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「ずるい」に込められた感情

小学4年生の頃、塾の先生に廊下で会うたび抱きしめられ
嫌だけど言えなくて
そのうちクラスの女の子から「川辺さんってずるいよね」って言われたことが
凄く悲しくてショックだった。
今思えば、あれも性被害であるが
周りからはどう見えていたのか、私には分からない。

先生は、私の担当ではなかったのだが
廊下で会うたびに
「可愛い」とニコニコ笑って抱きしめてきた。
当時の私は、親戚のおじさんが褒めてきてる感じ
に最初は受け取っていたが
それが廊下で会うたびとなると困惑へと変わっていった。

特に嫌だったのは
他人からの眼差しであった。
女子からの冷めた目は痛かった。
塾、なので毎月行われるクラステストにも必死だったなかで
私は友達がなかなかできなくて
それもまたしんどかった。
友達、でなくても良いのだけど休み時間に少し話せる相手がいないことも
また自分の弱さに繋がり
そんな中で先生にそういうことをされれば
余計に孤立する。

勿論、送り迎えをしてくれる母には言えなかった。
子供だから言うほどのことなのかの判断もできなかった。


抱きしめられてるのを見られて「ずるい」と言われたことは忘れられない。
正直、先生に抱きしめられたことより
「ずるい」と言われたことのほうが傷ついた。
その「ずるい」と言った彼女の顔には
嫌悪と蔑みがあったからだ。

妬み嫉みではない、嫌悪である。

昨今の性被害のニュースを見て、その反応を見て
私は思ったことがある。
性被害の悲しさや辛さを共感してくれないのは、
異性より同性なのではないかと。

あの子は今、
私に「ずるい」と言ったあの子は、今、お母さんになっているのだろうか。


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