私たち_入籍しました

タクシーで受けた、「伝える」ことは「相手を想う」こと。

タクシー運転手をしていれば一日の仕事で幅広いタイプの人間に出会う。
高級住宅街へお送りする落ち着いたおじさんや
怪しい仕事をしているようにしか見えないあんちゃん。
テキパキと仕事をこなすエリートサラリーマンや
とにかくワンメーターにこだわる主婦。

たまに、それは現実か!?
と思うような面白い話も後ろで繰り広げられている。

メンドクサイと思うようなお客様もいるにはいるが、
それも含めて全ての出会いを楽しみ「この仕事は面白い!」と思えるかどうかが大切だと思う。

面白いと思うのは何も特殊な話を聞いたりすることだけではない。
何気ない会話のやりとりからも学びを多く得られる。

色んなお客様をお乗せする中で共通して感じることが
『伝える』ということが実はすごく難しいということ。

日々、家や会社、コンビニや飲食店、人が行き交う場所では様々な会話が行われているが
会話は人間が生活していく上で絶対に必要なモノ。
人の意思や考えていることを知ってもらう、
謂わば人の脳と脳を繋げるやり取り。

その脳で浮かび上がる映像が、伝える側、受け取る側の解釈で
一つでも違いがあれば会話は崩れてしまう。

以前、こんな体験があった。

サービスを提供する側であるのならそれもすべて考慮したうえで受け取れよ!
という意見も考慮したうえで、自分の立場を棚に上げて話す。

深夜の銀座でお乗せしたあるオジサンを
(それなりの役職っぽい会話をしていた)
お送りし、その方の自宅近くに来たところ。

一方通行があったりなかったりの東京らしい入り組んだ住宅地に入った。

そのお客様の指示で右へ左へ進み、
まもなく到着か?というところ。
こう伝えられた。

「あそこの、斜めの方向に行って・・・自販機があるところ」

「かしこまりました」

これを言われた私は、自販機がある方向へ進めの指示だと受け取った。
その通りに自販機がある方向の道を進む。
ところが、
自販機が過ぎたところで

「ここ、ここ!行き過ぎだよ!」

私は心の中で「?」となった。
どうやら、そのお客様は
「自販機の前で止めて」と伝えたつもりだったらしい。

しかし、実際に私が掛けられた言葉は

「あそこの、斜めの方向に行って・・・自販機があるところ」

私はそこで止まるのではなく、その方向へ進めと受け取った。
こういった、お客様の伝えた言葉と運転手の受け取る解釈の違いはたまにある。

すぐに対処すれば良い話でクレームになるほどのことでもないが、
この時にビックリしたのがそれに対してお客様が
「俺はここだと伝えたぞ」というように怒りだしたこと。。。

(# ゚Д゚)

進みすぎた数メートルはバックで戻り、謝った。
メーターも上がるほどでもない。
しかし、怒っていた(# ゚Д゚)

この時に私は思った。。。

人に伝えることの間違いはいくらでもある、
私も、停まる、進む等の何パターンか解釈を持ちお互いの認識を合わすべきだったと反省する。

しかし、
「俺は伝えた、なんで間違えるんだ!」
と怒るのはどうなのか。

もしこれが会社で、上層部から現場まで大事な共通事項だった場合、
「俺は伝えた!」「私は聞いてない!」の水掛け論になり
どうでもいいことに時間を費やすことになる。

私は、タクシー会社に勤務していて殆ど独りで仕事をするため
それらのやり取りが必要な状況もなく、
そういった会社に勤務した経験もないため、
何も言えた立場ではないが
もしかしたらこういうことが多くの会社では起こっているのか?

と思ったりもする。

タクシーを利用する方のなかには、目的地と、
目的地付近の有名な建物や道路、その住所、
相手と自分の認識を一致させるために数パターンの伝える手段を持ちながら乗ってくる方もいる。

簡単に理解出来ないドライバーがいた経験から、しょうがない。と
その方法を用いている可能性もあるが
もしかしたら、ドライバーごとに理解の範囲が違うことを理解した上で
お互いの認識を一致させるために
優しさでその準備をしてくれているのかもしれない。

と考えると、とても有難い。(考えすぎかな。)

たまにTwitter上で
伝わらないドライバーが多い!!
とただ不満を言い、相手に変化を求める人もいるが
自分が少し変わるだけでやり取りの難易度を下げる、
という手段を用いる人はたまに居てくれる。

商売だろ。サービスだろ。
ではなく、
人として意思疎通の難しさを理解している人なのかもしれない。

タクシーで勤務していても、
伝える側と受け取る側の解釈の間違いは起こるのだから

会社のように毎日、意思伝達が行われるような場所では
いくらでも起きる可能性があるんじゃないだろうか?

そんなことを考えさせられた。

人に伝えることを安易に考えることは
余計なトラブルやミスに繋がる。
それが恋人とでも、仲間とでも、家族とでも。

自分の言葉で相手は理解できているのか?
同じイメージを持っているのか?
自分だけ伝えた気になっていないか?

伝えることは相手を想うことなのかもしれない。

タクシー運転手の仕事は学びが多い。

今日も安全運転で行こう。


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