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まだPDCAサイクルで無駄な時間つかってるの?って話

PDCAの生産性向上には全く根拠がなくて、日本の企業が経済発展しなくなったのはPDCAを回すことが手段ではなく目的になってしまっているから。という話です。

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そんな自分もいろんなセミナーで散々言われてきたPDCAサイクル、どこから生まれたか知ってますか?

デミングさんっていうアメリカの統計学者が提唱した、と言われていますが、なんと。本人はそれを良しとしていないんです。

PDCAの提唱者といわれるデミングは、晩年までCheckHold Backという停止を意味することから好ましくないと主張していた。PDCAはシューハート・サイクル (Shewhart Cycle) またはデミング・ホイール (Deming Wheel) と関係無いとも証言をしている。没年には、Checkを研究を行うStudyに置き換えPDSAサイクルとすべきであると主張した[2]。

ウィキペディア先生からの引用です。

自分もいろんなチームでPDCAを回せ!と言われて、Doした後のCheckで散々ダメ出しを食らってヤル気を無くしたことが何度もあります。で、良かった点をチェックしても何故か反映されにくい。多分良い面もあったはずだけど、面倒で時間がかかる割には上手く使いこなせない。そんな経験ないですか?

これは、古いOSのPDCAループを脱却して、現代のスピード感に合うサイクルOODA(ウーダ)ループにOSをアップデートしよう。って話です。

デミング先生の伝えたかったことは、

Plan=開発 

Do=投入

Check=お客様の意見を聞く、くらいの意味だった。

そのC=確認に時間がかかるからS=Study(研究)ならスピード感が落ちないように訂正したい。という話だった。それなら、なぜ今の非効率なPDCAが当たり前のように広まったんだ? 


PDCAの歴史

PDCAの歴史は、第二次世界大戦後の日本生まれ。メイドインジャパン。統計学者のデミングさんが統計的な品質管理を行うための講演で、PDCAに近いことを提唱したらしいんですが、それを聞いた日本人が今のPDCAの考えの元をつくったとのこと。

日本でPDCAが大ブームになったのは、1990年代の小泉政権の時代。当時のTOYOYAのトップが政府との話し合いの中で、プランを実施するならチェックとアクションが必要だと話したことがあった。それがPDCAを徹底してやらなければならない。と広まってしまった。しかし、PDCAを回すと経済効果があるとか、生産性が向上するのは理論的に全く根拠がない。もちろん一部ではある程度の意味があっても、汎用性は、もともとない。

ここから、大企業を始め全国の中小企業が生産性を向上させるためにPDCAを取り入れ始めた。生産管理が全くできてない製造業では上手くいったり、上手くいかなかったりしながら、本来は経済成長が目標だったのに、PDCAを回すことが目標になってしまう企業が出てきた。これが日本企業の停滞を招いた。

理由は、これ。


PDCAは管理統制型で、目的を奪う


日本の多くの有名企業では品質についての改ざん、偽装が起こっている。理由は、PDCAを回すことが目的になってしまい、現場で起こっている事実を見なくなってしまうからだ。計画通りでないものは改ざんしてでも計画通りにしないといけないという考え方になってしまい、辻褄を合わせることが現場の仕事になる。 

形式的に手段を信奉している人がやっているのがPDCA

日本の教育の多くは、完璧主義、正解志向。正解はないのに、正解が重視される風潮があるから、型にはまるとか、形式を重視しやすい人材が増えるのは自然なこと。

PDCAは計画が一番最初に来るから、手段や手続きから考え始めるサイクルになっている。利益や数値目標が先にくれば、計画通りにやらないといけないことになる。実現させたいビジョンや理想の世界を達成するための手段として、利益や数値目標があるんだけど、実際は手段が目標になりやすい構造になっている。

例えば、車のメーカーが問題になる中でTOYOTAは改ざんしてなかった。日本の車メーカーでは唯一PDCAをやってなくて、プランの前に現場で違和感が起これば、その場で問題が起こる前に判断して行動していたから。

「計画通り」や「正解を求めていく」ではなく
ヴィジョンや目的を大事にしてすすめよう

結果を出すために、PDCAをベースにすると目的がわかりにくくなる。


OODAループは、人が自然に判断している導線


みる   (Observe)観察

わかる 
(Orient)情勢への適応

きめる 
(Decide)意思決定

うごく 
(Act)行動

みなおす(Feedback Loop)ループ

OODA(ウーダ)の順番は

①状況をみて

②状況がわかったら

③その場で状況判断して

④現場でリスクをとって最善の行動する。

が基本になる。

状況の判断基準は、必ず目標を達成できるためにはどうするか。そのために手段にこだわらず、ベストなパフォーマンスのために行動するサイクルになっている。

なるべく早く行動しないといけない時に、まず計画を立てて、計画通りに行動して…と時間をかけているとチャンスを失ってしまう。ロジカルシンキングを否定する訳じゃないけど、とっさの判断が必要な時にPDCAやロジカルシンキングは時間がかかりすぎるデメリットがある。


OODA(ウーダ)のルーツは?


アメリカが第二次世界大戦まで圧倒的な物量で勝ち続けていた時、ベトナム戦争でも爆撃をしまくることで軍事施設を破壊することが戦争を終了させるための手段だと思っていた。でも、歴史を見てみると施設は破壊できても、指導者の戦闘意思を破壊することが出来ず、戦争は終わらなかった。

アメリカは施設を破壊することで戦争を終わらせようとしたけど、それだけでは指導者の戦闘意思をなくせなかった。つまり、破壊することが目的では戦争は終わらなかったということ。戦闘意思をなくすことが目的じゃないと戦争は終わらない。手段と目的を間違えると、結果につながらない。

弱者が強者に勝つための有名な経営戦略、
ランチェスター経営も戦争から生まれた。

戦争って良くも悪くも合理的な物事を発展させる。戦争で弱者が強者に対して合理的に勝つための戦略が、会社経営の戦略にも応用ができる。相手の弱いところを付いて、自分の強みを活かして一点突破する。その有名なものがランチェスター戦略だけど、OODAのルーツは朝鮮戦争から生まれた。

朝鮮戦争でソ連とアメリカの戦闘機が戦ったとき、1:10でアメリカが圧勝した。戦闘機の性能はソ連の方が上だったのに、なぜ圧勝出来たのか理由を分析したところ、こんな結果だった。

アメリカの戦闘機の方が、操縦席の視界が広かった

操縦士が戦闘の状況をよく見ることができた

よく見えることで、状況の認識が早くできた

ソ連の戦闘機よりも早く瞬時に有利な判断ができた

結果、敵機の後ろに回り込めたり、自分たちのペースで戦闘を進めることができるようになったため、敵の指導者の戦闘意思をなくすことができた。

戦争から生まれたと聞くと、なんとなく嫌な感じもするけど、目標を達成するという意味では戦争も経営も人生も同じ。良いものの良いところは普遍的で汎用性がある。自分の理想の世界を実現するために、有効なツールは使わない手はない。

自分もランチェスター戦略はとても勉強になった。それに、戦略の考え方自体は何にでも応用できるから、ランチェスター戦略を実行しながら、実際ランチェスターが戦争で何人殺したのか、を考えることはない。

OODAを深掘りすると、宮本武蔵に辿り着く

OODAループを提唱したアメリカ空軍のジョンボイド大佐が参考にしたもの。それは日本の剣豪、宮本武蔵の五輪書だったらしい。

構えがあって、構えなし 

宮本武蔵の有名なエピソードに、佐々木小次郎との決闘で木刀を使って勝った。というのがあるけど、それは日本刀が届かないくらい長い木刀で戦って勝った。ということらしい。

「相手に確実に勝つ」ということが目的で、その手段にはこだわらない。「構えがあって、構えなし」というのは、状況に応じて武器の構えが変わっても、勝つことが目標だということにブレるな。という武蔵のメッセージです。

宮本武蔵の場合は「勝つ」ことが最大の目標。

戦国時代、戦場で生きるか死ぬかの時にPDCA!ってやってたら死ぬ。

では、経営者に置き換えると「それぞれの経営ヴィジョンの達成」が最大の目標。ブレない想いがあれば、管理とか労働生産性は達成のための手段であるからそれが目標になってはいけない。そんな話。


目標と目的と手段とビジョン

いろいろ書きましたけど、一番大事な目標とは何か。ということ。

念のため、手段と目標と目的の順番を確認します。

会社でも人生でもなんでも良いんですけど、

例えば自分の靴屋だったら靴屋事業の年商10億円目的で、その利益を使って世界中の人たちが自分自身を自由に表現できる世界をつくる。が目標(ビジョン)10億稼ぐためにインターネットでオーダーメイドの靴を届ける。が手段になる。具体的な手段はその時々でいろいろ変わるけど、時代に合わせて変わっていくものだと思うから、まぁ大体で良いんです。

自分の人生だったら、靴屋の売り上げを10億にすること手段で、時間やお金に縛られない自由な生き方をすること目的大好きな妻と死ぬまで一緒の時間を過ごすことが人生の目標(ビジョン)。って感じです。

なので、どんな手段をとるか、も大事なんですけど手段は変わり続けるものという前提があるから目標さえブレなければ人生なんとでもなる。そんな気がします。目的とミッションはまた違うから、別の機会に書く。


PDCA➡︎OODAのまとめ


最後に。
PDCA➡︎︎OODAにバージョンアップさせるってこういうこと。

PDCAサイクルをベースにすると
アクション(行動)が減って
チャンスを逃す可能性がある
⬇︎
OODAサイクルをベースにすると
意思決定にスピード感が出るので
チャンスを掴める可能性が高まる

あとはOODA関係の本を読んでください。

最後までお読みいただきありがとうございました!





この話は、製造業を中心とした後継者が対象の勉強会で教えてもらいました。

岡山県には経営者や個人事業主をサポートするいろんな支援機関がありまして、そのうちの一つに岡山県産業振興財団が主催する吉備継成会の事業でした。事業承継などの経営課題などあれば是非ご相談を!




おまけ

ビジョン・ミッション・バリュー(良品計画の例)

・ビジョン(Vision):良品計画で働く仲間の永続的な幸せを第一の目標とし、世界レベルの高収益企業となることを目指す。

・ミッション(Mission):
「わけ」を持った良品によって、お客様に理性的な満足感と、簡素の中にある美意識や豊かさを感じていただく

・バリュー(Values):
・誠実で正直であること
・仲間を大切にし信頼を深めること
・ひとりひとりが地球大の発想で考え、挑戦し、やり抜くこと



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