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「AI」で変わる「味覚」の世界

column vol.1199

スプーン1つで「味覚」を共有する

そんな未来の話が今、現実に起ころうとしています。

〈FNNプライムオンライン / 2024年1月16日〉

NTTドコモは16日、最先端技術を公開するイベント「docomo Open House’24」にて、「人間拡張基盤」「味覚を再現する技術」を組み合わせた味覚を共有する技術を初公開しました。

相手の味覚に合わせた味覚共有技術は世界初。

料理の味の分析と、人それぞれで異なる味の感じ方を掛け合わせ、味の基本となる五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を特殊な液体で再現するとのこと。

今回は「母親がつくったトマトスープを子どもが食べた時に感じる味」を再現。

大人と子供の味覚の差が体感できるもので、液体を口に含むと子どもが感じる強い酸味大人が感じられるのです。

同社は、言葉で伝えられない五感のコミュニケーション手段の拡張を目指していて、将来は映画アニメに登場する料理の味の体験などへの活用を目指すとのこと。

AIを使った新しい味覚体験は、他にも続々と耳にします。


明治大学が「味の再現装置」を開発

明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室では、AIを用いた調味装置「TTTV3」を発表。

こちらの装置は、産地や品種の違いを再現することができ、プロの料理人よりも細かな味制御が可能らしいのです。

〈AI Smiley / 2024年1月17日〉

TTTV3は総務省が支援する「異能vationプログラム」の一環として、宮下教授が開発した「味わうテレビ TTTV」の発展型。

基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や辛味など、さまざまな味を感じさせる液体を0.02ml単位と微細な制御をすることができ、これによりプロの料理人よりも精密な味付けができるとのこと。

また、複数の溶液を組み合わせて風味を調整可能で、膨大な数の味の組み合わせを再現でき、ワインカカオ梅干し、さらには産地や品種の違いを含む多彩な食材の味を再現します。

そして、こうした味覚の再現技術を使ったユニークな商品が、まもなく私たちの前に現れようとしているのです。

驚きの「恋AIパン」

パン製造・販売の木村屋総本店NECが、AIを使って恋愛感情を味で表現した蒸しパン「恋AI(れんあい)パン」(5種類)を共同開発したとのこと。

〈産経新聞 / 2024年1月17日〉

その5種類の味とは、以下の通りです。

(1)運命の出会い
(2)初めてのデート
(3)やきもち
(4)涙の失恋
(5)結ばれる両想い

おおお…、ロマンチック…

発売は2月1日とのことです!

どうやってこの恋の味を開発したのか?

NECによると、AIがインターネットテレビ「ABEMA」の恋愛番組「今日、好きになりました。」に参加する現役高校生の会話データ15時間分を機械学習したとのこと。

さらに、183種類のフルーツやスイーツなどの食品が登場する約3万5千曲の日本語楽曲の歌詞も分析。

チャート化した感情の傾向が似ている恋愛シーン食品のイメージを紐付け恋の感情を表現する食品の上位50をリストアップ。

この中から相性の良い食品を組み合わせたそうです。

もちろん、見た目も色鮮やかな仕上げに。

NEC
NEC

明治2年創業、木村屋総本店の令和の文明開花です〜

ちなみに、2月1日に発売されるのは、同社の斉藤浩二取締役

「恋愛成就の効果はあると思ってつくっている」

という言葉を信じ、バレンタイン商品としてお披露目されたそうです(笑)

5種類とも希望小売価格は200円

木村屋総本店の直営店オンラインショップ関東近郊のスーパーで販売されるそうですので、ぜひご賞味いただき、イメージ通りか楽しんでくださいませ〜

ソース派?醤油派?に決着?

食品業界の導入例として、もう1つ挙げたいのがミツカンの事例です。

ちなみにですが、アジフライを食べるなら

ソース派? 醤油派?

どちらですか?

…これには、意見が分かれるでしょう…

他にも、タルタル派もいらっしゃるのではないでしょうか?

この結末の見えない論争にミツカンが終止符を打とうとしています。

〈ニッポン消費者新聞 / 2024年4月10日〉

同社は、味覚に関するコンサルティングをおこなうAISSYとともに、慶應義塾大学が開発した味覚センサーAI「レオ」を用いて各種調味料との相性度を測定

何と!

最高得点を獲得したのは……

「味ぽん」でした!

相性度の得点(100点満点)
●味ぽん…97.3点
●タルタルソース…97.0点
●ソース…95.6点
●醤油…95.3点

気になってミツカンのウェブサイトを覗いてみると、去年の2月に、そのように公表しておりました。

〈ミツカン / ウェブサイト〉

AISSYの鈴木隆一社長

「アジフライの持つ旨味・塩味に、味ぽんの酸味と塩味が加わることで、アジフライの美味しさを引き出した

と分析。

とはいえ、数字を見ていただける通り、所詮は僅差です。

私の結論としては、無理やり1つの好みに絞らず、それぞれの人の好みを大切にする方が良いということです(笑)

ソース派・醤油派議論は楽しい話のタネですが、もっとシリアスなテーマも、実は私たちは本当に小さな差で歪みあったりしていることが多いのかもしれません…

そうした僅差をAIが判定してくれたら、もう少しだけ穏やかな世の中になるのかもしれませんね😊

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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