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#51 リバース『ラストワンマイル』

2024年4月某日

過ごしやすい季節になってきた。上着も必要なくなると、荷物も心も軽くなり、何かと出かけたくなる。そんな浮き足だった筆者とは裏腹に、通勤電車の中には、大型連休までの期間をなんとか息継ぎしながらやり過ごそうとする企業戦士の暗い表情に溢れている。今日もがんばりましょう。

さて、「旅行」のことを考えていたら、「移動」という概念が気になった。筆者のような地方在住者にとっては、移動は仕事・レジャーなど、自分に関わることはもちろん、地方創生の文脈においても観光政策や交通政策にも関わる重要なテーマである。地域活性化の領域では、移動の概念は「ラストワンマイル」「マイクロモビリティ」「シャエリングエコンミー」などのキーワードとセットで登場することが多い。具体的には、シェアサイクル、電動キックボード、ライドシェアなどの手段が検討されていて、様々な地域で実証実験も進んでいる。

筆者もこれらの手段を利用したことがあるし、便利である。ただし、「地方の移動事情」をテーマとした施策・サービスを検討する議論には少々偏りがあるようにも感じている。なぜなら、シェアサイクルにしろ、電動キックボードにしろ、なんならレンタカーにしろ、すべては「目的地の中間地点から、目的地に辿り着く」という、「進む移動(≒ヒトの移動)」を便利するものばかりだからである。一方、「目的地に行きたいが、レンタカー屋さんに行くまでの車がない」といった困りごとへのサービスは驚くほど少ない。このような、出発地まで「引っ張る移動(≒移動手段の移動)」を便利にするものがあってもよいのではないだろうか。

カーシェアなども便利であるが、地方の生活においては、シェアポートまでアクセスするのに車がいる。その距離を埋めるには、電動キックボードでは心許ない。そのような環境においては、レンタカーを自宅に届けてくれるサービスとか、シェアポートまでライドシェアできる相乗りサービスとか、そんな発想もあるだろう。

新しい概念をそのまま地域実装するのではなく、地域特有の事情から体験設計する議論も面白そうだ。知らんけど。
ほなら。



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