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小野春雄『艶書雑話』は何処へ?―艶本古書目録『奥の院痴羅利』について

 最近、金沢文圃閣より復刻されている『図書週報:昭和前期書物趣味ネットワーク』の解題である小林昌樹さん「新本の週刊新聞から古本の月刊雑誌へ:『図書週報』解題」を読んだ。『図書週報』で興味深いのは、各地域や各ジャンルごとに通信員を置いて読書状況や出版物の情報を投稿させていた点である。たとえば、民俗・方言関連の出版物は拙noteでも度々取り上げている岩手県の方言研究者・橘正一が担当している。他のジャンルには、左翼、軟派、発禁、新刊週報があるが、軟派を紹介する通信員に小野春雄という人物がいる。小林さんによれば、この人物の詳細は不明ながら1930年に『艶書雑話』という本を20部出版した人物であろうと推測している。

 私も少し調べてみたが、『艶書雑話』はどこにも所蔵がないようである。しかしながら、この本は確かに出版されていたことが「日本の古本屋」に出品されていた古書目録『奥の院痴羅利』(進和文庫、1985年)から分かった。以下に、私が購入したこの古書目録の写真を掲載しておきたい。

表紙
奥付
目次
小野春雄『艶書雑話』。写真はない。
写真のある本もあり。

残念ながら『艶書雑話』の写真は載っていないが、この本の発行が昭和5年(1930年)11月22日であったことが分かった。古書市場に出たこの『艶書雑話』は現在どこにあるのだろうか。

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