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林真理子著「成熟スイッチ」を読み始めております
林真理子著「成熟スイッチ」を手に入れました。書店の棚にあったラスト1冊。以前に新書でお書きになった「野心のすすめ」が好きでした。林さんの勢いとエネルギーに対する憧れが私にはあるようです。
心得とか作法などと書かれているので一見、お説教くさく感じますが、何が書いてあるか予測がつかない、わかりそうでわからない章立てが良いです。挑戦的でもある。そしてページをめくってみるとどこから読んでも面白い。
も
句会にお招きいただきまして
昨夜は私が俳句を始めるきっかけとなった、俳句会の25周年句会でした。10年ほど離れているのですが、呼んでいただけて光栄でした。
季語にひかれて、やってみたいなと思っていたのが15年ほど前。先輩のコピーライターさんとたまたまお茶を飲んでたときのことでした。最後に改めていただいた名刺に水の波紋があって、これってなんですか?と尋ねたのです。先輩は自分の俳号(俳句をやるときのペンネームのようなもの)にち
『秘密の森の、その向こう』
『燃ゆる女の肖像』が大好きで、そのセリーヌ・シアヌ監督の最新作ということで映画館に足を運びました。寝不足だったこともあり、途中すみません、眠くなるところもあったのだけど、それぐらい心地が良い映画。音楽も後半までずっとなくて、ほぼサイレントな中で、木々が黄や赤に色づく、まるで絵画のような森を舞台にお話が進みます。おばあちゃんとの別れを経て、新しい道を歩もうとする8歳の少女とその母。ふたりは心の底まで
もっとみる映画『LOVE LIFE』
この物語の鍵は作中に出てくる『オセロ』かなと思いました。オセロとは白と黒。人生はオセロのように白黒はっきりとはいかない、これが私が受け取ったメッセージかな。
主人公は6歳の男の子を連れて再婚した妙子。職場の後輩に慕われる夫との3人暮らしは一見、幸せそうだ。しかし向かいの団地に住む義理の父母とは良好な関係とはいえない。さらに夫の職場で働く元カノや、蒸発していた元夫なども現れ、いろんなことが起き
『ザリガニの鳴くところ』を読んで
ディーリア・オーウェンズ著『ザリガニの鳴くところ』を読みました。
ようやくザリガニ仲間の一員になれた、と言ったほうがしっくりくるかも知れません。2021年本屋大賞の翻訳小説部門第1位にもなった話題作です。手練れの本読みの皆さんがきっと心を震わせたであろう箇所、その部分の光をひとつずつ拾うかのように、大切に読み進めました。
舞台はアメリカの架空の地。湿地という特異な場所に主人公のカイアは一人
『ガラスの50代』を読んで
年齢なんて気にしていないと頭では思っていても、実際はどうやら違うようです。というか、どちらかというと私は気にしすぎではないかと思ってきました。老いや加齢に触れた記事をめざとく見つけること著しく、いつまでも忘れないのだからちょっと重症です。そんな気にしすぎる証拠をご紹介します。ひとつは天海祐希さん主演の映画『老後の資金がありません!』の会見記事でした。作品の内容に触れた上で「自身も50代…老いは感じ
もっとみるボクらは『貧困強制社会』を生きている を読んで
藤田和恵さんのご著書で、東洋経済オンラインの連載記事をまとめたものとのこと。貧困経験者のなかに、社会保険労務士やユニオンに加入して後世の人々の役に立とうという人たちが出てくるのは、これまで読んだ同じ類の本とは少し違うかも。できればその後日談も読みたい。
後半では発達障害による二次被害が貧困に結びついている、と指摘されていた。二次被害とは発達障害がゆえに、学校生活でいじめにあったり、会社での仕事が
『コロナ後を生きる逆転戦略 縮小ニッポンで勝つための30カ条 』を読んで
いったん新型コロナウイルスが落ち着いてこっち、新聞を開けば縮小の文字ばかりが目についてあんまりいい気持ちがしていなかった。『未来の年表』の著者でもある河合雅司さんのこの本には、積極的な縮小という立場に立って具体的な策の提案がなされており、なかなかスッキリした。
個人であれば少子高齢化によって起きるもろもろを、副業し、リスキリング(学び直しでスキルを上げる、特にDXがらみがよい)を行い、長い老後に
『ばいばい、バッグレディ』を読んで
詐欺師に引っかかりやすい体質の、どこか憎めない文筆業の父親と二人で暮らす高校生女子・アケビが語るお話。ある日、父親がまたまた怪しいおばあちゃんを家に連れてくる。首にはぐるぐる巻きにしたストール、手には汚れのたっぷりついた紙袋をいくつももって。彼女こそがバッグレディ。アケビは洗脳されそうな父を救おうとさまざまな企てをするが、どうやら父とは特別な関係であるようで、でもアケビには知らされないまま話は進む
もっとみるエドワード・ケアリー著 『飢渇の人』
『飢渇(きかつ)の人』はイギリス生まれで現在はアメリカで活躍する作家による短編集である。翻訳者の古屋美登里さんのご尽力により日の目を見た、世界初の短編集とのこと。16の作品のなかには、出版が決まったのちに書き下ろされたものもあるそうで、数珠の名作から新作まで読めるとはお得である。
どんな世界へ連れていってくれるのか。少しだけ紹介すると、村に突然現れた緑色の地底人の話(『おれらの怪物』)や、人の髪