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三島由紀夫作品、何から読むか?

――三島由紀夫の小説は何から読んでいけばいいですか?

 そういう質問を頂く機会が多くなった。だが答えるには難しい質問である。読者本人との相性が読みやすさに大きく影響するからだ。いきなり『金閣寺』から入っていけるケースもあれば、三島のエッセイやエンタメ小説を何冊か読んで文章に慣れる必要があるケースもある。相性次第。わからない。

……と投げてしまうのは忍びない。そこで回答一覧を作ってみた。読者のタイプは5つに分かれる。タイプごとに読み始めるべき作品も変わってくる。

1:文豪だから読んでおきたい。読書経験はそんなに。
→ エッセイ『不道徳教育講座』、中編『夏子の冒険』『潮騒』

2:現代作家の小説はある程度読んでいるけど……。
→中編『夏子の冒険』『潮騒』『午後の曳航(えいこう)』
 ※戯曲『近代能楽集』等

3:泉鏡花や澁澤龍彦はよく読んでいます!
→長編『春の雪』、戯曲『近代能楽集』『サド侯爵夫人』

4:ひとまず三島由紀夫との相性を確かめたい。
→長編『金閣寺』『春の雪』、中編『仮面の告白』、短編『憂国』

5:一番面白いのを頼む。
→『豊饒の海』シリーズ(全4巻)、長編『金閣寺』
 ※『豊饒の海』=『春の雪』『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』

 話が長くなりそうなので、タイプ別の詳細は今度にしたい。

 個人的に、戯曲という形式に慣れていれば、『近代能楽集』から読んでいくのが望ましいのではないか、と思う。また『春の雪』は難しさと面白さの均衡点にあるような感じがする。

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