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なかなか世界は変えられない

2024年、「せっかくここまでサイン設計とやらを考察をしてきたのだから次は、プロがどういうサイン設計を良いとするのかを見てやろう」ということにした私。今回の記事では『大丸有地区サインデザイン』にフォーカスする。大手町・丸の内・有楽町で大丸有らしい。日本の一軍。

そんな束になってくれるな!

実は私が、大丸有地区に実際に足を運ぶ以前から目をつけていたのが『大丸有地区 サインデザインマニュアル』というもの。

https://www.tokyo-omy-council.jp/pdf/sign_design.pdf

全部で90ページにも及ぶそれは、もちろん一晩では読みきれない代物で。対象となるサインや書体、色彩などはもちろん、コンセプトや表記・禁止事項に関する細かいルール、取り付け位置までがまとめれられている。こんな完璧な書物が聖書や六法書以外にも存在しているのか!というのが、このマニュアルに対する私の第一印象だったけど。

(六法書は読んだことないけど)

ここまで綺麗に整っているのなら、なにかしらのなにかをアレしていてもおかしくないとわたしは思うのだがなぜだろう。血と涙と汗の結晶でしかない、サイン設計におけるバイブルと言っても良いこの書物には、あまりスポットライトが当たっていないみたい。大丸有地区という煌びやかな世界(サラサラの髪を靡かせる美しいオフィスレディ)を前にするとどんな価値あるものも霞んでしまうのか。そんな共感的無念に陥りながらもやっぱり釈然としない私は、今回もひとまず現地調査に行ってみることにした。

そこで、どうやら私はこの世の摂理なるものを目の当たりにしてしまったみたいだ

実際にそこへ足を運んでみても、ちゃんとマニュアルに沿った綺麗なサインがそこには設置されていた。大丸有地区の景観に合うようなデザイン性はしっかり担保されているし、ただ置かれているだけでなくユーザーとサインが正対できる方向を広げられるよう工夫された円柱型のサインなんてのもあった。なのに…私だけだろうか、不思議とサインが自分の目に入ってこない気がしてしまった。

どうしてだろう

景観地区であるこの場所はある物すべてがキチンとキレイに品よく並んでいて、めざとい広告なんてないのにも関わらず、不思議とサインに気がつけないと思った時私ははっとした。

大丸有地区はその辺の街とは異なりあるビル全てがド級に高い。一般的にランドマークといえば周りの建物より高い建物をさすが、大丸有のランドマーク『東京駅』は低い、だからこそ大丸有地区で目立てる。それくらいに大丸有のビルは全てがド級に高い(2回目)。都会のビルを見上げれば田舎者だとバレるからやめておけなんて言われても、ここでは上を見上げずにはいられない。そんな大層なスケール感に置かれると、途端にサインは目に入りにくいものになってしまうみたいだ。視野には入るけどそれにフォーカスされない。意外にも、細々とした広告が幾千とつらなる渋谷であれば、このサインも全然目につきそう。大丸有のスケール感においてしまうとやはり若干サイズ感が小さい。あんなに綺麗にまとまっていても、こんな世界線に置かれると途端に困難が極まるらしい。果たして、どうサインに注目させればいいのか…

途端に背中が侘しい様子

そんな時に思い出されるのが前回【第31Q】で書いたとしまエコミューゼタウンのサイン設計。あの記事を見てくれた人ならば「サインを大きくすれば良いじゃん」とか「サインをいっぱいにしちゃえば良いじゃん」とか思ってくれることだろう。ただしかし、この麗しき景観地区でサイン如きが独りよがりに目立とうとすることが果たして許されるのだろうか。ここはシビアな権力社会。中々上手く生きられない。

となると「もう知っているよ」と思うかもしれないが、サイン設計の際にデザインするべきところはやはりサインだけではなく、もっともっと外の世界線から勝負しなくてはいけないみたい。いくら配慮のあるサイン設計をしても、そのサインを一方的に街に落とし込むのはなかなか難しいと身に沁みて実感してしまった私。サイン設計にまず必要なのはUXとかデザインのスキルではなく無念にも『権力』や『Power』と呼ばれるものだった。

かくなる上は、私が内閣総理大臣になるしかないのか(管轄は国土交通大臣なのか?知らんけど)となると、まずは市議会議員に出馬し、人脈を作り…供託金を稼ぎ…….うん、なんか途方もなくなってきたのでちょっと甘いものでも食べようか…





追録 おやつは世界を救う。

It's a Sweet World. 甘いものがなきゃやってられない。今回のお供は『マリトッツォ』。次回の記事これについて書こうかな。だってマリトッツォには権力もくそもないはずだしね。(もちろん会社の金で美味しいものを食うためでもある)

しゃくれている

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