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【TIFF作品感想】『ヴェラは海の夢を見る』/『よだかの片想い』

みなさんお久しぶりです✨
10月30日から11月8日にかけて開催された第34回東京国際映画祭が閉幕し、まだ少し寂しさが残っている学生応援団一同です😢

今日から2回に分けて、第34回東京国際映画祭にて学生応援団が鑑賞できた作品のうち、計4作品の感想を投稿します!

今回紹介する2本は、『ヴェラは海の夢を見る』と『よだかの片想い』です。

①『ヴェラは海の夢を見る』(コソボ/北マケドニア/アルバニア)

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作品説明
男性社会の秩序に挑むヒロイン
夫の突然の自殺の後、ヴェラは家がギャンブルの借金の抵当になっていたことを知らされる。男性優位の環境に抵抗する女性を力強く描いたコソボの女性監督のデビュー作。
(引用元:東京国際映画祭公式サイト

今年の東京国際映画祭で栄えある最高賞[東京グランプリ]に輝いた作品をご存じですか?

そう、カルトリナ・クラスニチ監督(下記の画像の人物)によるコソボなどの合作映画『ヴェラは海の夢を見る』です!クラスニチ監督の長編デビュー作でありながら、コンペティション部門に選出され、最終的に最高賞に輝いたこの作品を運良く鑑賞していたので感想を書かせていただきます!

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感想
手話通訳を職業としている中年女性のヴェラは、判事の夫と舞台女優の娘とともに充実した生活を送っていました。しかし、ある日突然夫が自殺し、夫にはギャンブルの借金があることを告げられます。ヴェラは返済を迫られ断りますが、ひどい仕打ちを受けてしまい...

監督が育ったコソボを舞台としたこの作品は、コソボという複雑な過去を抱える国の鬱屈とした社会の雰囲気や、コソボに限らず世界中に存在する男性優位な社会というのが見事に反映されていたと思います。また、そのような社会に中年の女性が力強く立ち向かうという斬新な設定に、監督の強い思いを読み取りました。

ヴェラが手話通訳を職業としていることがこの映画の一つの注目ポイントだと思います。会話とは違ったコミュニケーション方法である「手話」を効果的に使ったシーンがあり、非常に印象深く記憶に残っています。

『ヴェラは海の夢を見る』という題名が付いているように、作中何度かヴェラが海の夢を見るシーンが登場します。この海の夢には、現実でのヴェラの苦しい状況が反映されている訳ですが、直接的でない、間接的な心理描写だからこそ、ヴェラという人物の心の中をより深く覗いているような感覚がありました。
実は、ヴェラという名前はアルバニア語で「夏」を意味しており、『夏は海の夢を見る』という題名としても捉えることができるのも面白いです。

さらに、映画には劇中劇を用いて映画内の現実を暗示するようなシーンもあり、映画全体で、本筋の物語と、それを補足する本筋とは外れた表現がうまく組み合わされた立体感のある映画だなと思いました。

堅苦しい映画である印象を与えてしまったかもしれませんが、サスペンス的な感覚で謎を追っていく要素もあるため、物語自体もとても面白かったです。今後日本で公開されるかは分かりませんが、もし公開されれば是非劇場でご覧ください!

下記のリンクにてTIFF公式のカルトリナ・クラスニチ監督へのインタビューを読むことができますので、合わせてご覧ください。
https://2021.tiff-jp.net/news/ja/?p=58506

(執筆者:たくみ)

②『よだかの片想い』(日本)

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作品説明
生まれつき顔にあるアザに劣等感を持ち、大学院での研究一筋のアイコ。本の取材を受けたことで、日常が一変する。本の映画化が決まり、自分の顔を真っ向から肯定する監督・飛坂に惹かれていく。
(引用元:東京国際映画祭公式サイト

続いての作品は、アジアの未来部門で上映された安川有果監督の『よだかの片想い』です。

感想
顔にアザがあったとしても、ゆっくり受け入れることができれば自分のアイデンティティのひとつとなり得ます。

顔のアザと言うとネガティブなイメージが先行しますが、愛子のアザはこの映画で「かわいそうなもの」として描かれていません。

そして飛坂との初恋を通して内面から変わった愛子の自分のアザを消さない決断は、コンプレックスがあっても受け入れたら好きになれるかもという希望を与えてくれました。

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下記のリンクにてTIFFで『よだかの片想い』が上映された際に行われた、Q&Aの内容がまとめられています。
安川有果監督と、脚本を手がけた城定秀夫さんがご登壇されました。是非こちらも合わせてご覧ください。
https://2021.tiff-jp.net/news/ja/?p=58197

『よだかの片想い』は、2022年・新宿武蔵野館ほか全国で公開が予定されていますので、是非劇場でご覧ください!

(執筆者:ともか)

◯おわりに

いかがだったでしょうか?どちらの作品も今すぐみなさんに鑑賞していただくことができないのが残念ですが、記憶の片隅にでも留めてもらえればと思います!

次回の記事も映画感想を投稿しますので、お楽しみに👋

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