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ぎりぎりを看過する

はじめまして。ただの大学生です。

先日、親と電話をしました。
結構、親とマメに連絡するよねー、と自分を俯瞰しています。

親と仲いいのは、嬉しいけど人に言いにくいです。

私も反抗期があり、その頃は親と何も問題ないみたいな顔をしている人が妬ましく、運が良かったなこの人は、などと思っていたから。

親のことは、道徳とか抜きにして好き、と思っています。しかし、それを口にすることが親を嫌いたい人にダメージを与えたりするのです。

それは余談として、この記事では、電話で話題に上ったLINEマンガの話から、出版社の駆け引きしなければいけない状態に気づき、それを看過しながら生きていることを自覚してしまった、という話をします。

マンガアプリで終わるか終わらないかの賭け

親に、アプリで読める漫画から、おすすめを布教しました。

面白かったよ、と感想を共有し、父が一言。

「これ、雑誌で連載しているような漫画なの? アプリ限定のものではなくて。随分クオリティが高いよね」

あっと思いました。

  • アプリから売り出しを狙うマンガ

  • アプリでも売り上げを獲得したいマンガ

この二つが共存し、「待てば読める」という条件で同じように読まれているのが、マンガアプリなのだなと。

もちろん、「アプリから」のマンガもピンキリだと思うので、一概にどうということは言えません。

しかし、「アプリでも」のマンガがあり、無料でも読めてしまうというのは、その意味するところを考えると恐ろしい。

  • 結果として、本屋/ブックオフでの立ち読みを公的に認めてしまっているような状態(邪魔してくる店員や注意アナウンスがいない状態)

  • 中身を知ってもらえて、マンガの認知度は上がる

  • 読むことの金銭面でのハードルが下がる

読者が、アプリを入口にマンガを買おうと思うか、それとも、なんだ金払わなくても読めんじゃん、と思うかは、売る側には決められない賭けだなと。

賭けに負けたら、アプリでも売るどころの話ではなくなってくる。

賭けをしなくてはいけない時代

紙の本や漫画を買う人が少なくなっている、とよく耳にします。

 ここに来て、深刻化するのは物価高の影響だ。趣味や娯楽品の一つである本の買い控えの傾向が見られるという。紙の本の新刊平均価格は、同2・2%(27円)高の1268円だった。中でも文庫本の値上がりは顕著で、気軽に手を伸ばせないものになりつつある。同2・0%(15円)高の748円で、この5年で70円以上高くなった。

 電子出版は同研究所が統計を始めた14年の1144億円から8年で4倍以上の市場規模になり、22年は5013億円に達した。出版市場の電子の売り上げは全体の3割を占めるようになった。ただ伸び率は前年比7・5%増と鈍化し、市場が成熟してきたようだ。

 かつて出版界は、雑誌が大量に売れることで出版社や書店に安定収入をもたらしたが、その構造は崩れた。一方、電子コミックの売り上げ増で、漫画を出す大手出版社の経営は回復し、出版界をめぐる状況は個別ごとにより複雑になった。

[紙の出版不振 物価高も痛手 昨年販売額6.5%減 巣ごもり需要終息]
2023年2月2日 読売新聞 東京朝刊 14頁
2023/5/28参照

負けるかもしれなくても、賭けなければいけない状況に追い込まれているのかもしれません。

マンガだけではなく、サブスクで曲を聴けるSpotifyや、本を聴けるAudibleなど、色々なものに言えると思います。

買わずに読むことをやめるべきとまで思わないが、自覚すべきだと思った

出版社、そしてクリエイターが賭けに出ている。ぎりぎりの状態だ。

しかし、それを理由に作品を買うのもなんか違う気がします。

大事なのは、無料でマンガを読むことが、ぎりぎりを看過していると自覚すること、と思うことにしました。

看過しきれないと思ったら、それは本当に面白いマンガに出会えたということで、素晴らしいし、是非お金を出すべき。

そこのラインを見逃さないように読みたいと思います。

それが貧乏だけれども、面白い作品を求めてしまう、ただの大学生が、精一杯作る側を応援する消費の仕方だと思っています。

向こうにしてみれば、金にならなきゃ作れるものも作れんよ、と怒りたくなるかもしれません。

だからこそ、無自覚に消費するのだけはやめたいと、小さな覚悟をしたのでした。


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