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『天才IT大臣オードリー・タンが初めて明かす 問題解決の4ステップと15キーワード』(オードリー・タン、黄亜琪 著)

【内容】
台湾IT担当大臣オードリー・タンの思考法を解説した本。


【感想】
コロナ禍で、国から送られて来た誰も使わない布マスクを手にしながら、オードリー・タンの活躍をニュースで観ながら、日本にもこんな大臣がいたら良いのになあと思いながら、ずっと気になっていたので読んでみることに…


オードリー・タンは、男性から女性へ性別移行(性転換のことを今はこういうらしいです)をしたIQ180の天才プログラマー。
なんだか、近未来を舞台にしたSF小説、中学生男子が考えそうなキャラクター設定ながら、実在の人物。
学校不登校、15歳で起業して、性移行、史上最年少でデジタル担当大臣に就任…
中学2年生の頃、1人で山に3週間篭って、自分との対話をしたとか、著作権フリーで著作を公開しているとかのことでした。

その生き方やパーソナリティは、 12歳になる心臓手術を行うまで、生存率は50%と言われ、感情が高ぶると倒れ集中治療室で目覚める、そんな中で醸成されたとのことでした。
生まれつきの心臓病の対処法として、生き延びるために、呼吸法や想像力、死との向き合い方を学び、思想を重ねてきたそうです。

特徴的なのはその語り方で、ビジネス、経営、政治、ボランティア、文明、思想、プログラムなど、並列的に語っていく。
死生観も独特で、生をログイン、死をログアウトと『人生を手放す』という言葉を何度もしていたのが印象的でした。


自分の著作や発言に関する著作権を放棄しているとのこと…
良い悪いは全くの別問題として、メディアではかっこいいことを言っていて、実際に政治家になると自分の著作を公費で何百冊も買うような人物が散見される某国の政治家とは、随分と考え方が違うものだなあと感じたり…
選挙民のために、凄え俺がチンケな金で働いてやってんだから、ケチな買い物くらい公費使ってもお釣りが来るよ…みたいな感じなのかなあと…
出来れば、彼の行動が日本人の国民性を反映したものでないと良いなあと思います。

びっくりしつつも、この人のニュースを見る度に、日本でこうした人が政界で活躍する姿はなかなか想像出来ないなあと残念な気持ちにもなっていました。
もし仮に、日本でオードリー・タンみたいな人が目立つ政府の要職に就いたら、snsやYouTubeとかで大炎上しまくる図が思い浮かびます。
「ブロードバンド接続は、基本的人権である」というオードリーの考えを元に、国の政策にも当たっているのだそうです。そんなこと言う政治家、日本ではたとえ政治家になったとしても、在籍し続けられないんだろうなあ…

スキャン式読書法、プログラムを解析するように、本を読む…
タブレットで見開きで2秒で読書し、400ページの本なら、10分以下で1冊読んでしまうそうです。
ほとんどの人たちは、判断を急ぎ、脳内補完して、本をまとまって読んでから内容を判断していないのだと…
人の話にひたすら耳を傾ける、傾聴することが大切さを、プログラムのコードを読む時に始めの数行でその内容を判断しないのと同じようなものなんだそうです。
HTMLやCSSやスクリプトなどのちょっしたプログラム的なものを扱ったくらいの自分でも、この例えはよくわかる例えだと感じました。

独自の先進的な考え方をそのまま国の政策にも反映させているという日本ではなかなか見掛けないタイプの政治家ですね。
台湾企業の勃興と、日本の企業が衰退の理由は、こんなこと一つ取ってもよくわかる事例かもなあと感じました。

と、ここまで書いて来たのですが、どっかでこんな出来すぎた人間いるのかなあ…なんならペテン師なのかも知れないということを考えたりもする汚れた大人だったりもします。
自分が中2男子の頃にこんな設定の話書いたら、どんでん返しで中国やロシアのスパイの工作員とか、世界征服を狙う狡猾な策略家とかにするかも…
冗談はさておき、仮に彼のような人間が日本に出て来たら変に崇め奉ってしまい、危ない方向に向かったりとかしてしまうんではないかとも思いました。
日本における宗教者や経営者などの顔がチラついて、こうした人物を受け入れ要職につけ、尚且つ変に崇め奉らないことが出来ることが、今の日本で可能なのか?

プライベートジェット機に隠れて乗り込み国外逃亡したあの経営者や…
領収書のない現金の束を受け取っていたあの文化人の顔がチラつきました。
仮に要職についた時には志高い人間でも、なかなかそのままの志し、人間性でいることは難しいんだろうなあ…

https://bunkyosha.com/books/9784866514543

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