間にしてみます。

膀胱腫瘍の治療待ち期間
GC療法による化学療法後に転院してくるケースでない限り、有明病院同様、中央病院でも治療待ち期間中の「8週間」に化学療法を行うのが通常の流れではないでしょうか

いかがでしょう。
あくまでも「目安の期間」ですが、初めて知った皆さんはとても驚かれたかもしれません。
科によってかなり差はありますが、医師の方は自院と比較してどんな印象でしょうか。

初診日に、手術を受けるという“治療内容が確定”すれば上記表の期間となりますが、患者さん本人としてはなかなか初診日で覚悟は決まらないのが本音かもしれません。そうなると、さらに手術までの期間が延びることになります。

4.短縮できないか

最後に、何とか治療待ち期間を短縮できないか。
残念ながら、基本的にはできません。もちろん、緊急時には優先して手術を受けていただくこともありますが。

では、どうするか。
以下、ケーススタディで考えてみます。

コロナ禍で延期になっていた娘の結婚式が、4ヶ月後に控えている65歳男性に、膀胱がんが見つかりました。しかも、膀胱全摘(及び尿路変更)の手術が必要な状態と思われます。でも、泣く泣く参列を諦めるか、参列後に手術を受けるしかないのでしょうか。

仮想のケースです

いいえ。きちんと手術を受けて、参列時には回復している状態にしてくれる病院があるかもしれません(手術を受けるつもりでしたら、参列後ではなく少しでも早いタイミングでお願いします)。

現在の標準治療の流れとしては
「GC療法2コース→膀胱全摘→オプジーボ」
となっています。

GC治療は、6〜8週間です。
膀胱全摘後は、3〜4週間の入院生活です。
→ここまでで、9〜12週間です。

結婚式まで残り4〜7週間で、退院します。
→ここまで一切時間のロスはない前提ですが、実際にはやはり紹介状〜予約〜受診〜治療内容確定に加えて、追加の検査も必要かもしれません。そう考えると、残り4週間で長時間の式・披露宴に耐えられる体力をつける必要がありそうです。

そうなると、術後の合併症のリスクが低く、回復も早いロボット支援手術をオススメしたくなってしまいます。傷口が小さくて済むロボット支援手術であれば、術後の痛みも軽減できますので、退院後は体力をつけることに集中できるようになります(腹腔鏡手術でも構いませんが、開腹手術だと正直厳しいかもしれません)。

では、どうやってそんな病院を探すの?
ロボット支援手術は、高い技術(症例数)が必要なのでは?
→「手術と病院選び」の記事

かなり極端なケースでしたが、まだ65歳でしたら式・披露宴に耐えられる体力をつけた上での参列は十分可能だと考えます。

※なお、術後補助療法のオプジーボ(ニボルマブ)の投与については、投与時間は30分ですし、2週間間隔の投与であっても結婚式にはさほど影響しないと思われます。


まとめ

今回は、治療待ち期間から始まり、期間の調べ方、期間が長い手術で比較、ケーススタディで何とか短くできないかを模索、をお話しました。

もっとも、長い目で見たら、実績と信頼の中央病院や有明病院の方がいいのでは、と思われる方もいらっしゃるはずです。でも、そこは患者さんの価値観次第です。

手術を受けて、元気な状態で娘さんの結婚式に参列したい父親の気持ちを一番に考えてあげたいです。

仮想のお話でしたが、偶然そんな状況の方が本記事をお読みになったとしたら、まずは主治医に相談してみてくださいね。ポイントは、きちんとご自分の価値観を伝えきることです。応援しています!

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