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④理想像・目指すべく参考にしたもの

前回は移住を決めた動機やきっかけについて書きましたが、それに至るまでの過程で考えるもととなった思想や空間をいくつかご紹介します。


半農半Xという生き方

『半農半Xという生き方』塩見直紀/著 筑摩書房

移住を検討している人には必読書すぎてベタかもしれませんが、これからの時代の生き方を考える大きな指針となる一冊です。Xには自身のミッションが当てはまり、私自身は半分ずつでなくて、割合はその都度調整していけば良いのかなと思っています。少しでも「食」にまつわることを生活に取り入れることが、里山くらし(田舎と呼ぶのが好きではないため、里山を使います。)をする上でその環境を活かし、存分に味わえる営みになります。予測不能なことが増えていく時代において、作物をつくれるようになるということは、人間の根本を自給自足していくことでもあり、心理的なゆとりが生まれると考えます。

STAY SMALL

『STAY SMALL 会社は「小さい」ほどうまくいく』ポール・ジャルヴィス/著 山田文/訳 ポプラ社

こちらは働くことに関して思案するベースとなった一冊です。自身の設計事務所を運営していく上で、どんな組織体や方法で事業を進めていくか、考えるきっかけとなりました。事業の規模を大きくすることは自由や柔軟性を失うことがあり、必ずしも良いことではないとなんとなく理解はしていましたが、今のままでもいいんだと後押ししてくれるような内容になっています。単純に規模や売上を上げるのではなく、より良くするには?という視点で考えていくことが肝になります。
私自身について話すと、現状は設計事務所と協力隊を一人で(なんとか)回しています。ただし仕事の性質上、規模が大きく一人で対処しきれない案件も出てくるため、そういったところは同じように個人で事業をしている方にお声がけをして協働することで対応してます。そのように時々チームを組むことは刺激にもなるため、しばらくはこのスタイルを続けていこうと思っています。

住む

『住む。』2018年 11 月号 (一社)農山漁村文化協会

こちらはその名のとおりの雑誌ですが、丸森でのくらしを積み上げていって、この雑誌に掲載されることが目標の一つです。どんなくらしをしているか、というところに焦点を当て、すまいや家族像を紹介しているところが一般的な住宅・建築専門誌とは異なる点です。俯瞰的にみて、どういった環境で暮らしていて、どんな生き方をしているのかというリアルなことまで掲載しているものはなかなかありませんし、そういった位置付けの中でのすまいというのは生活のうつわの一つでしかないのだなと思います。くらしを営んでいく環境とどう接していけば良いのか、考えるきっかけがたくさん発見できる一冊です。

土を喰らう十二ヵ月

映画『土を喰らう十二ヵ月』中江裕司/監督  水上勉/原作

小説も面白いですが、映画もおすすめです。
普通にみたらただ旬のものを採って、食べていくストーリーにしかみえないかもしれませんが、身の回りにある環境やものを採って生きていくって根源的でなんだかとても衝撃を受けました。これが本当の"いただきます"なのだと、最後のシーンでグッときます。まだまだこんな領域には入ってすらいませんが、これからの未来を考えてくらしていく上で、過去に戻って(ある意味退化かもしれません)いくことが豊かさに繋がるのではと思わせてくれる作品です。1年ほど今の場所に住んでみて、自然を観る解像度が変わったなと感じています。そういった環境に身を置き続けること自体が、自然の恵みを享受することへ本質的に繋がっていくのではないでしょうか。

丸森菊池邸

丸森菊池邸 外観
丸森菊池邸 内観

同じ丸森で住宅を中心とした建築設計をされている菊池駿一さんのご実家の改修です。菊池さんは断熱をはじめとした環境設計に秀でており、ご実家を見学させて頂いた際に断熱気密の性能や温熱環境を実際に体験できたのは、古民家改修のベースとなる質を決める上でとても参考になりました。彼とは古民家活動をする以前からの知り合いで、丸森にいくつか候補の古民家があるときに相談させてもらったり、施工会社など町内の様々な人と繋いでくれたりと心強いサポートをして頂き大変感謝しています。今は事務所にも席を設け、協働で行うプロジェクトも生まれつつあり、うまく連携していければなと思っています。丸森には移住者に対して寛容で、優しく接してくれる方が多く、それでいて面白いことをされていたりするので、そんな方々との出会いも刺激になっています。

その他参考にしたもの

・ブラウンズフィールド(くらし方の理想や、ヤギのいる風景など)
・ルイ・カレ邸(アアルト、北欧好きなので部屋のカラースキームなどを参照)
・次の時代を先に生きる(本、半農半Xを具体的にしたもの)
・人生フルーツ(映画、生き方としての理想のひとつとして)
などなど

これからも里山くらしを実践していく上で参考になるものはたくさんあると思いますので、おすすめがあれば教えて頂けますと嬉しいです。
次回はリアルなお金の話をしたいと思います。

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