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あの娘

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あの娘に恋する闇日記
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決断

決断

決断しよう。

家族を捨て、あの娘のもとへ...

そう考えた時期もあった。遊びのつもりがのめり込んでしまい、全てを投げ出しそうになった。後悔をするとわかっていても、あの娘が欲しい衝動が抑えられなかった。絵に描いたように浮かれていて、青春時代のような恋をしていた。

今は少し違う。相変わらずあの娘の事が頭から離れなくて、あの娘に会いたい、抱きたくて仕方がないが、もし、あの娘と結ばれても幸せになれる

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恋の延命処置

恋の延命処置

ほんの少し、ほんの少しだけど覚悟ができている。ほんの少しの覚悟を覚悟と呼べるかは別として、あの娘にいつ別れを切り出されても、受け入れる覚悟をしている。泣きつくようなマネはしない。それがあの娘のためで、僕のためだから。

今、もし別れが来たら、僕はオロオロして仕事も手につかない事でしょう。ひとりでカラオケして思い出の曲を歌い涙する事でしょう。抜け殻となり、この世の全てが嫌になる事でしょう。

忘れる

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少年と僕

少年と僕

僕がマンションのエントランスのオートロックを解除すると、その隙をみて少年がマンションの中へ入っていった。インターホンで家族を呼び出す手間が省けたと得意げだ。

少年はエレベーターホールへと続くもう一つのオートロックの前で僕を待っていた。センサーに僕が鍵をかざしドアが開くと、少年はまたスルッと中へ入った。ちょうどエレベーターが来ていた。

“ガンッ!"

少年が、閉まりかけたエレベーターのドアに挟ま

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LINE

LINE

ここ数日、あの娘にLINEをしていない。僕からLINEが来ない事を、あの娘は露ほども気にしていないだろう。僕と違ってポジティブ思考の持ち主だ。僕の微妙な心境の変化なんて、読み取るわけがない。

週末は必ず僕からLINEしていた。僕が家族といる事を気づかって、あの娘からは絶対にLINEが来ない。それをまた僕が気づかって、僕は毎週末LINEしていた。返事は来るがいつも最小限だった。その反動か月曜は心の

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嘘

嘘をつき忘れた4月1日。

「本日からよろしくお願いします!」

あぁ、そうか。今日から新年度か。新入社員が2名。緊張で顔を強ばらせながら僕に挨拶する。僕は彼女達が肩の力を抜けるよう冗談を混えながら、社長として、社会人の先輩として、2人を歓迎し仕事の在り方を教示する。3人だけの入社式。希望に満ちた輝く瞳を曇らさないよう、会社の繁栄を胸に誓う。

立派な社長を演じた後は、オフィスを抜け出しあの娘のも

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朝

おはよう、僕。

昨夜はゆっくり眠れたかい?君はただでさえ寝付きが悪いのだから、あの娘の事をアレコレ考えるのはもうやめなよ。君の悪い妄想が必ずしも現実になるとは限らないのだから。

ほら、顔を洗って歯を磨いて。カラッとした清々しい朝だよ。もうすぐトーストも焼ける。きっとあの娘も気持ちのいい朝を迎えているよ。

えっ?誰と迎えているかって!?どうしてそんな風に考えるのさ。あの娘は言ってたじゃないか。

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note

note

あの娘を独り占めしたい。

だけど既婚者の僕にはその権利がない。恋は盲目とは良く言ったもので、寝ても覚めてもあの娘の事ばかり。優しい妻と可愛い息子、幸せな家庭があるというのに...。

未来の僕がどんな決断をして、どんな道を歩むのか、今の僕には見当がつかない。何度も同じ過ちをおかしてしまう。きっと誰かを傷つけてしまう。

支離滅裂な心の隙間を埋めるため、僕はnoteを書いています。

ありがたい事

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こんな日も

ふんぎりってどうやってつけるんですかね?忘れた方がいい、終わりにした方がいい、ってのはわかってるんです。一時辛くても時間が解決してくれるってのも、わかってはいるんです。

冷静に考えれば実らない恋なんです。時間の無駄かもしれません。いろんな人を傷つけるかもしれません。

僕の事は僕が一番よくわかっていて、何度も同じ過ちを繰り返しているから、学ばなければならないんです。ちっとも成長していない自分に嫌

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昔話

昔話

「ねぇねえ、お爺さん、お話して!」

そうじゃのぉ、じゃあ不倫オジサンの話をしてやろう。

むかーしむかしある所に不倫オジサンがおった。不倫オジサンは優しい妻と可愛い息子と家族三人、仲睦まじく暮らしておった。

ある日の事、不倫オジサンは街で若い娘と出会った。若い娘はたいそう美しく、みずみずしい果実のようじゃった。オジサンは大きな口でペロリと若い娘を食べてしまった。ほんのつまみ食いのつもりじゃった

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せめてもっと

宇宙の中に銀河があって、銀河の中に地球があって。

恐竜が絶滅して、猿人がマンモスを狩って。
川のほとりに文明が栄えて、偉大なる王が誕生して。

あの娘が王国のお姫様なら、僕は王子か勇敢な騎士。
あの娘が江戸の町娘なら、僕は侍か商人か。

朝起きて顔を洗って、歯を磨いて家を出て。
いつもの電車に乗って、あの娘と出会って。

忘れ物をして家に帰って、いつもより遅い電車に乗っても、あの娘と出会って。

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性欲

「73歳の男性が、猥褻行為で逮捕されました」

チクショウ!

僕はそのニュースをみて落胆した。
じいさんになれば、おなごの柔肌への興味は失せ、静かに穏やかに暮らしていけると思っていた。

同く老いた息子を労りながら、季節の移り変わりや、茶葉の渋さを味わいながら、過ごしていけると思っていた。

陽だまりの公園で、流れる雲を眺めながら、そんな事を思っていた。雲はいつしかあの娘のお尻へと形を変えた。

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あの娘

僕には幸せな家庭がある。
綺麗で優しい妻と、ヤンチャで可愛い息子。
リノベーションした高層階のマンション。
買ったばかりのクールな4WD。

妻は献身的に僕をサポートしてくれるし
息子はパパに甘えたい年頃。
僕にはもったいないくらいの
ありきたりな幸せ。

40代になって、ようやく手に入れた
穏やかで幸せな生活に満足していた。
平凡な日常を満喫していた。

あの娘と出会うまでは...。

彼女は大

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