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参加者の方からメッセージをいただきました

遊戯療法と保護者カウンセリングに来ていただいているAくん親子のお母様からメッセージをいただきました。

本日はそちらを掲載させていただきます。

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【心と向き合う】

勤務中、携帯電話が鳴っている…呼び鈴は鳴りやまない。
仕方なく電話を手に取ると、決まってかけてきているのは「学校」からでした。
「またか…」とため息をついて、電話に出る。

必ず学校の先生は、「ご家庭で指導してくださいね」と言って電話を切りますが、いつもその言葉に疑問を感じていました。
我が子は家族に攻撃することは無かったので、どう指導すればいいのか悩み続けた日々でした。

遊戯療法~プレイセラピー~と出会ったきっかけは、児童館の面談でした。
息子が集団行動についていくことができず、授業中の立ち歩き、お友達とのトラブル…
正直なところ、私もどうしたらいいかわからず、叱ることのストレスにおかしくなってしまいそうな時でした。
行くことは決めたものの、遊戯療法に関することは全く無知で、インターネットで調べてもよくわからず、少し怪しげにも感じていました(笑)

しかし、児童館のスタッフはしっかりと息子のことを見てくれている方ばかりでしたので「この人たちがいいと言っているなら試しに」と思っていました。
最初は息子も警戒して行きたがらなかったのですが、同じ学校に通う同級生と偶然会場で出会ってしまい、お互いに「お前も?」と話をしたりしているうちに「自分は特別な治療をしなくてはならない人ではなかった」と安心したと言っていました。

「試しに」で始めた遊戯療法。
当初からスタッフの方には「長い目で見たほうがいい」とは言われていましたが、本当にそうでした。
最初の1年は、特段何の変化も感じませんでしたが、「即効性」「特効薬」という要素はないことがわかっていたので、このまま続けてみよう。
いいも悪いも、答えが出るのは今じゃないと思って通いました。

学校では相変わらず問題を起こしたりするので、改善策はないかと考えていただく「話し合い、情報共有会」をしてほしかったのですが、正直学校は協力的ではありませんでした。
担任の先生にお話をする機会などをお願いしても何も行動をしてくれなかったので詰め寄って聞いたことがありましたが「こちらとしては話はした。しかし上(校長等)が許可しない」と言われた際には、学校に対して絶望しました。
次第に「私が息子の心と本気で向き合わずして、誰が向き合うのか」という思いが出てきたのは、息子が中学1年生の時でした。

一番変化を感じたのは、中学3年生の受験目前の2月。
年末ごろから志望校の部活動の練習に参加させていただく機会があり、何度か遊戯療法をお休みしました。
すると、受験への不安、勉強の遅れへの不安…自己肯定感の低かった息子は、たくさんの「不安」に押しつぶされそうになっていました。
でも、受験会場へ行くのも、その後の人生を決めるのもすべて自分(息子)なのだからと思い、距離を取りながら見守っていました。

ほどなくして遊戯療法の日が入っておりました。
息子は中学に入っても「カウンセリングより遊戯療法にしてほしい」と言っていましたので、担当の先生からはいつも通り「半遊戯療法半カウンセリング」的な時間を過ごしていたと聞きました。
するとどうでしょう…(遅すぎるくらいの)覚悟も決まったというタイミングで、悟りを開いたかのような落ち着きになったのです。
やっぱり続けることに意味があると感じたのはこの時でした。
その後は自分から参考書を開き、自分から質問し、たくさんの「不安」を抱いていた息子は自らを追い込み受験に挑みました。

3月14日、合格発表…そこに息子の受験番号はありました。
もう「不安」ではなく「自信」に満ち溢れた息子の背中を見て、胸がいっぱいになりました。

私は息子が中学を卒業するときに聞いてみたいことがありました。
「お母さんは変わった?」…と
息子は即答でこう答えてくれました

「(お母さんは)変わったよ。すごく周りを見て俺に話をしてくれるようになった」

心と向き会うとは、信頼関係が成り立ち長期にわたって寄り添うことが大前提ですが、「寄り添う」ということは決して否定しないということではないと私は思いました。
遊戯療法を通して、息子の心と向き合う大切さを知り本当に感謝しています。
また、「心の専門家」は実は近くにいて、SOSを出している子どもやその両親に一生懸命向き合い、手を差し伸べてくれるということも知ることができました。
遊戯療法・カウンセリングは3月で卒業となりましたが、私も息子も「いつもそばにスタッフの方がいるんだ、大丈夫!」と思っています。

皆平等に「明日」「未来」があるのです。
明けない夜はないのです。
もし、「不安」に押しつぶされそうな親子を見つけたらきっとこう言うと思います。

「仙台テラピ・ド・ジュ研究会に行ってお話してみない?あなたの心と向き合ってくれるスタッフが待ってるよ」

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Aくん親子は、震災後子どもたちの異変に気づき、いち早くSOSを出してくださった児童館からのご紹介で、私たちは5年半関わりを持たせていただきました。

初めは担当セラピストより小柄だったAくんも、今や頭ひとつ分大きくなりました。

ボランティアを卒業する日、Aくんが担当者それぞれに花束の贈り物を持ってきてくれました。
中には直筆の手紙も入っていました。
なかなか自分の思いや感情を言葉にすることが難しかったAくん。
しかし、しっかりと自分の言葉で綴ってくれた手紙に、思わず涙が溢れました。

花束の贈り物

5年半という長い期間、私たちの元に来てくださったAくん親子に、心から感謝を申し上げます。

今後も、必要な方に遊戯療法やカウンセリングの機会を提供できるよう、活動を継続できるよう頑張って参ります。
改めて、皆様のご支援を賜われますと幸いです。

(体験談ならびにプレゼントのお写真は、Aくんのお母様に掲載許可をいただいております。
ご快諾いただき、本当にありがとうございました!)

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