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質問021:フットワークを良くするいい方法は?

テニス部の顧問をしています。
テニスのフットワークはストライドを広げるよりもピッチを速くすることの方が大事なので、そのように指導しいるのですが、なかなか成果が出ません。
フットワークを良くするいい方法はありませんか?

回答
一般的な、ラダーやミニハードルなどを使ったSAQトレーニングでよいと思います。
ただしやり方を間違えると、効果的ではありません。

さらっておくとSAQとは、下記のイニシャル。
S……スピード(速さ)
A……アジリティ(機敏)
Q……クイックネス(反応)

たとえば地面に敷いた縄ばしごの枠から枠へ、左右の足を素早く交互に運びます。
あるいは「内、外、内、外」「進んで進んで戻って、進んで進んで戻って」など、さまざまなフットワークのバリエーションもトレーニングできます。

とはいえ「やり方を間違えると効果的ではない」と申しました。
すなわち足を素早く動かそうと「意識」すると、逆効果になりかねません。

いつも申し上げているとおり、動きを「意識」すると、動きが鈍くなるのです。

今すぐ確かめられる体験として、息を「吸って吐いて、吸って吐いて」の動きを「意識」すると、「無意識」でできていた時に比べて、少なからず「息苦しさ」を覚えるでしょう。

呼吸ですら、意識すると、スムーズでなくなるのです。
それがフットワークや、ましてテニスのスイング、フォームとかになると、ギクシャクするに決まっています。

ではどうすれば、効果を上げるトレーニングができるでしょうか?
それは、「鮮明に見えていること」です。
言い換えれば、これが「集中」です。

ラダーでは足を運ぶにつれ、その時々の視界が、次々と移りゆきます。
その視界に収まる風景が、ラダーの縄目や地面の芝目などまで「鮮明に見えていること」が大事。

見えていると、スピードを上げられます。

なぜか?
逆に「見えていない」と、どうでしょう?
少し極端な例ですが、暗闇をスタスタスタと歩けるでしょうか?

当然難しいはずです。
「見えていない」と、動作が鈍るのです。

針穴に糸を通すとき、見えていないと、遅くなるでしょう。
針穴がはっきり見えていると、スムーズ。
ルーペなんかを使ってより鮮明に見えれば、スパッと一発です。

とはいえストライドとピッチとを、厳密に区別する必要もないかもしれません。

テニスでは、ボールに集中し続ければそれに応じた最適な歩幅というものが、自然と表われるはずだからです。

遠いボールを追いかけ始める初動の局面ではストライドフットワーク、ボールに近づき打点に入る直前ではピッチ走法、といった具合にです。

はたまた届くか届かないかの遠いボールに対する最後の1歩は、開脚フットワークの「超ストライド走法」という対応になる場合もあるでしょう。
 
ボールに集中せず、闇雲に速く(あるいは早く)走ろうとすると、チグハグなフットワークになってボールに近づきすぎる、詰まった打ち方になったりしかねません。

縄目や芝目が見えていると、なぜ速くなるのかをもっと厳密に申せば、それが「思考のない集中状態」だからです。
目で見た情報に反応する体の神経伝達スピードが最速。

逆に見えていないのは、「思考のある非集中状態」です。
ラダーだと「もっと素早く動かなきゃ…」、暗闇だと「つまづかないように…」、針穴だと「通りそうにない…」などと「考える」せいで、神経伝達スピードにブレーキがかかってしまうのです。

「思考のない集中状態」でトレーニングする経験が何より大事。
そうすれば生徒たちの運動能力は、どんどん、みるみる、開花してきます。

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(テニスゼロ)
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