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IT業界のライフサイクルイノベーション

 この世にはいろんな商売があり、それぞれの商売の世界で色んな競争が繰り広げられてます。その戦い方の勘所という観点で業界を大きく二つに分けると。

売り手によって商品の品質に大きなばらつきがある業界、この業界で競争に勝つためには、まず大前提としていい商品を作って、それを買い手に「うちの商品はちゃんといい仕事するよ」と納得させることが重要です。

 買い手が商品に期待する要求レベルを満たすのが難しい業界では、この戦いが繰り広げられます

新興市場など、まだその分野の技術が未成熟な場合この状態になります。

どの売り手の商品も高品質で安定している業界、この業界で競争に勝つためには、安さを売りにするか、買い手に「おお、こんな良いこともあるの」「イメージいいいね」などの付加価値を評価してもらうか、どちらかのアプローチをすることが重要です。

 買い手が商品に必要とするレベルを簡単に満たせる業界では、この戦いが繰り広げられます

技術やノウハウが成熟した市場の場合、この状態になります。

 同じ業界でも、時間と共にこの2つを移り変わっていく傾向があります。

 新たな市場では、買い手の要求レベルを満たすことが難しく、それが差別化要素になります。しかし時と共にこなれてくると、大多数の買い手の要求レベルは簡単に満たせるようになります。その状態ではあんまり儲からなってくるから、新しい成長エンジンを求めて新たな製品、サービス、市場のいづれかを開拓します。そこで芽生えた市場ではまだ技術やノウハウが未成熟なので再度買い手の要求レベルを満たすことが重要になるのです。

IT業界の移り変わり

 筆者が働いていたIT業界をみてみると、やはりこの移り変わりがあります。

元号が平成になったころは売り手によって商品の品質に大きなばらつきがある業界でした。コンピューターの性能自体の差、それを扱うシステムエンジニアの技術力の差が大きな差別化ポイントで、そこを見極めないと、大きな無駄な投資となってしまう恐れがありました。

 慎重に選ばないと食中毒で死んでしまう可能性があるような状態です。
この時代はシステムエンジニアのスキルが高い価値を持っていました。

平成が進むにつれテクノロジーの進化、技術の蓄積の相乗効果で、多くの買い手にとってはどこの業者に頼んでもそんなに大きな差が出ない状態になってきました。この状態で、ある売り手は安さ、提供し易さを売りにする戦略をとり、ある売り手はビジネスコンサルタントなどを加えてITへの付加価値を売りにする戦略を取るようになりました。

魚自体は品質悪いといっても絶対に健康害するようなのは出てこない状態です。
この時代は付加価値を提供するビジネスコンサルタントが高い価値を持つようになりました。

令和の今、再度IT業界は再度変化しようとしています。新たな成長エンジンとして注力しているAI、ブロックチェーンなどは、まだ技術的に未成熟な部分があり、市場も確立していないので、再度売り手によって商品の品質に大きなばらつきがある業界になりつつあります。

魚だけじゃ儲からないからユッケでもやってみるかって状態です。
これからの時代は新たなテクノロジーのスキルを持った人材が高い価値を持つでしょう

 時代と共にサイクルが繰り返されるのは必然と言えます。それぞれの時代に応じて、柔軟に対応モードを切り替えることが重要です。

IT業界に求められる変革

 今回の変化を引き起こしているテクノロジーは、IT業界がここまで取り入れてきた新テクノロジーと比較しても、かなり異質の部分があります。これを使って新たな市場を成長させるためには、IT業界自体に大きな変革が求められるでしょう。慣れ親しんだ従来型のビジネスモデル変え、新たなモデルを作っていく必要があるのです。

 IT業界は「新たなテクノロジーで変革を!」的な宣伝をしていますが、実はIT業界自体が新たなテクノロジーによって大きな変革を迫られているのです。

注意

 高いスキルを持ったシステムエンジニアはいつの時代も継続して高い価値を持っていることは、元システムエンジニアとして強調させていただきます。

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