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岩の気持ち

【岩の気持ち】
下記の曲はこの章のテーマソングとして選びました。BGMのおすすめです。

(That’s What I Like-acoustic-/カート・ヒューゴ・シュナイダー)
https://music.youtube.com/watch?v=zsHN00eBO1Y&si=Lprfls5YKk3oe-aD

ある日ロッククライミングに行ったオレは、ひとり山奥の崖を前にふと思った。
「岩と友だちになるってどゆこと?」

子供の頃に見たアニメで、少年はサッカー上達のコツを「ボールと友だちになること」だと言っていた。
オレもクライミング上達のために、何か新しいことがしたかった。だから、ちょっと考えた。(そう言えば、ネットでバシャール おじさんが言っていた。〈石や木や植物も精神体で、その思考はとてもシンプルなんだ〉という)

そこで、オレは岩の気持ちはどんな感じなのか想像した。…よくわからん。
耳をつけてみるが何も聞こえない。というか耳がピッタリ岩にフィットしてくれない。そしたら、ほっぺにふさふさを感じた。
(を!乾燥したコケが表面にうっすらあったんだー。意外にゴツくない。)
そのうち、くちびるのはじっこに岩が触れた。そしたら何だか岩の気持ちがわかるような気がしてくる。
ちなみに街中でこれをすると間違いなく変態扱いなので、良い子はマネしないで欲しい。ともあれ、オレが感じたのは以下
(この人たちは、となりの原子とガッチリくっつく事だけをずっと考えてる人なんだ。だからそれに夢中で、コケが生えようが、オレがほおずりしようが、気がつかないんだな〜)って感じだ。

そしたら何かその岩が、まるで瞑想している巨人のように思えてきて、その足元でオレがしがみついて遊んでいる気がして(オレって今岩に抱きついてる)とか思っちゃうのだ。
さらに、〈となりの原子とギュッとくっつく〉感じにオレもなってくっついたら、なんか上達する気がして来て、ずっと岩にキスをするという変態行為を続けてしまった自分を許してあげたい。

ちなみに、クチビルは気持ちを感じるのが得意な器官なのかもしれないと思った。


上の方をスケッチし始めました

【山に限り、オレは何が起こってもだいじょうぶだ。】山がオレにとっての「通行手形」だと気づく
どこかの楽しい未来へ向かう為に必要な通過点。そこへ向かう為のエネルギーを補充する所。

ある日ロックライミングに出かけようと準備をする。なぜかそこにスケッチブックを入れたくなる。
(なんだこの動きは??なぜ入れる?スケッチブック?)と思いながら入れる。山に来て、目当ての崖をめがけ、けもの道か!…と思うほどの山道を登りながら、ふと思う。(初めての崖は、登る前に絵を描こう)
せっかく山に来たのに、一度も崖を登らず、ひたすらスケッチする自分が不思議でならない。

ふと、ロッククライミングの〈オブザべーション〉という(登る前に岩を見ながらルートを決めイメージする事)を思い出す。
スケッチする行為は、実物を詳しく観察する行為なので、多分オレは岩の指が引っかかるデコボコを描写しながら、超ゆっくり〈オブザべーション〉している気がする。

感情的には(Nice to meet you!初めましてこんにちわ)というのに近い。

その崖を余す所なく楽しむには、いきなり登るのでは勿体無い気がして、スケッチしながら互いにちょい仲良くなってから、味わいどころを知ってから、一番美味しい食べ方で登りたいという欲求がわく。

その為に必要な儀式として、オレはスケッチをしているのだと思う。


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