ティラノ

人間をエミュレートする爬虫類

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雑記

 ぼくは経済学部に在籍しているのだが、もし人文学部に進んでいたら死んでいたかもしれない。  経済学(特にミクロ、ゲーム理論)の冷徹な計算と論理は、ぼくに人格の多次元というものを与えた。これほど大衆に嫌われながら国家の中枢に寄生し生き延びている学問もあるまい。経済学は医学の影だと思う。後者は歓喜の声の元に人生を管理し、前者は罵倒の元に行う。身体と精神の間に経済学は立っている。それは世界とほとんど一致しているかに見える社会の中で身体を動物的に生き延びさせるための精神の学なのだ。

    • 【ネタバレ】ミッドサマー 共感・理性・他者

       更新、大分間が空いてしまいました。記事の購入やサポートをして下さった皆様、ありがとうございます。生きています。  というわけで、ミッドサマーのネタバレ感想です。観ていない人でこれから観に行く予定のある人でネタバレが嫌いな人は(厚い多重予防線)、すぐにブラウザをバックするんだ。おにいさんとのやくそくだぞ。 ミッドサマーを観た(ホラーがダメなのに……) まず、普通にホラー動画全般が苦手で(文章や漫画は平気)、目を一度もつぶらずに観れる映画といったら『ミスト』ぐらいが限界。『

      • 大人(の国)と子供(の国)について

         大人とは、規範的言明(~べき/べきでない、~せよ)に対するコミットメントを引き受けられる存在者である。ところで規範的言明の正当性を検証するために規範的言明の連鎖を遡行すると、かならず善悪の概念が要請される事が分かる(善悪の裁定者が超越的審級であるべきかどうかについてはこの記事では言及しない)。  それに比べて子供というのは善悪の概念が曖昧である(幼子が蟻を虐殺する光景などを考えればよい。)が、その代わり身体の反応に対しては極めて敏感で融和的である。子供とは、快楽的言明

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        • 芸術家にとっての衆愚制

           神とパトロン。これらを失って以降の芸術には、完全性と健全性が欠けている。主義というより呪いというべきロマンティシズムの音楽は、ベートーベン以前の物質的自立性を超えて弾き手・聴き手の精神を浸食するし(バロック音楽を愛するパスカル・キニャールのことを思い出さずにはいられない)、絵画についてはその色彩、コントラスト、筆致をみれば図像学を追わなくとも明らかであろう(フォーヴィズムという魅惑的で恐ろしい言葉!)。モダニズム建築は健全性を欠いているし、彫刻については完全ですらない(例え

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          投げ銭がありがたいのでオススメ記事をまとめる

           前回の記事を書いてから、何人かの方に記事を購入していただけたり、サポートをしていただけたりした。本当にありがたいです。  この記事は比較的短く、書かずには寝られない!と勢いで書いたので短く、人によっては読みごたえがなかった可能性もあり、今までに書いた自分の中で強い文章を挙げていきます。お時間あれば読んでください。  ぼくにとって『宇宙よりも遠い場所』の何が素晴らしかったのかを6000文字くらいで語る記事です。青春ファシズムについては最近思うところがあり、これは生物学的に

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          自殺企図の変異と(ぼくが)生き続けること

           ぼくは一度も本気で自殺しようと思ったことがない。ぼくの自傷といったらかわいいもので、軽く爪を噛むとか、かさぶたになるくらい頭皮を掻くとか(これらも他人から指摘されて初めて自傷だと気付いたくらいで自傷意図はなかった)。そんなぼくが自殺について何を説得的に語ることができるだろうか。まあ端的に言うとできないわけだけど、凡人にだって自殺について考える機会はあるわけだし、ここに最近自殺について考えたことをちょろっと書いてみたい。人生が苦しくて本気で自殺を考えている人は、ここに救いにな

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          吉田寮訪問記

           NF祭、つまり京都大学の学園祭に行った。  学祭の目当てとしては何より緊縛同好会の展示を見ることと、ジャズ研の演奏を聴くことだったが、この期に解除しておきたい実績があったので、そこに向かった。  吉田寮。  ぼくはつい最近まで架空の大学を舞台にした青春小説を書いていたのだが、とある施設のモデルの一つとして、まだ見ぬ吉田寮があった。自由という制服を着た学生というふしだらな身分の避暑地。抵抗の現前。折坂悠太『夜学』のMVが撮影された場所(これは文脈的には余計か

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          これからの性の話をしよう ー『荒ぶる季節の乙女どもよ。』

            2019年文部科学省推薦アニメに(俺の中で)内定しているアニメ、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』があと残り1話を残すのみになった。  高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。  「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、  部員の一人が投じたある一言……。  その瞬間から、彼女たちは"性"に振り回され始める。  (公式サイトより引用)  少なくとも10話までは、個人的には21世紀の青春アニメのなかでは前回の『よりもい』に匹敵するとさえ言っていい脚本の良さで、部

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          青春ファシズムと『よりもい』

           次に書こうと思っている記事の為に先に説明しておかなければならない(記事内で説明するほど大事な部分ではないという意)概念が発生したのですが、その概念に絡めて話ができるアニメがある事に気がついたので報告します。すなわち、よりもい──『宇宙よりも遠い場所』のことです。 ……書くのが遅いんだよな、1年遅い。 宇宙よりも遠い場所はすごいそこは、宇宙よりも遠い場所──。何かを始めたいと思いながら、 中々一歩を踏み出すことのできないまま高校2年生になってしまった少女・玉木マリ(た

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          映画『天気の子』覚書

          ※この記事は全てネタバレです。まだ観てない人間は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろう!(しかしまあライ麦畑で捕まえてはベタすぎじゃないですか?地方から考えなしに逃げてきた男の子らしいといえばらしいけど) 『天気の子』を観た 月の始めはファーストデイでだいたいどこでも映画が安い。つまり映画を観るということで、『天気の子』を観に行きました。そんなに真面目な新海ファンではないです。今のところ一番好きなのは『言の葉の庭』です。大まかな感想は別のところでまとめて書いたのですがみなさん

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          映画『海獣の子供』覚書

           ※この記事は全てネタバレです。見たくない人はすぐにこのページを閉じろ。今すぐにだ。 海獣の子供を観た  米津玄師の『海の幽霊』のMVをYoutubeで聴いていて、James Blakeっぽいな~~~(バカみたいな顔)と思っていたのですがMVの出来が正気じゃないレベルで高いなと感じ調べたら映画主題歌とのことで、重い腰を上げ(体力が無いので実際に腰が重いと感じている)『海獣の子供』を観に行ったわけです。  粗雑な感想ですが、後半以降あまりに古典的なマクロコスモス(宇宙)-ミ

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          一歩目までの助走(と、脱-完璧主義について)

           最近めちゃくちゃアウトプットをサボっていて久しぶりに楽器を触ったり真っ白なWordに向かうと手が小刻みに震えだすわけだが、これはアル中やパーキンソン病といった類のものではなくただの怯えである。この怯えというのが曲者で、アウトプットに手をつけない期間が長くなればなるほどひどくなっていき、ひどくなった怯えによってアウトプットをやらなくなる。この円環からどうやって抜けだしたらいいだろうか、などと口を半開きにしたまま(危機感ゼロ、本物の馬鹿の表情)ぼんやり考えていたのだが、あること

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          恋歌七首

          初めて嫌いな季節を忘れた、と。それは初恋というやつです 終止線迎えてなおも響く恋 お帰りの際足元にお気をつけ下さい 抱きしめて そうせがまれてそのままに 罪を出力とする関数 艶やかなきみのすべてを糖にする 灼け沸く唾は その為にこそ はじめての柔く波打つ肌だった 海と空とを代わる代わるに 万障お繰り合わせの上に降る雨だけがぼくらをWeと呼ばせる 今やどの見慣れた街の佇みも「きみといない」が接頭辞になる

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          12/23 冬の雨、つらい

           外出するタイミングでちょうど小雨が降って嫌な顔になるわな。  自転車に乗るから傘はさせない、しかもとても小降りでぎりぎり耐えられそうな空模様。だが確実に濡れる。  濡れるということだけなら雪も変わらないのだが、雪はなぜか傘なしでもガンガン当たっていってOKみたいな風潮何なんだろうな(そもそもあるのか)。流石に大雪なら傘もさすだろうけど、小雨に比べて憎まれ度は低い気がする。情緒の力ってすげ~~~ってことなのかな。  今年こっちではまだ雪が降ってない。暖冬なのは過ごしやす

          12/23 冬の雨、つらい

          12/22 ゲームが止められない

           鬱になると難しい事が考えらなくなるので単純な動作を繰り返し続けることになる。身近な物質で単純な動作を繰り返し続けやすい道具といえばスマートフォンで、中でもゲームはすごい。昔やってたけどデレステとか今インストールしたらまたハマると思う。大事なのは操作の単純さ、それだけだから。  ただ今の俺は人間の感情とかを音声で聞くのさえだるい。それでずっとやっているのがTRIGLAVというゲーム。元は十数年前のブラウザゲームで、最近になって突如アプリ化したのだけど、なつかしくてついインス

          12/22 ゲームが止められない

          12/21 愛、完全に理解した

           どういうことかというと、『存在の耐えられない軽さ』を再読したという話ですね。  http://amzn.asia/d/4da1Vn4  「その他の外国文学作品」だとまだベストセラー1位なんだ、怖……  みなさんも本読んでたら数冊は読み返す本があると思うし、なんなら基本的に読み返す本しか買わない人が多いかもしれない。あとは今はAmazonの Kindle Unlimitedとかあるしな。もっと手軽に爆買い爆積読をやってるのかもしれない。俺は基本物理本です。  『存在の

          12/21 愛、完全に理解した