タトエバ9 地域福祉 -ALSだった母と暮らして-
母は病気になってから、それまでの暮らしを終わらせ、そばにあったものを順に仕舞いはじめた。人との関係だって同じく、病気に掛かっていることを知らせた相手はほんの一部だけだった。母が病気になってから、母の世界は小さくなっていった。終わりに向けて片付けようと、自分というものが消えてしまいやすいように繋がりを解いていったようだった。
それでも、母が病気になったからこそ、はじまっていく世界、出来上がっていく世界が表れてきた。病気を理由にして、繋がりはじめる人の関係。それは母が母だという