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肉好きだった私が肉食をやめるまで

私は、2014年から肉を食べない食生活を送っています。日々の食べ物は野菜などの植物性食品、卵、乳製品、魚介類です。

こうした食習慣を持つ人を「ペスカタリアン(英語:pescatarian)」と呼びます。日本では、「ベジタリアン」や「ヴィーガン」は最近認知が進んでいますが、まだ馴染みのない「ペスカタリアン」について、私の体験を踏まえてご紹介していきます。


ペスカタリアンとは?

分かりにくいそれぞれの食習慣の違いを大まかに整理すると、こんな感じです。ペスカタリアンは基本的には肉以外なんでも食べますが、私は乳製品の味があまり好きではないため、積極的には摂っていません。

代表的な食習慣

私が肉をべない理由

肉を食べなくなった2014年以降出会った私の友人や職場の同僚には驚かれますが、私はもともと肉が大好きでした。焼き肉・しゃぶしゃぶ・サムギョプサル・ステーキなど、肉料理を楽しんでいました。

一方で、学生の頃から「サステナビリティ」や「エシカル」など、持続可能なライフスタイルに興味があり、その延長線上でヴィーガン食にも興味を持っていました。2013年に大学卒業後、新卒社員として勤務していたアパレルショップの顧客様にヴィーガンの方がいらっしゃり、ヴィーガンレストランで一緒に食事をさせていただくこともありました。そのため、自分でもベジタリアンの食生活を実践してみたいという気持ちがあり、自宅では肉を食べない生活を送っていましたが(そもそも自炊はほとんどしていませんでしたが…)、外食時には肉料理を楽しんでいました。

2014年、海外で英語を使って仕事をしてみたいと思っていたため、勤めていたアパレル企業を退職し、一念発起して香港に移住しました。

写真や現地で実際に見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、香港の飲食店(茶餐廳)では、いろいろな種類のローストされた肉が吊るされていることが多く、また、道端の肉屋では、体の部位ごとに大きな塊として売られていることが一般的で、時には動物の頭ごとドーンと売られていることもあります。動物が横たわった台車を押す作業員が横断歩道をわたっている姿(おそらく屠場へ向かう途中)も何度か見かけたことがあります。

香港でよく見かける、道端の肉屋
香港で一般的な飲食店(茶餐廳)の様子。
その日のうちにローストした肉が常温で吊り下げられています。肉の良さやおいしさを客にアピールすることはもちろん、余計な油分を下に落としたり、肉が固くなる原因である再加熱の必要もないので、柔らかいまま客に提供できます。

恥ずかしながら、私は社会人になるまで実家暮らしであまり料理をしたことがなかく、社会人になってからも外食やテイクアウト中心の食生活だったので、肉に直接自分が見たり触れたりするのは、レストランで食べる肉料理と、スーパーで見るスライスされたパッケージに入った肉ぐらいでした。そのため、香港のこうした光景を目の当たりにし、衝撃を受けました。

私が普段楽しんでいた肉料理も、日本のスーパーで目にする綺麗に並べられた肉も、もともとは動物の体の一部だったという当たり前のことに、香港で気づかされました。日本では日々の生活で肉から動物を想像することがあまりないように感じますが、香港では動物を解体して食肉に加工したものだと感じる光景が身近に溢れているのです。

私の場合、この経験から命をいただくありがたみを実感するという方向には行かず、大きくショックを受けてしまったため、肉食への抵抗感が強くなり、自然と肉を食べなくなりました。

私が肉を食べなくなった、そして現在も食べない理由は、環境保護や動物愛護の哲学があるから、というよりも、動物を解体して食べることへの不快感からなのだと思います。

私が実践するペスカタリアン

とは言っても、私は厳格なペスカタリアンの食生活を送っているわけではありません。基本的には目に見える形で肉が入っていなければ、料理の調味料に含まれる鶏ガラなど、肉の出汁が混入しているかどうかまでは気にしません。自宅ではもちろんこうした材料を使った料理は一切しませんが、外食の際は細かく確認できない場合がほとんどで、このレベルで気にしていると気軽に外食できなくなってしまうからです。このスタイルだと、会食や友人との食事などは基本的にはどこでも問題なく楽しむことができます。

食事の選択と多様性への尊重

近年、気候変動への課題などが深刻化する中で、環境への負荷がより高いとされる肉食を避けてベジタリアンやヴィーガンなどの菜食を奨励する機運が高まっているように感じます。私はペスカタリアンで、私を通じて一人でも多くの人にペスカタリアンという食事スタイルがあることを知っていただいたり、ライフスタイルの選択肢の一つとして検討いただくきっかけになれば嬉しいです。しかし、肉食を批判したり、周りにペスカタリアンになることをおすすめすることはしません。

そもそも、食事は人間の活動に必要な栄養素を摂る大事な習慣なので、自分の考えを他人に押し付けるのではなく、個々人の体質に合った、健康的で心地よい食材を選び、食事を楽しむことが大切だと思います。その上で、球環境への負荷を低減するために日々の食事で配慮できることを考え、実践してみることはとても重要だと思います。

世界には、宗教やアレルギー、動物愛護や健康上の理由にとどまらず、私のような理由で食事に制限のある方が多くいらっしゃいます。こうした多様な背景を持った人々が一緒に楽しく食事ができるようなレストランが増えていけば良いなと思います。おすすめの飲食店があれば、是非教えてください。