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丑の日に鰻弁当を肝吸い付で作ってみた話。

まいとし夏の暑さが本格化してくると、丑の日っていつだっけ、とふと思います。夏バテ防止にうなぎを食べてスタミナを付けるというのが、丑の日の鰻の起源だといいますが、考えてみると、大昔と違って、いまはふだんの食生活でも栄養源は豊富だし、そもそも鰻以外にもスタミナ源になる食材は山ほどあるはず。


🍱丑の日のごちそう

それでもやっぱり、丑の日のごちそうといえば、鰻だなぁと思います。

お正月のおせち、冬至のかぼちゃ、節分の巻き寿司といわし。母親が歳時記に記される料理を、その時期につくる人でした。子どもの頃から季節に合わせてそれを食べて育ってきた自分には、習慣として染み付いているんですね。

おとなになって自分で料理をするようになっても、節目節目の季節行事のときは、わざわざ材料を買いにいって、そんなメニューたちをつくっています。

というわけで、ことしも丑の日は鰻をいただきました。

ただ、買ってきた鰻をそのままごはんに載せて鰻丼にするのではなく、せっかくなので、おつまみとあわせて鰻弁当風にしてみたのが、ちょっとしたこだわりかもしれません。

🍱うなぎのしっぽでおつまみ作り

当たり前の話ですが、鰻って尻尾にいくにつれて、細くなりますよね。肉も薄くなるし、食べ盛りの子どもの頃はとにかく、お腹の肉厚な部分がほしくて、ほしくて。もちろん母は大きな身を子どもたちに用意してくれていて、無邪気にそれを堪能していました。

そんな尻尾に向かう部分ですが、細くなっていくところから先を切り落とせば、残った身自体は四角く、形よく整えることができます。

そしてその切り落とした尻尾を細く短冊に切れば、おつまみにできることに、気づいたのはいつだったか。一尾の鰻で、メインの丼と小鉢が作れるので、けっこういいアイディアだなと思っています。

🍱さっぱり酢の物“鰻ざく”

そんな鰻の尻尾で作るおつまみ。

まずはこれ。鰻の定番小鉢、“鰻ざく”をつくります。

🔪材料
・鰻の尻尾
・きゅうり
・乾燥わかめ
・塩…ひとつまみ
・酢…大さじ1
・醤油…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・水…大さじ2

きゅうりは薄く切り、塩を振って10分ほど置いて絞ります。わかめは水で戻しておきます。

あとは合わせた調味料で鰻と一緒に和えるだけ。

甘酸っぱい味付けときゅうりのパリパリ食感が、濃厚な鰻の箸休めにいおんですよね。

🍱だし巻き玉子で“鰻巻き”

続いて鰻を卵で巻いて、“鰻巻き”にします。

🔪材料
・鰻の尻尾
・卵…1個
・粉末鰹だし…小さじ1
・水…大さじ2
・片栗粉…小さじ1/2

溶いた卵、粉末だし、水、片栗粉を合わせてよく混ぜます。

ここでポイントになるのが、片栗粉。卵だけに調味して焼く卵焼きと違って、だし巻きは出汁の分の水分が加わるので、生地がまとまりにくくなります。そこで少し片栗粉を加えて、形が整いやすいようにします。

薄く伸ばした卵に鰻の尻尾をバランスよく載せたら、あとは卵焼きとおなじ。

端から巻いて、空いたスペースに卵液を追加。

それを繰り返して、形をまとめながら巻いていきます。

巻き終わったら、卵焼き器の端に寄せて、お箸で軽く形を整えます。

キッチンペーパーにとって、きゅっと巻くようにして型崩れを防止。そのまま粗熱をとって形を落ち着けます。

落ち着いたら切り分け。

鰻の見える部分を、真ん中に盛るときれいですね。

鰻の尻尾の部分を蒲焼きのまま食べると、肉厚な身と比べて細くてちょっと物足りない気がしますが、こうしておつまみに使うと、豪華になるので、おすすめです。

🍱うなぎとうな肝

さあ、いよいよ鰻本体の登場です。市販の蒲焼きのタレに少し水を足して、その中で温めます。

今回はうなぎのきも串が特売になっていたので、買ってしまいました。串から外して、身と一緒に煮ます。けっこう好きなんですよね、鰻の肝。

鰻の身も肝も、もともと火が通っているので、温まって、たれにとろみがついてきたらOK。まずはごはんにたれをまぶします。

鰻巻きと鰻ざくも盛り付けます。お弁当感が出てきました。盛り上がりますね。

鰻と肝をごはんの上にどどーんと配置。これで完成…といいたいところですが、うな重スタイルでごはんアリですからね、お漬け物もほしいですよね。

🍱うなぎといえばお漬物は

丼系のお供に添えるお漬け物といえば、いろいろあります。黄色いたくあん、べったら漬け、柴漬け、きゅうりの糠漬け、大根にかぶ。

でも、鰻といえば、なぜかこれ。

奈良漬けが添えられている気がします。

実は子どもの頃はうなぎといえば、黄色いたくあんが定番だったのですが、おとなになってお店で食べたり、うな重弁当みたいなお弁当を買ったりしていると、奈良漬けとのペアが印象深いんですよね。

鰻と色が似ているからでしょうか。

ごはんの上に左から、奈良漬け、肝焼き、蒲焼が並びました。すべて茶色。揺るぎなき、圧倒的な和食の美味しい色ですね。

🍱肝吸いは即席で

これで鰻弁当はできあがり。だけど、きょうは丑の日。鰻の晴れ舞台。

というわけで、もうひと品こだわって、鰻といえばのお吸い物、肝吸いを作ることにしました。

🍜材料
・うなぎの肝
・即席お吸い物
・お湯

ベースは即席のお吸い物。一杯だけほしいときは便利ですよね。具の肝は、ごはんの上にのっけた肝串の肝をちょっと取っておいたものです。

お湯を注げばできあがり。

🍱うなぎはやっぱりごちそう

ごはんの上に鰻、うなぎの肝、そして箸休めに奈良漬け。おつまみには、鰻の尻尾を使った鰻ざくと鰻巻き。肝吸いを添えて、丑の日のごちそうができました。

いろんな食材、料理があふれる時代になりましたが、日本の伝統的な食文化でもある、食の歳時記。それを楽しむのも素敵だと思います。

暑い毎日が続きますが、これですこしスタミナを回復できました。

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