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スコットランド ロックローモンドの旅

私の旅の起点はいつも好奇心である。知りたい、見てみたい、その雰囲気を味わってみたい。そんな気持ちにそそのかされて…という言葉が果たして適当であるかどうかはわからないが、好奇心に忠実に、否、むしろ抗えない何かに導かれるように旅をしてきたような気がする。

スコットランドのロックローモンド (Loch Lomond / ローモンド湖)へ行こうと思ったのも、ひとえにその好奇心からに他ならなかった。

日本でもイギリスでも、知り合うイギリス人は何故かスコットランドに所縁のある人が多い。スコットランド出身だったり、何かしらスコットランドに関わっていたり…。人生において不思議なご縁は時々あるものだけれど、私におけるスコットランドもそのひとつかもしれない。友人の一人がロックローモンド出身で、日本に精通したその友人に「あんな田舎は日本にはない」と言わしめたその地が私は気になって仕方なかった。日本にもないような田舎があの近代国家イギリス(スコットランド)にあるものだろうか?と。自然あふれる美しい場所で、国立公園でもあることももちろんその理由だったけれど、イギリス滞在中にそこを訪問しない選択肢は私の中にはなかった。行くべき場所として私の中では常にブッキングされていて、そして今回の旅に組み込んだのである。

エディンバラ、グラスゴーと周って、ロックローモンドを訪れるために宿を取ったのはグリーノック(Greenock)という小さな町だった。ここから路線バスと鉄道を乗り継いでロックローモンドにたどり着く。グラスゴーから着いたグリーノックも案の定小さな駅で、歩いている人も少ない。田舎らしい静けさに、スコットランドの田舎はどんなだろう、私の知っている田舎とどの程度違うだろう、と私の好奇心はまた膨らんだ。

スコットランドの旅 - 5日目
Glasgow - Greenock のチケット。

宿にチェックインし、食料の買い出しがてら周辺を散策していると、80代は越えているようにお見受けするご婦人から話しかけられたことにも驚いた。私の見た目はそのままアジア人だし、服装のスタイルはこれまたカジュアルな旅仕様。つまり、初見で地元の人には見えづらい。だが「この辺で軽くお食事できる場所を知ってる?」と、歩行器を支えに歩くそのご婦人は私に尋ねてきたのだった。ひとえに、これはイギリスが移民国家であることを端的に物語っていると痛烈に感じた瞬間であった。この点は完全に日本のそれとは異なるだろう。私は寧ろ差別を受けなかったことに感謝しつつ、私はツーリストであること、従ってこの地のことは詳しくないということ、ただ、先ほどハンバーガーのショップを見かけたので、それが果たしてそのご婦人に適当かはわからないけれど…近くでそれを見かけたことを丁重に伝えた。

グリーノックはかなり内側に入り込んだ入り江なので、水辺はとても穏やかで、紫外線が気になるほどの好天だったこの日、傾いた太陽を眺めながら穏やかな波の音に耳を澄ますのは本当に心地よかった。グラスゴーの気忙しさが遠く昔のことのように思われた。このグリーノックをあえて選んだ理由は特になく、ロックローモンドから最も近い予算内の宿をBooking.comで探して、見つけたのがここだったという、好奇心でスコットランドに来たわりにはそれとは相容れないような成り行きだったけれど、それでも、ひと時この水辺に佇むしあわせを感じられて、ここに来てよかった、と思う自分がいた。

明日は路線バスと鉄道を乗り継いでロックローモンドへ行く。Google Mapで念入りに調べてはいるけれど、念には念を入れ、最寄りのバス停の場所と時間を再度確認して、私は宿に戻った。ロックローモンドの内容は、次回またしたためたいと思う。

※ 挿入されている写真及び画像はすべて筆者によるものです。

(Greenock 27 Jun 2019)

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